Fuji Rock Festival'05 Day 1-Vol.5 Foo Fighters







グリーンステージは、ザ・ミュージックの頃から進行が予定より10分ほど遅れていた。がしかし、フー・ファイターズはその遅れを修正するようにほぼ定刻に登場。ステージ上に多量のスモークが炊かれる中、デイヴ・グロールの「Can you hear me♪」という、『In Your Honour』の歌い出しが聴こえてくる。曲は続いて『All My Life』となり、一層激しさを増してくる。デイヴはなぜかKISSのジーン・シモンズのTシャツを着ていて、足を前後に大きく開き、ギターをかきならしている。


デイヴの表情がモニターにアップになったのだが、長髪でヒゲをたくわえていて、そして精悍で引き締まった、実にいい表情をしている。バンドも結成から今年で10年だし、いつのまにかニルヴァーナの活動期間よりも長くなってしまっている。さまざまな紆余曲折を経て、デイヴは今ヘッドライナーとしてステージに立っているのだ。MCでは「フジロック'97に来た奴はいるか?あのときは台風で最悪だった。'00に来た奴はいるか?あのときも雨だった。'02に来た奴は?このときは猛暑だった。」みたいなことを言っていた。今回グリーンステージにヘッドライナーとして立っていることは、デイヴ自身にとっても大きな意味があることのようだ。





次々に繰り出される1曲1曲がポップで聴きやすく、それでいて重厚感がある。いいバンドになった。ほんとうにいいバンドになった。いや、正確には元からいいバンドだったのだが、初期の頃の悪ガキのようなノリ、やんちゃさを失わないままに、バンドはビッグになった。そのことにこそ意味がある。自分たちのスタンスを変えることなく、より表現力を豊かにし、よりスケール感を増していったのだ。個人的には嵐の中の第1回フジロックで観たライヴも印象的だったし、それ以前に95年暮れの初来日のクラブチッタでのライヴも観ているので、感慨が一段と深い。よくぞここまで来てくれた。よくぞここまでのバンドになってくれた、と。


曲は新旧満遍なくセレクトされ、最新作からは『The Last Song』や、先ほどさんざんコールドプレイが煽っていた『Best Of You』(次の曲はコールドプレイに捧げるぜ!とデイヴは余裕でかましてくれた)などを。『My Hero』に「最初にレコーディングした曲」『This Is A Call』など、初期の曲もノスタルジックではなくリアリティを以って響き渡っている。また、グリーンのレーザー光線がステージから空に向かって発せられていて、それがとてもきれいだった。


デイヴはまたサービス精神旺盛な人でもあって、ギターを持ったままステージを降り、フロアのど真ん中を駆け抜けて行く。やがてPAのところに行き着き、しばしそこでギターを弾き、オーディエンスを煽る。すると今度は、PAの裏側にある鉄塔によじのぼっていくではないか。カメラもデイヴを追い切れず、モニターには鉄塔の中にうっすらと人影が確認できるのみ。とうとう頂上にまで登ってしまったデイヴは、そこで後方のオーディエンスに対して手拍子を求める。なんて人なのだろう。





終盤は『Everlong』を弾き語りで歌い、『Monkey Wrench』で本編を締めたデイヴ。少し早めの引き上げだったので、こりゃアンコールあるなと思ったら、もちろん再登場だ。そしてなんと、ドラマーのテイラー・ホーキンスがギターを持ってフロントに立ち(テイラーは今後ソロデビューすることが決まっているのだそうだ)、デイヴがドラムセットの中に収まっている。この編成で1曲演奏し、そしてオーラスは『Breakout』。例のサビをオーディエンスに合唱させるのも今やお馴染みで、フーファイは堂々のステージをしてみせてくれた(個人的にはフジロック'05のベストアク トだ)。コールドプレイと同様、フーファイにも単独再来日を望む。

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(2005.8.19.)
















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