Survival Of Fuji Rock Vol.2 The High Lows / Foo Fighters







バスタオルをひっかぶって車中で寝ていたのだが、結構寒かった。起きたのは11時過ぎくらい。コンビニで買っておいたパンを食べた後、傘をさして外の様子を見に行く。なんとダフ屋のおっさんが入場口前で合羽を着て呼び込みをしていた。なにもこんな山奥まで、しかも台風なのに…。


メインステージではサザン・カルチャー・オン・ザ・スキッズ(96年にプレジデンツ・オブ・ザ・USAを観に行ったときに前座で出ていた)が演奏していた。ステージ前方は既に踊り狂う若者で危険地帯と化している。が、中盤から後ろの方はまだそうでもない。寝袋から顔だけ出して見ていたり、まだ寝てる人もいた。とりあえず水の出るところに行ってコンタクトを入れる。雨は断続的に強く降ったり弱く降ったりしている。記念グッズ売場に行き、半分は寒さ対策のつもりでTシャツやタオルをたくさん買う。プロディジーやフーファイやベックのもあったらしいがどうやら発売後にすぐ完売になってしまったようで、ダサいデザインのTシャツだけが売れ残っている。





貧乏性なので、金を払った以上は有名無名にかかわらず全バンドの演奏を見るつもりだった。が、雨はひどいし、既に下はぬかるんでいるし、そしてなにより寒い。なので、しばらく車で体力を温存することにする。そして午後2時頃になって、いざ出陣。合羽の下だけはき、上半身はTシャツと帽子の上からポンチョをかぶる。ステージ前は先程と違い、後ろの方まで人が密集している。登場したのはハイロウズ。と、前の方に数メートル押し出される。私はステージほぼ真ん中にいたが、それでもかなり危険な状態。友人とはこの時点ではぐれてしまう。車のスペアキーは渡してあるし、まあいいか。


「ハイロウズ以後」を目当てに見に来た人はかなり多いと見える。私もそうだが。1曲目の『ミサイルマン』で既に場内はハイテンション。まずい、ピークはもっと先にあるのに、今の時点でこのポジションにいては体がもたない、と思い、人の流れに逆らわないようにして少しずつ後ろにさがる。結局、ダンスするしないの分かれ目の所までさがってステージを見る。ヒロトは最初から上半身裸で全開だ。音はそれほどひどくない。『ミサイルマン』演奏終了後、ステージに主催者の人が出て来て、後ろにさがるように呼びかける。ステージ直前はかなり危ない状態らしい(この光景は、今後出演アーティストが1曲目を演奏し終わった後に必ず見られることになる)。演奏はそのまま続き、約50分くらいで終了。ヒロトはステージ去り際になんと下も脱いでしまい、ものにさらしていた。こいつドラッグやってんじゃない?





このフェスはアフターパンク/オルタナ系ロックバンドが中心で、ハイロウズはそのコンセプトをよく踏襲していたパフォーマンスであった(そうでないバンドもこのあと登場するが)。バンドの入れ替わりに際し、機材の取り替えやサウンドチェックなどで約30分の空き時間ができる(これもちょっと長すぎた。それぞれ40分以上はやっていたと思う。終演時間をいたずらに遅らせていただけのように感じたが)。一度車に戻り、Tシャツを替える。時折日が差すときもあるのだが、相変わらず雨はやまないので、上も合羽にしてしまい、ポンチョをかぶる。もう外見からだと誰だかわからない格好だ。


再びメインステージに戻って待機。今度は後方のほぼ正面に位置取る。そしてフー・ファイターズ登場!また前に数メートル押される。ハイロウズよりテンションが高い。序盤は今年の5月に出た新作(セカンド)からの曲を中心に演奏する。ファーストは個々の曲にインパクトはあったが、アルバムとしては勢い任せで雑な部分が多い。それに比べてセカンドは個々の曲がとぎすまされ、それがアルバムとしての完成度をより高めていて、ステージにもその良さが持ち込まれている。


2~3曲と進むうちに、こんなところで見ていられないぜ、と思い立ち、少しずつ前進する。5~6曲目の辺りで遂に危険地帯に到達。ち、近い。デイヴがもう2メートル前方にいる。と、わずかな感動とひきかえに、押して押されて足を踏まれていよいよ危険。この辺の連中はもう完全にトリップしている。雨が降っているのに、この辺りだけは人が押し合って、すごい熱気で湯気がわいていて、とても暑い。何十人もの集団が右に左に行ったり来たりで、しかも足下はぬかるみに加え、ビニールシートや寝袋や折れた傘でものすごく不安定。遂に勢いで倒されてしまう。倒れた自分の上に2人くらい人が覆い被さって、自力で立ち上がることができない。まわりの人に引っ張って起こしてもらう。これ以上ここに居続けると絶対にもたないと思い、先頭で警備しているセキュリティ(巨漢の外人!)に引っ張り上げて出してもらう。


歩いてステージ横の方に行き、演奏の続きを見る。これは私だけだったのだろうか、個人的には1度ピークに達してしまったので、以後の演奏が(いい意味で)やたら長く感じた。これでもかこれでもかという怒濤の演奏攻撃。ラスト2曲はファーストから『This Is A Call』『I'll Stick Around』をブチかます。『I'll~』はカートコバーンのことを歌ったのでは…と当時かなり話題になった曲で、かつ、このバンドの名刺的な意味合いを持つ曲でもある。この日のパフォーマンスはこの曲を必要としないくらい素晴らしいものだったが、まさにこれで最後のダメ押しだ。素晴らしい。1年半前にチッタで観たが、そのときよりもはるかに素晴らしかった。

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(97.8.12.)
















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