Summer Sonic 2006/Day 1-Vol.2 The Feeling/Phoenix/The Rapture
ソニックステージに移動し、ザ・フィーリングを観る。ロンドン出身の5人組で、日本ではファーストアルバムがリリースされたばかり。ニューカマー中のニューカマーと言っていいだろう。曲そのものはポップなメロディーが心地よく、そして演奏は思ったよりもエッジが効いていて、引き締まった印象を受ける。ギタリストとキーボーディストによるハーモニーも絶妙で、ビーチ・ボーイズを思わせるエヴァーグリーンな雰囲気を漂わせるところには、新人にして新人らしからぬ力量を感じた。
この後は食事タイムに。飲食用の出店が立ち並ぶエリアには、WAHAHA本舗による小さなステージがあって、そこでポカスカジャンが演っているのをちらっとだけ観た。更に大きなステージもあって、ここではお笑い芸人が分刻みで登場。私が観たのは、ポイズン・ガール・バンドや猫ひろしやダイノジや梅垣義明といったところ。猫ひろしは下ネタばかりではっきり言って引いたが、芸人はテレビとそうでないところとでオンオフを切り替えてやっているんだなとも思った。梅垣はステージを降りて客と握手したりハグしたりしていたが、遠目に見ても顔が大きかった(笑)。
今年のサマソニの個人タイムテーブルは、とにかくマウンテンステージが多い。というわけで、お次はフランスはベルサイユ出身のフェニックス。個人的には2年前にライヴを観ているのだが、それは通常のライヴではなく、なんとクリスチャン・ディオールのパーティーで、当時バンドはセカンドアルバム『Alphabetical』をリリースしたばかりというタイミングだった。今回は、サード『It's Never Been Like That』リリースに伴うサマソニ参戦だ。
ステージには6人いて、キーボードが2人いるというのがミソだ。曲は基本的にはギター・ポップなのだが、その中にフレンチポップの淡いテイストも刷り込まれていて、このセンスが彼らの立ち位置を独特なものにしている(『Everything Is Everything』などその典型だろう)。キーボードによるメロディアスな旋律には心地よくさせられるし、かと思えばギターやベースが要所でソリッドにかき鳴らされて、彼らがライヴバンドでもあることを思い知らされる。ラストになると、ヴォーカルのトーマスは勢い余ってステージを降り、フロア前方のモッシュピットに突入してそこで熱唱していた。
続いてはザ・ラプチャー。3年前のサマソニにも出演していたが、そのとき私はちょうど休憩に充てていて観なかった。あのときのインドアステージもメンツがかなり充実していて、休んだり食べたりするのはそのときしかないと判断してのことだったのだが、後になってネットやメディアなどで噂や情報を知るにつけ、見逃したことを後悔した。それから3年が経ち、やっとリベンジする機会が来たのだ。
バンドは4人で、ギター2人にベース、ドラムという、極めてオーソドックスな編成。がしかし、発せられる音はよじれたギターロックとでも言えばいいのか、軋んだリフや変拍子のリズムがなんとも言えないカッコよさを出している。更に甲高いヴォーカルが相俟っていて、70's後半のポストパンクが放っていたような「狂気」のようなものを思い起こさせる。特に思い出したのは去年のフジロックで観たギャング・オブ・フォーで、それに「踊れる」要素を加えたのが、継承者ラプチャーなのだと感じた。
ライヴ終了後、ステージ右サイドの関係者用エリアにヴォーカルのルークが出てきていた。私はたまたま近くにいたので、思わず走って駆け寄って、がっちりと握手してもらった。ルークは、上半身が汗ばんでいて息も切らしていたのだが、やり切った満足感に浸りつつオーディエンスとコミュニケーションを取りたかったのだろうか。
(2006.8.17.)
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