Fuji Rock Festival'05 Day 2-Vol.2 Gang Of Four/Dinosaur Jr.
この後は、雨の中を30分ほど並んでアーティストグッズを購入。その間、東京スカパラダイスオーケストラやエイジアン・ダブ・ファウンデーションのライヴがグリーンステージで行われていて、私にとってはこれらがBGMのようになっていた。そしてアヴァロン・フィールドに移動し、今後のライヴに備えて早めの夕食を。タイラーメンと朝霧シチューを食べながら、ジプシー・アヴァロンでのザ・ピース・イン・パーカッションズのパフォーマンスを、終わりの方をちょこっとだけ観た。
雨もあがり、ホワイトステージに行ってギャング・オブ・フォーを。本来ならばクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジが出演するはずだった枠なのだが、キャンセルになってしまい、その代役として近年再評価の気運高まる彼らに白羽の矢が立ったのだ。
まずはギターのアンディ・ギルがひとりで登場し、印象的なリフを繰り返す。すると、そのリフに導かれるように他の3人のメンバーも登場し、曲がスタート。揃いも揃っておっさんばかりだが、しかし妖しい輝きを放っている。ヴォーカルのジョン・キングは、両手を上げて全身をくねくねさせる妙な踊りをし、かと思えば中腰になってカニ歩きのように横に歩き、そして1曲終わる毎にステージに倒れこむ。緊張感とお笑いのギリギリのところを行くパフォーマンスだ。
当初、私はギャング・オブ・フォーを前半で切り上げて、その後グリーンステージでベックを観るつもりだった。がしかし、彼らのプレイには妖しい輝きに加えて妙な凄みが備わっており、その場から動けなくなってしまった。ベックは近いうちに単独再来日することが期待できるが、ギャング・オブ・フォーを観れるのはこれっきりかもしれない。そう考えてグリーンに行くことをやめ(つまりベックを切った)、引き続き彼らのライヴに集中した。
ジョン・キングはいつのまにか金属バットを手にしていて、そして電子レンジを叩いている。その間他のメンバーは淡々と演奏を続けていて、不規則にバシッ!バシッ!という、バットが電子レンジを砕く音が響き渡る。電子レンジはどんどん変形し、ひしゃげていびつな形になってしまった。ラストではアンディ・ギルもギターを叩き壊し、颯爽と去って行った。フューチャーヘッズという若き才能を発掘し、レッチリのフリーやR.E.M.のマイケル・スタイプからはリスペクトされている、ギャング・オブ・フォー。私にとっても貴重でありがたいステージになった。
ベックを諦め、ヘヴンやオレンジコートに行くこともせず、そのままホワイトに留まって空き時間を過ごした。ホワイトには既にたくさんの人が詰め掛けてきていたし、下手に動いてダイナソーJr.のライヴに臨むのに支障があっては本末転倒だからだ。というわけでセットチェンジを眺めていたのだが、機材は広いステージの前面に集中していて、大きなスピーカーがいくつも並べられている。Jマスキスも一瞬だが姿を見せた。でかかった。そして、頭には白髪が目立っていた。
時間になり、ブライアン・バートン・ルイスが軽くMCをした後で、いよいよオリジナルメンバーでのダイナソーJr.が登場。ギターのJ、ベースのルー・バーロウ、そしてドラムのマーフだ。いきなりJが爆音を蹴散らして演奏がスタート。しかし、意外や最初の曲のヴォーカルはJではなくルーの方だった。ルーは半身になる形でベースを弾きながら熱唱。歌はうまくはないが下手でもなく、まずまずかな。続いてはJがヴォーカルを取り、いよいよという感じになってくる。
このメンバーでのアルバム制作は『Dinosaur』『You're Living All Over Me』『Bug』という初期3作で、選曲もこの3枚からに集中している(というか、ここからしか演らない)。『Freak Scene』『Little Fury Things』『Just Like Heaven』などが特に耳に残り、Jの滑らかな泣きのギターも何度となく炸裂した。そして、マーフのドラムもパワフルで凄まじい。ルーは『Just Like Heaven』での絶叫パートを受け持った(以前観たJのソロではローディーが絶叫していたっけ)。
Jは時折短く「thanks」と言ってはくれるものの、基本的にライヴは淡々と進んだ。終盤になると雷が何度も轟き、閃光が視覚を奪い、その後に轟音が続いた。この後また大変なことになりはするのだが、この雷はまるでダイナソーのライヴの演出のようでもあって、一瞬の閃光に包まれるステージ上の3人は、神々しかった。
(2005.8.19.)
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