Fuji Rock Festival'04/Day 1-Vol.2 Snow Patrol/Haven/The Roosters/PJ Harvey
今回のレッドマーキーはUKロックバンドが粒揃いの感があるが、その中でも個人的にはスノウ・パトロールが観れるのを楽しみにしていた。2年前のサマーソニックで、レインディア・セクションというUKロックバンド混成チームを観たことがあったのだが、その中に彼らもいたらしい(当時はわからず)。がしかし、今回は新譜『Final Straw』にリンクする形で、晴れて彼らのライヴに触れることができる。
バンドのキャリアは既に10年にもなるとのことだが、ここ日本ではニューカマーの印象があって、彼らの演奏する姿にはなぜか初々しさを感じてしまう。ギターを軸にしたサウンドは疾走感に溢れ、場内の密度を濃くしていく。オーディエンスのリアクションも良好。期待に違わぬ、いやそれ以上の出来だ。そしてクライマックスになったのは、終盤で放たれた『Run』。スローな曲調の中に奥深さがあり、普遍性と独自の美しさを感じさせた。
さて、グリーンに舞い戻ってヘイヴンを観る。実は彼らも、2年前のサマーソニックで観ていて、そのときは新人だったが、既に新人らしからぬ風格が漂っていた。今回は更にたくましくなった印象があり、ギターをベースにしたサウンドにも厚みが増した様子だ。グリーンステージの日中帯のライヴというのは、結構微妙だと思っている。アーティストが渾身のライヴをして名演になることもあれば、空回りして今ひとつに終わってしまうこともある。彼らは、立派にやり切った。
次に登場するバンドを、楽しみにしていたファンも多いことだろう。88年以来、無期限活動停止状態だったルースターズのラストライヴが、ここフジロックの中で行われるのだ。正直言って個人的には全然明るくなく、ミッシェル・ガン・エレファントがリスペクトしていたという辺りからバンド名を知り始め、2年前のフジでロックンロール・ジプシーズのライヴを少しだけ観て、そして今年のマジック・ロック・アウトで大江慎也の新バンドUNのライヴを観た、というのが私にとっての接点だ。
ステージ後方には「THE ROOSTERS」という字幕が浮かび、オープニングMCをなんと日高社長が自ら務め、そして黒づくめの4人が登場。大江がフロントで、左に花田裕之、右に井上、大江の真後ろに池畑という配置。MCは全くなく、大きなアクションがあるわけでもなく、ただ淡々と曲を演奏する4人。しかし存在感の桁が違うというか、オーラが漂っているというか、とにかくカッコいい。2000年のフジのブランキーのときもそうだったのだが、決して熱心なファンではなかったにせよ、燃え尽きる瞬間まで疾走せんとする、最後の場に居合わせることのできた幸福感を噛み締めた。
PJハーヴェイは今年新譜『Uh Hur Her』をリリースし、グラストンベリーを始めライヴ活動も意欲的に行っている。日本でライヴをするのがいつ以来かはわからないが、今回のフジ出演というのはとても嬉しい。赤いドレスに赤いブーツといういでたちで、華奢な体つきながらギターを弾いて歌うその姿には、鋭さと同時に優しさを感じさせる。私はてっきり、この人は初期のビョークのように、かなりイッてしまった人というイメージを勝手に作り上げていた。のだが、以前はともかく、今現在の彼女はとても知的で、かつ地にしっかりと足をつけた女性ロッカーという感じを受けた。
(2005.2.1.)
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