Magic Rock Out'04 The Other Acts

 今回のマジック・ロック・アウト、出演アーティストは計10組だった。ここでは、ダブルヘッドライナー以外の8組について、簡単に書いてみる。





18:00 - 18:40 Diffuser

 新人バンドかと思いきや、実はインディー時代を含めるともう10年選手になるのだそうだ。しかしライヴの方は初々しさが漂い、特にヴォーカリストの一生懸命に場を盛り上げようとする姿勢は逆に空回りしているようで、観ていて苦しくなるくらいだった。音は結構ポップで、ボン・ジョビとかに近いなあなんて思っていたら、ほんとうにボン・ジョビの『You Give Love A Bad Name/禁じられた愛』を演ってしまった。



19:00 - 19:40 UN(大江慎也)

 UNとはUnitad Nationの意で、元ルースターズの大江慎也によるニューバンドだ。大江は白いスーツ姿で、仁王立ちしながら淡々とギターを弾き、そして歌う。そのヴォーカルはかすれたり裏返ったりで最初はびっくりしたが、これは上手いとか下手とかを超えたところでこの人の味として捕らえるべきなのだろう(ジョン・ライドンのヴォーカルがそうであるように)。音はロックン・ロール~ブルース調で、ラストはどうやらルースターズ時代の曲だったようだ。



20:00 - 20:40 Funeral For A Friend

 「友だちの葬式」なる、なんとも風変わりなバンド名の5人組。ドラマー以外の4人がフロントラインを形成し、衣装も黒いTシャツで揃えているなら、ビートに合わせて4人揃ってポーズを決める。のだが、特にギタリストなどギターを投げ出してしまいそうなアクションで、ちょっと笑えた。音はロックというよりヘヴィー・メタルに寄っている感じ。それにしても、ヴォーカルくんは「Fuck」を連呼しすぎだった(笑)。



21:00 - 21:40 Ken Yokoyama

 現在は活動停止中のハイスタンダードのギタリストで、先月ソロアルバムを発表。マジックロックアウトは東京のみの参加となり、そしてソロとしては今回が初ライヴだそうだ。ハイスタファンと思しき人たちがフロア前方を占拠し、開始時から場内のテンションは高かった。パンクでラウドなサウンドはまんまハイスタで、そしてどの曲も3分に満たない短さ。1曲演ってはMC、の繰り返しで、ライヴの精度としてはかなり微妙だった。



22:10 - 23:00 The Distillers

 ランシドのテイム夫人「だった」ブロディ・ダリー率いる・・・という枕詞は、このバンドを正しく紹介してはいないのではないだろうかということを、生ライヴを目の当たりにして痛感。というのは、決してブロディがワンマンぶりを発揮して歌にヴィジュアルにと目立っていたわけではなく、彼女自身もバンドのいちメンバーたらんとする姿勢が伝わってきたからだ。派手なアクションはほとんどなく、そしてほとんどの曲で自らギターを弾き、直立不動で淡々と低い声で歌う。しかしこのさまが逆にライヴの密度を濃くしていて、好感が持てた。ライヴとしては、ダブルヘッドライナー2組に次ぐ出来だったと思う。



3:10 - 4:00 South

 イギーそしてプライマルの後を受けてということで、フロア内のオーディエンスの密度が薄くなった中での登場。ファーストアルバムで実に4度もリフレインされている、彼らのテーマ曲的な位置づけのインスト『Broken Head』で始まり、以降は普遍性を感じさせるヴォーカルが心地よく響き渡る。CDで聴くと地味なギターポップという印象が強いのだが、ライヴでは結構ハード。これは、2001年のフジロックでも感じたことだ。



4:20 - 5:10 Jude

 サウス終了直後から睡魔に襲われたため、ライヴは未見。目覚めたときは、ベンジーの「またどっかで会おうぜ」という、締めのMCを聞いただけだった。



5:30 - 6:30 Scream Team DJs

 外は明るくなり、始発電車も動き出してきた時間帯なので、さすがに場内もかなり人が少なくなってきていたのだが、そうした中、革ジャン姿のマニともうひとりが登場。序盤にかかった曲はほとんどわからなかったが、後半ではセックス・ピストルズの『Hollydays In The Sun』なんて曲も。マニはDJのみならず拡声器まで使おうとしたりで(調子が悪かったようで結局断念)、サービス精神を発揮。いい人だな。








 2003年から開催されているマジック・ロック・アウト、昨年のチケット代は10,000円だったそうだが、今年は若干値上げして11,000円に。これは恐らく、イギー・ポップがストゥージズを帯同したことによるギャラ関連でかなあ、なんて勝手に想像している。でも逆に考えれば、イギー&ストゥージズとプライマル・スクリームの単独公演をそれぞれ観に行くよりは安くあがることになるし、他にも更に8組のアクトがあったのだから、個人的にはお得感の方が勝っている。


 動員うんぬんも言われているようだが、あまり人が増えすぎても入退場時やグッズ売り場、食にトイレにと、並ぶ列が長くなるだけだし、フロアの方も密集度が高くなって、快適さはなくなってしまう。ので、こちらも個人的にはちょうどいい具合だったと感じている。ソニックマニアと切磋琢磨しつつ、目玉となる(あるいは意表を突く)アーティストをブッキングができれば、来年以降も魅力ある冬場のインドアフェスティバルとして、成り立っていくと思う。ダブルヘッドライナーは、結構ハマります(笑)。




(2004.3.28.)















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