Summer Sonic 2002/Day 2-Vol.2 A/MUM/The Reindeer Section







私がよく見るウェブサイトのひとつに、NME.comがある。英国の人気音楽誌のウェブ版で、もちろん英語。しかし更新頻度が高いことや情報が早いこと、音源の試聴などもできることで、とても重宝させてもらっている。そのNMEで、昨年秋頃から頻繁に出てくるアーティストの名前があった。それは今回のサマーソニックにも出演しているアンドリューW.K.であったり、カナダの人気アーティストによく名前が似ているライアン・アダムスであったり、そしてAであったりする。


 英国では、日本ほどアイドルとロックバンドとの境界線というのがはっきりしていないように思う。そして音を聴いたことがない私は、当初Aのことをアイドルグループなのだと思い込んでいた。しかしフタを開けてみれば、彼らはパンクを基調としたロックバンドだった。つくづく思うのは、なんともナメたバンド名だなということ。だけどそう思ってしまうこと自体、既に彼らの術中にハマっていることになるのかもしれない。


 プレイモの時間押しを受けて、10分ほど遅れてライヴはスタート。なるほどパンキッシュではあるが、イギリスらしいメロディアスさがほとんどなく、むしろアメリカの若くて元気なバンドといったたたずまいだ。いや、アメリカっぽいゴリゴリした感触もなく、むしろお里不明の無国籍風パンクロックとでも言えばいいのか。一見わかりやすそうでいて、実はちょっと掴みどころのない連中。バンド名はシンプルで明快なのに、ね。





 ここで千葉マリンを離れ、幕張メッセのインドアステージに向かう。昨日のガンズ前では、移動に約15分ほど費やしたが、今度はまだ午前中で人もそれほど多くないこともあってか、10分程度で行けた。そしてメッセの中も、心なしか昨日より少し人が少ないように感じた。やっぱり、ガンズ目当てのファンが多かったのかしら。


 でもって、インドアはMUM(ムーム)のライヴがスタート。ビョークでお馴染みアイスランドの出身で、看板はフロントの双子美人姉妹。この2人は、ベル・アンド・セバスチャンの『Fold Your Hands Child,You Walk Like A Peasant/わたしの中の悪魔』のジャケットにも登場したことがあって、話題のひとつになっている。


 姉妹は、曲によりチェロを弾いたりギターに持ち替えたり、コンピューターをいじったりと、まさに変幻自在の大活躍。音の方は、環境音楽とも取れるぼわぼわしたたたずまいが多く、場内は横になり眠ってしまう人が続出。だけど私には、寝るなんてそんなもったいないことはできない。こうしたアンチロックのたたずまいこそが、これから必要とされる音楽だと思う(少なくとも私にとってはそう)。レディオヘッドの『Kid A』がそうだったように。モグワイの『Rock Action』がそうだったように。そして、ブライアン・イーノの音楽がそうであるように。そしてアンチロックのたたずまいこそが、今や最もロック的なのだ。





 6月から7月にかけての音楽雑誌に、20人以上の男女が同じ服を着て正座してニコニコしている写真が掲載されていたのを観て、なんじゃこいつらは??と思ったことがあった。こういうジャケットアートなのかと思ったら、これがそのままバンドメンバーだそうで、2度びっくり。実は彼らこそがレインディア・セクションで、アラブ・ストラップやティーンエイジ・ファンクラブのノーマンブレイク、モグワイのジョン・カミングスなど、グラスゴー出身バンドの連中が集まってできた、言わばドリームユニットだ。


 正式にはメンバーは27人(!)いるそうで、さすがに今回は全員そろっての来日とはいかなかったようだ(ノーマンもジョンも姿なし)。しかしそれでも、ステージ上は10人は下っていない。マイクスタンドも、いったい何本用意されていることか。音はティーンエイジやベルセバを思わせるソフトなギターポップという感じだったが、曲によってメンバーが増えたり減ったり、出て来たり引っ込んだりしていて、観ている方はわけがわからない(笑)。あんまりまとまりはなかったなあ。











(2002.8.25.)
















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