Factory収録 2004.12.11:フジテレビV4スタジオ

フジテレビ系で深夜に放送されている音楽番組「Factory」。現在は月1回の放送だが、以前と変わらず毎回密度の濃いライヴを届けてくれている。個人的には、2年半ほど前に1度だけ収録に参加したことがあるのだが、今回は出演するバンドから判断し、久しぶりに応募してみた。そして収録当日、フジテレビの8番ゲート前に集合。前回は何かと待たされたのだが、今回は割と段取りよく進み、4時過ぎにはスタジオに入ることができた。





 スタッフの指示による、振動テストや拍手の練習などが行われた後、4時半頃に司会者が登場。吉田健という人と、パフィーの吉村由美(顔ちっちぇー/笑)だ。この日出てくるバンドについて簡単に触れられた後、早速ライヴ開始。まずは、3人組のグレート・アドベンチャーだ。実はこのバンド、私はひと月ほど前にカサビアンのオープニングアクトとしてライヴを観たばかり。ヘルメットにサングラスといういでたちは、そのときと全く同じ。衣装も同じような気がする。


 序盤テルミンを駆使し、その後ギターを弾いて歌い始めるというスタートも、カサビアンのときのまんま。ベーシストの弾けっぷりも、曲間の「you know?」というなぜか英語でのMCも、ほとんど同じだ。ただ印象としては、今回の方が気負わずに楽にやれている様子で、演奏そのものも安定している気がする。前回はカサビアン目当ての客がほとんどで(私もそうだったし)、その前では少しやりにくかったのかな。そのときは私はヴォーカルが弱いなと感じていたのだが、今回はそうした違和感を感じることはなかった。このバンドは、こういうスタイルなのだ。この収録の数日後に、ソニックマニアのオープニングアクトとしての出演が発表された。





 続いては、スウェーデンの5人組マンドゥ・ディアオ。実は彼らは日本ツアーの真っ最中で、この前日には川崎でライヴを行い、翌日には札幌に飛んで昼はサイン会、夜にはライヴという、超過密スケジュールの合間をぬっての出演だ(若いな~)。私は彼らのライヴに行くかどうかをぎりぎりまで悩んでいたのだが、今回のFactoryへのエントリーは、まさに渡りに船となった。


 2人のギタリストが交互にヴォーカルを担当し、そして小柄なベーシストは、やたらはしゃいでいる。この3人でフロントラインを形成する格好で、後方にはドラムとキーボードが鎮座。ベーシストはストラップが切れてしまい、中央のグスタフもギターの弦を切るほどの凄まじさ。音は終始爆音で、ツアー中の勢いが伝わってくる。やたら来日している彼らだが、私が観るのは去年のサマーソニック以来2度目となる。そのときは勢い一辺倒の感が強かったのだが、今回は少したくましくなったというか、風格が漂っているように見える。確かにステージ上では一見暴れ放題なのだが、どっしり構えていて、安定感があるようにも感じた。終盤ではステージの両端からスモークが噴出し、ラストは彼らの曲の中で最もポップでキャッチーな必殺の『Sheepdog』で締めくくった。





 3組目は、Zoot16。「ズート・シックスティーン」というのが正しい呼び名らしいが、受付のとき係員のお兄さんは「ずーっとじゅうろく」と言っていたっけ(笑)。やはり3人組だが、ヴォーカル&ギター、DJ&プログラミング、そしてサックス、といった具合で、かなりユニークな編成。曲は大きくインストものとヴォーカルものの2種類に分かれ、インストはトランス色が強く、ヴォーカルものはレゲエ~スカっぽかった。バンドとしての一体感は強く、また音量にも凄まじいものがあったが、ギターの音はほとんど聴こえず(聴く側の場所にもよるのか?)。そして後で調べてわかったのだが、このヴォーカル&ギターのフロントの人は、実はトーキョーNo.1ソウルセットの人だった。サイドプロジェクトなのかな。


 Zoot16のライヴが終わり、セットチェンジが始まった辺りから、周囲がざわつき出した。どうやら、この後登場するバンド目当ての人が多かったようで、徐々に前の方が密集していっている。私はステージ向かって右端の前の方でライヴを観ていたのだが、その周辺も密度が濃くなってきた。そういや、ミッシェルのTシャツ着てる人多いしな。





 そしてついに、Rossoが登場。この3日前にアルバム『Dirty Karat』をリリース。前日には、テレ朝のミュージックステーションに出演している。タイミングとしては、4人編成になった新生Rossoがいよいよ始動し、その全貌が拝めるまたとない機会になると思う。そして4人がステージに現われると、フロア前方には更に人が押し寄せた。


 チバユウスケとイマイアキノブがギターをかきならし、照井利幸のベースが唸り、ドラムビートが絡み合って、演奏が始まる。ステージ上には既に独特の雰囲気が漂い(これがあるだけでなんだか安心する)、ファンの熱狂ぶりも尋常ではなくなっている。4人は特に派手なアクションをするわけでもなく、MCもほとんど発しない。ただ淡々と演奏をしているだけなのだが、しかしその存在感は圧倒的だ。


 チバと照井がいることから、どうしてもミッシェル+ブランキーという図式が浮かんでしまい、また立ち位置としては、昨年解散したミッシェルの後を受けるべきバンド、という思いが強くなる。しかし今の彼らは、その宿命から逃れようとはせず、真っ向から受けて立つという姿勢を取っているのだ。2年半前の3人編成のときは、サイドプロジェクト的な意味合いが強かったと思うのだが、今回はこれで行くんだという気構えが見えるし、それが音としても実現できている。


 クライマックスになったのは、シングルカットもされている『1000のタンバリン』だ。ブランキーにもミッシェルにも「タンバリン」とつく曲があって、それだけでなんだか意味深なのだが、曲の展開はミッシェルが魅せていた刹那的なメロディーを思い起こさせる。思い起こさせはするが、やはり似て非なるスタイルだ。想像がつきそうで実は想像がつかなかった、そんな新たな世界を新生Rossoは生み出している。演っている当人たちも、きっとその手ごたえを掴んでいるはずだ。


 昨年10月の幕張メッセ公演を以って、ミッシェル・ガン・エレファントは解散した。私もその場にいたのだが、解散から時間が経過するにつれ、何かぽっかりと穴が開いたような感覚に襲われた。と同時に、メンバーの今後の動向が気になるようになった。クハラ、ウエノ、(アベはどうしたんだろう?)、そして今回のチバだ。チバがRossoとして動くことは予想できたことだったが、期待を大きく上回る音を引っ提げて、チバは帰って来た。帰って来たんだ。

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 ライヴの収録時間はそれぞれ30分程度であり、時間だけを見ればコンパクトではあった。がしかしその密度の濃さは、普段のライヴと少しも変わらない。今回は計約3時間半の収録となり、変に待たされることもなく、体力的にもなんとか楽に持ちこたえられた。冷房を早くから入れてくれれば、もっと快適に過ごせたのだが。今回の収録は、CSでは2005年1月22日に、フジテレビ地上波では1月29日に、放送される予定だそうだ。


(2004.12.17.)



















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