Summer Sonic 2007/Day 2-Vol.3　Sean Lennon／UNKLE／Pet Shop Boys

サマソニではアウトドアでも例年少しずつステージを増やしていっている。のだが、個人的にはインドア中心で過ごすことがほとんどで、これまではマリンステージ以外には行ったことがなかった。しかし今年は、初めてビーチステージに足を踏み入れることに。その名の通り海っぺりに設置されていて、足場は砂場である。ステージを正面にした場合、右手側が千葉マリンスタジアムや幕張メッセとなり、左手側が海になっていた。


そして演奏していたのは、ショーン･レノンである。個人的にはビースティー･ボーイズの前座で出ていたのを観た以来で、本人もその間目立った活動をしていなかったらしく、今年待望のセカンドアルバムをリリースしている。ショーンは長髪でヒゲをたくわえ、かなりワイルドでヒッピーチックな風貌に。丹念にギターを弾きながらバンドを統率し、延々とインプロヴィゼーションを繰り広げていて、その緩さが海沿い～砂場～夕陽～という環境に、とても合っていたと思う。


バンドには日本人女性も2人いて、うちひとりのキーボードを弾いていたのは、どうやら本田ゆかだったようだ。以前ショーンとは公私共にパートナーの関係だったが、その後その関係ではなくなったと伝えられていて、ということは現在はビジネスのパートナーとして2人の関係は成り立っているのだろうか。ショーンは曲間のMCも豊富で、しかも日本語で。ウルトラマンが好きだとか、ボクの名前はタローですとか(正式名にはタローと入っている)、いろいろ言っていた。場内にはアーティストの姿も見られ、トライセラトップスの和田やフラテリスの人(ルーニーの人だったかも)もいた。





メッセに舞い戻り、ダンスステージでアンクルを観る。今年のサマソニはダンス～テクノ勢がとても充実していて、その多くをダンスステージに集約しており、これはとても評価できる。まさか、アンクルのライヴを観られるなんて思わなかったし。さてそのアンクルだが、デジタルビートやダンスチューンでノリノリのアゲアゲ･･･ではなく、バンドスタイルでじっくり演奏してくるというアプローチだった。ちと肩透かしを食った気もしたが、勢いで蹴散らすよりも腰を据えてしっかり演奏するのもアリなのかなと。


さて、時間的にいよいよ大詰めになってきた。個人的には、初日はトラヴィスで締めることに何の迷いもなかったのだが、2日目については少し考えた。マリンステージのアークティック･モンキーズで締めてもよかったのだが、彼らは去年観ているし、解散しない限りまた観る機会はあるはずだ。逆に、今回を外したらもう観られる機会はないのではと考えて、ソニックステージのペットショップ･ボーイズを選ぶことにした。2002年のフジロックでもスルーしていたしね。





ソニックステージは、意外と言っては失礼だが入場規制になろうかという人の入りになっていて、ペットショップファンはこんなにもいたのかとびっくりさせられた。客電が落ちてSEが流れる中、5～6人のダンサーが登場して踊り出す。ペットショップ･ボーイズはヴォーカルのニール･テナントとプログラミングのクリス･ロウによるユニットなのだが、この状態ではどの人が2人なのかわからない(笑)。やがて、ダンサー数人が袖の方に捌けて行き、ステージ向かって右に設置された卓にひとりが収まった。そしてステージ中央では、2人組が向き合ってパントマイムっぽいことをやっていて、うちひとりが袖に捌けて行って、残った人が歌い出し、この人がニールであることがわかった。


演奏はバンドスタイルではなく、ステージ上はほんとうにニールとクリスの2人だけだ。メロディーはほとんどクリスの操作によって成され(曲によってはPAスタッフによる操作もあったのだろうけど)、そしてニールが熱唱するというスタイル。CDではニールのヴォーカルは生の肉声には聴こえず、機械加工がされたように思っていたのだが、実際ナマで聴いてもその声質はCDで聴くのとほとんど変わらず、これがこの人の地声なのかと唸らされた。ステージ上は基本的にスペース余りまくりなのだが、曲のコンセプトに合わせるようにダンサーたちが衣装替えして登場し、見せ場を作っていた。バックドロップには横長のスクリーンがあってオブストラクトな映像が終始流されていて、視覚効果も抜群。肉体性に溢れた生々しいステージになるものと勝手に予想していたが、実際はかなりダンス～テクノに寄ったスタイルで、そしてそれは見事に成功している。


私が知っているペットショップの曲と言ったら数えるほどしかなくて、そしてそれらは終盤に固め撃ちされた。本編ラス前に『West End Girls』、そしてアンコールに突入した後、オーラスが『Go West』である。パフォーマンスそのものもさることながら、ステージの物理的な構成やライヴの流れ、オーディエンスのノセ方など、いずれもが上手く、ライヴ巧者ぶりを見せつけていた。私もそう感じたのだが、ペットショップでサマソニを締めくくることができてよかったと感じた人は、かなりいたはずだと思う。











仕切りについては言わずもがなで、これまで書いてきたことのほかにも、オフィシャルブースで売り子の兄ちゃんにここでこういうことができるかと聞いてもわからなかったり、それならとインフォメーションブースに言って同じことを聞いてもやはりわからなかったり、と、 相変わらずの弱小＆不徹底ぶりを発揮した(用件は、結局再度オフィシャルブースに行き、中の係員に直接尋ねて解決)。ライヴ以外にも各ブースは充実していて、飲食エリアに設置されたステージではお笑い芸人たちが入れ替わり立ち替わりでネタを披露し、エアギターの日本代表選考会も行われていたようだ。


こうして、いろいろあったがトータルでは楽しい2日間を過ごすことができ、電車で家路についた。日に焼けた顔や両腕を確認し、そして2日間腕につけていたリストバンドにハサミを入れて切り離したとき、私にとっての今年の夏が終わったことを実感した。


















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