浜田省吾 2001.11.25:代々木競技場 The Second Show

15分の休憩の間、スクリーンには今までのツアーの模様やPV撮影風景、スタッフとの打ち合わせといった舞台裏などをまとめた『The Document of "ON THE ROAD 2001"』の映像が流された。ファンを飽きさせないための工夫が随所に感じることができ、嬉しかった。そしてその映像に写る浜田の姿には、ボブ・ディランや忌野清志郎がダブって見えた・・・のは私だけだったろうか。





第2部は、アコースティックセットで始まった。ステージは星を思わせるライティングが成され、後方にはカーテンがツリー状に装飾されている。曲は『Midhight Flight』。この後のMCで、毎年クリスマスシーズンになると、巷に流行るのは山下達郎の『クリスマス・イヴ』。で恐らく今年は、桑田佳佑の『白い恋人達』でしょう。でもそうしたメインカルチャーに対抗するサブカルチャーとして、今年は浜田省吾の『Club Surf & Snow』バージョンの『Midhight Flight』が流行る・・・TVのような巨大メディアに頼らずとも、そういうムーヴメントをオレは作りたい!と語る浜田であった。


なおもMCは続く。このツアー"ON THE ROAD 2001"が始まったのは1998年の4月。4年越しで200回近くも行われ、普段行かないような土地にも出向いているのだそうだ。関東だけでも30回以上がこなされた。浜田が公演日と会場を読み上げ、その公演に行った人は拍手をして応える。ファンクラブ限定のライヴも何度か行われているようだった。風邪をこじらせて延期したり、ライヴの最中に肉離れを起こしながらも最後まで乗り切った公演もあったという。しかしなんとリピーターの多いことか。初ライヴの私は言わば"転校生"(笑)。しかし浜田は、そんなファンにもきちんと礼儀を尽くしてくれる。





この後も合間合間にMCを挟みつつ、『片想い』『もうひとつの土曜日』といった名曲を披露する。そして、パラパラパラ~というヘリコプターのイントロが。これは『J Boy』のトップを飾る曲『A NEW STYLE WAR』なのだが、私は初浜省にしてこの曲がナマで聴けて、ほんとうによかった。この人の場合、アルバムにひっそりと収録された曲でも隠れた名曲というのがいくつもあって、きっとそれはファンひとりひとりによって自分だけの隠れた名曲というのがあると思う。私にとっては、この曲なのだ。


"A NEW STYLE WAR"は国と国との権力を争う戦いかもしれないし、あるいは個人と個人とのイデオロギーをめぐる闘争なのかもしれない。この曲が書かれたときには冷戦やチェルノブイリ原発事故があったが、今年はご存知のようにニューヨークであの事件があった。世の中は一見平和でいるようでいて、実は時を重ねるたびに病んでいっているのではないか。この曲はリリースから15年を経た今も、時代をキャッチし警鐘を鳴らす曲になっている。戦いは、続いているのだ。





終盤、この日何度目かのクライマックスが訪れる。イントロはなぜか打ち込み音だが、その合間に浜田のかすれた声が聞こえてくる。



Show me ...


Show me your way,J BOY !



問答無用の『J BOY』だ!しかし浜田の歌を軸にしつつも、ギターの人が、サックスの人が、それぞれに見せ場を作る。そして間奏では、それまでは終始座って演奏していたストリングスカルテットの女性たちがすっくと立ち上がり、ヴィオラやバイオリンを奏でる。思うにこの『J BOY』こそは、バンドメンバーがおのが持ち得る力量を最大限に発揮しそれらがひとつに結集した、最高の瞬間ではなかっただろうか。



そして第2部もラストとなり、浜田がことばを噛み締めるようにして語る。





このツアーを始めたときは、2001年を迎える頃には、


世の中はもう少しよくなっていると思っていました


ところが現実には不況の出口は見えず、


失業はなくならず、悪質な犯罪は増えていくばかり・・・


私たちはこの辛い世の中を絶え、しのいで、


生きていかなくてはならない


人を陥れたり、殺めたりすることのない、


そんな世の中を作っていかなくてはならない


僕が最近観た映画の中で、おばあさんがこう語っています


「冬の中に、春はあるんですよ」



曲は新作のラストでもある『日はまた昇る』。旅を感じさせるメロディで、4年にも渡ってツアーを続けて来た、ストリートを突っ走って来た浜田と、メンバーのプライドがにじみ出る。ここで再び場内暗転。時計を見るともう9時近い。しかし、まだまだ"ショウ"は終わらない。まだまだ"ショウ"は続くのだ。
















And The Shogo Must Go On ...


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