Summer Sonic 2005/Day 1-Vol.2 Island Stage/The Arcade Fire/Interpol/Mew
3番ホールには物販や出店のほか、アイランドステージという小さなステージがある。日本のアーティスト中心のステージで、ここでの私の目当てはZazen Boys。がしかし、ステージの狭さ(ライヴハウスくらい)から察するに、入場規制になる確率が高いと踏んで早めにステージ入り。ジョニー・パニックという、UK新人バンドのパンキッシュな演奏を少しだけ楽しんだ後、セットチェンジの間じっとしながらZazen登場を待った。
予想した通り、たくさんの人が詰め掛けてきた。私はステージ向かって右前方にいたのだが、入り口のある左側は密集度が高くなっている様子。係員が既に中にいる人に対して立って詰めるようにという呼びかけを何度かする。こうしているうちに時間になったのだが、バンドが登場する気配はなし。やがて係員がステージに現れ、後方が危険な状態になっているため、バンドの登場を見合わせている旨を説明。後方の整理ができ次第ライヴを開始します、というアナウンスがされた。
しかしそれでも時間が経つばかりで、ライヴは一向に始まらない。Zazenの持ち時間分が食いつぶされた頃になって、再び係員がステージに登場。後方の整理がつかず混乱しているため、アイランドステージの進行を一時中断すると言うアナウンスがされた。当然場内からはブーイングが。中にいた人はそれこそ1時間以上待っていたわけだし、そのあげくにこれかよという不満だ。結局、アイランドステージの進行は2時間遅れとなって再開。私は次の自分の予定に従って行動したため、Zazenは観れず。
狭いステージである以上、人気のあるバンドのときに人がたくさん集まってくるのは当たり前のこと。結果論的に言えば、最初からZazenをもっと大きなステージにブッキングしとけよということになるが、そうではなく現実解としては、なぜ入場規制を迅速に行いライヴを予定通りに行うことができなかったか、ということになる。どんどん人が入ってくるのであれば、巨漢の外人セキュリティを使って中に入って来れなくするよう整備するなど、やり方はいくらでもあったはず。開催6回目となるサマーソニックだが、こうした仕切りの悪さは一向に改善されない。進歩がない。学習能力がない。そして、客をなめるな。
ソニックステージに舞い戻り、アーケイド・ファイアを観る。カナダ出身で、バンドは7~8人はいようかという大所帯だ。ラジオやネットで聴いた限りではトーキング・ヘッズに似ていたが、全ての曲がそうではなかった。演奏は変幻自在で、ドラマー以外のメンバーが曲毎に楽器を換えている。特に左2人が奇抜で、2人ともスティックを持って、最初のうちは鍵盤を叩いていたのが、そのうち楽器のへりや床を叩き出し、ひとりがヘルメットを被るともうひとりがそのヘルメットを叩くといった、なんでもアリのムチャクチャ状態だ。
マウンテンステージに行き、インターポールを。個人的には観るのは2年前のサマソニ以来。4人のメンバーは漆黒の衣装に身を包み、切り込むようなギターのリフ、そして低音ヴォーカルはもちろん健在。1曲1曲をじっくりと演奏するその姿には安定感が漂い、堂々たるもの。ダークではあるが知的な佇まいは、ニューヨークのポスト・パンク・バンドというイメージを裏切らない。バンドは順調にキャリアを重ねているように見え、今後の成長も益々期待できる。
再びソニックステージに行き、Mew(ミュー)を。インターポールと同様、こちらも観るのは2年前のサマソニ以来だ。そのときは女性ファンの黄色い声に面食らってしまったのだが、今回は不思議とそうしたことはなかった。
ステージ後方にはスクリーンがあり、曲にシンクロするように映像が流れる。猫がバイオリンを弾いていたりと、ファンタジックながらもちょっぴり不気味な映像だ。そして演奏の方だが、このバンドの必殺ナンバー『Am I Wry? No』を2曲目に放ち、後は新曲を交えて進められる。ヨーナスのまるで女性のようにシャープなヴォーカルは相変わらず冴え渡っていて、そしてバンドとしてはひと回りたくましくなった印象がある。各々の曲は幻想的な雰囲気を醸し出しつつロックな面も併せ持ち、2年を経ていいバンドに仕上がったなあと感激した。秋には新譜がリリースされるそうだ。
(2005.8.23.)
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