Sonicmania'04 - Vol.2 Loudness/Pleymo/Jesus Jones/Backyard Babies
今でこそ洋楽ロックと日本のロックの格差を感じることはあまりなくなったが、日本の先駆者バンドのひとつがラウドネスではなかったかと思う。80'sはヘヴィーメタル全盛期でもあったのだが、乱立する欧米メタルバンドに唯一対抗しうる力量を持ち、実際海外進出も果たしていた。個人的には高校生当時の思い出とリンクしていて、クラスの同級生がスコーピオンズやナイトレンジャーと同等にラウドネスを聴いていて、私はというと、アニメーション映画のテーマ曲として彼らの音に触れていた。
壮大なSEに導かれるようにして、メンバーが登場。ヴォーカルの二井原実はもろオッサンだし、ギターの高崎晃はエクステンションつけまくりのドレッドヘアになっていて、これオレの知ってるラウドネスとは違う別のバンドなんじゃと、最初はあせってしまった。しかし演奏が始まるや、風格漂うハードロックチューンが轟き、ほっとひと安心。二井原の甲高い声も相変わらずなら、高崎の速弾きも健在だ。新譜をリリースしたばかりでツアーもするとのことで、過去の実績に依存することなく、今を生き続けようとするさまが伝わってくる。そして、'02のソフトバレエや'03のBuck-Tickのように、日本のベテランバンドを観る機会としても、サマーソニック/ソニックマニアはいい舞台になっていると思う。
ここまでは、ステージ前方を除いて場内は割と閑散としていたのだが、徐々に人が増え出してきた。そして、マウンテンステージ側は特に人が密集するようになり(メーンのKornを意識しての早い陣取りもあったかと)、場内からはプレイモコールが自然発生。ソニックマニアの序盤戦が終わり、中盤戦に突入したことを感じさせた。
大熱狂ムードの中でプレイモ登場。個人的には、サマーソニック2002のアウトドアステージで彼らのライヴを観ている。そのときはメンバーがきれいに色分けされたツナギ姿だったのだが、今回は割と地味。そして、サウンド面においても変化が見られる。基盤はヘヴィーロック+ラップなのだが、昨年リリースした新譜ではロックサウンドが色濃くなっている。しかし、ヴォーカリストの日本語多用ぶりや、「サケベ」と言ってオーディエンスを煽るさまなどは相変わらず。微笑ましくもあり、少々くすぐったくもある。
サマーソニックの熱狂ぶりからして、その後の単独公演がクアトロクラスだったことに、私は首をかしげた。他の国でならともかく、日本ではもっと成功しているんじゃないか。もっと大きなハコでやってもいいんじゃないか。そんなふうに思ったのだ。それから1年半近くが経っての今回の来日だが、一層たくましくなっていて、フェス映えするというか、大会場に強いというか、その成長ぶりには恐れ入る。
早過ぎたデジロックバンド、ジーザス・ジョーンズ。かつての来日公演では、布袋寅泰と対バンで武道館公演をしたこともあるようだ。90's後半以降は苦戦を強いられた様子だが、バンドは解散の危機を乗り越えてしぶとく生き残っていた。今回の参戦を、感慨深く感じているファンも多いのかもしれない。出だしは音が軽いように感じ、キーボードの人だけがやたらノリノリだったが、この人もバンドも空回りしてるんじゃと、ちょっと不安になってしまった。
しかし、3曲目以降はバンドのコンビネーションが整い、演奏も引き締まってきた。デジロックと言われながら、軸になっているのはやはり生楽器による演奏だ。若干ノスタルジックではあるが、どの曲もポップで心地よく、ダンスチューンとしても通用しそう。私は『Doubt ?』しか聴いたことがないのだが、『Trust Me』『Who? Where? Why?』を終盤の大詰めになって演ってくれたことが、嬉しかった。
今回のソニックマニア、開催前にメーンのKornに次ぐ期待度の高さを見せていたのがスリップノットだったと思う。しかし、日本に来る前の韓国でのライヴを昨年暮れにキャンセルした辺りからもしやという空気が漂い、そして年が明けてからソニックマニアもキャンセルになってしまった。個人的にも、今まで彼らのライヴは観たことがなく、とても楽しみにしていたので、残念なことになった。その代役として抜擢されたのが、スウェーデンのバックヤード・ベイビーズだ。
ゴリゴリしたヘヴィーロックのスリップノットとは異なり、ガンズ・ン・ローゼズやハノイ・ロックスを思わせる、正統派ロックンロールを繰り広げるバックヤード・ベイビーズ。ちょうど新譜もリリースしたばかりで、今回の抜擢はまさに渡りに船状態だと思う。実際彼らはかなり張り切っていたし、ほとんど間を開けることなく次から次へと曲を連発。その姿勢には好感が持てた(しかし、ステージ直前のブロックはKornファンに陣取られていた様子で、ノリが今ひとつ。ちょっと気の毒だった)。3月には単独公演で再来日するとのことで、今年はツアーで世界を駆け巡るのだろう、きっと。
(2004.2.4.)
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