Fuji Rock Experience Vol.13 ZZ Top
グリーンステージに戻る。ZZトップのライヴの最中である。個人的にはZZトップが来日を果たすこと、そしてフジロックに出演が決まったことは素直に嬉しかった。が、事前にはなぜZZトップなのか?という疑問の声も少なくはなかったと思う。ジョー・ストラマーのライヴ前に姿を見せた日高社長も、ジョーのために集まってくれているみんなが、このままここに残っていてくれることをZZトップは期待している、という旨の発言をしていた。
果たして、グリーンステージ前は大勢の人ひとで埋め尽くされていた。遠目に見ていても、それは信じ難いほどに美しい光景だった。ライヴはちょうど本編ラストに差しかかっていて、そこで放たれたのは『Legs』だった。ビデオクリップがその当時のMTVアウォードにも選ばれた、彼らの必殺兵器のひとつだ。トレードマークのヒゲとグラサン。gやbには綿のようなものがついているみたいだ。たった3人でこの音量。たった3人でこのダイナミックなライヴ。
1年前の大トリだったプロディジーのライヴの中で、そして初日のトリのレイジのライヴの中で、私はその場に集まっている人の意志が集中しているのを感じていた。人間が光を発することなどあるはずはないし、実際はステージのライトが反射して光ってるように見えてるだけじゃん、というツッコミも受けそうだが、人の意志が、魂が、確かに光っていたのだ。それと同様の感覚がここにはあった。
3人がステージを去った後、期せずして「ZZトップ!ZZトップ!」という、アンコールを求める歓声が湧く。そしてもちろん3人は再登場だ。いったい何が疑問だったのか。いったい、何が不安だったというのか。確かにフジロックはウッドストックやグラストンベリーをサンプルにはしただろう。しかし、フジロックは欧米のこれらのフェスのコピーではないのだ。海外のバンド、日本のバンド。超大物、旬のバンド、若手、それに新人。グリーン、ホワイト、天国、Virgin Tent、New Band Stage。このゴッタ煮よう。このまとまりのなさ。そしてその象徴なのかもしれないZZトップ。いいじゃないか。最高じゃないか。これがフジロックだ。これが日本における1999年の野外フェスティバルなのだ。
ZZトップのライヴが終了し、再び日高社長が登場する。
ありがとう!
みんなの協力のおかげで、無事3日間終了できそうです。
スタッフに替わってみんなにお礼を言います。
最後の最後になって、日高社長からこのことばが聞けてほんとうによかった。こちらこそありがとうです。グリーンステージには1日目に続いてトドスが登場して最後を飾る。その一方で、Virgin Tentは翌朝5時までフル回転だ。私はこの3日間に見たもの、聴いたもの、感じたもの、出会った人たち、さまざまな想いを胸に秘めながら、ホテルに向かって歩き出す。
(99.9.18.)
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