Fuji Rock Festival'04 Day 3-Vol.4 Belle & Sebastian/Space Cowboy/!!!
グレアムのライヴが終わり、グリーンのこのあまりにも滑稽な状況を観に行きたいという、妙な欲が出てきた。がしかし、ホワイトとグリーンを結ぶ橋のところまで来たときに、びっくりしてしまった。グリーンの方から、人が大量になだれ込んで来ているのだ。恐らくは、ふざけた状況を目の当たりにしてその場にいられなくなり、ベルセバを観るべくやって来たのであろう。これを見て、私はグリーンに行くのをやめた。怖いもの観たさでジーズ・チャーミング・メンを観に行って、この後のベルセバが入場規制などで観れなくなってしまっては、元も子もないからだ。
そのベル&セバスチャンだが、個人的には観るのは今回が初めて。CDは全て聴いているのだが、ほとんどの曲が同じに聴こえてしまうという、私にとっては非常にとっつきにくい連中なのだ。さて、登場したバンドはかなりの大所帯。フロントマンであるヴォーカルのマードックが体を弾けさせながら熱唱し、バンドもかなりの演奏力を見せる。CDを聴いていると、スタジオでこそこそやっているアーティストのような印象を受けるのだが、実は生身の肉体を駆使したライヴ集団だったのだ。曲毎に楽器やパートが入れ替わる変幻自在ぶりは、日中に観たMUMにも通じ、また大柄な女性のパワフルなヴォーカルも、いいアクセントになっていた。
オレンジコートやフィールド・オブ・ヘヴンのライヴが終わり、そしてベルセバのライヴも終了してホワイトもお開きになって、引き返すことにした。グリーンステージでは、クロージングバンドである渋さ知らズオーケストラがライヴ中で、ステージ上には数10人のアーティストやダンサ−たちが入り乱れていた。そしてステージ前のモッシュピットでも、踊り狂う人たちでなんだかわけの分からない状態になっていた。クロージングでお祭り騒ぎになっているのは毎年のことだが、今年はとりわけ凄まじいように思えた。
グリーンは通過してオアシスエリアで腹ごしらえをし、休みながらモニター越しにスペース・カウボーイのDJプレイを楽しんだ。3日目は夜になると帰途につく人もいるのだが、それでもオアシスにはまだまだたくさんの人がいる。そんな中をプリンスの『I Would Die 4 U』のデジタルバージョンが響き渡り、まだまだ夜には続きがあり、そしてフジロックにも続きがあることを痛感した。
そして私のフジの締めは、!!!だ。最初はなんて読むのかわからなかったが、どうやらチック・チック・チックと呼ぶらしい。この日は既にホワイトでのライヴをこなしていて、深夜のマーキーは2度目のパフォーマンスとなる。そして、こいつらはとんでもない奴らだった。音は電子音に彩られたファンキーなダンスミュージックだが、変拍子のリズムが特徴で、それに乗せてヴォーカルの人が、これまた妙な踊りを踊っている。
しかしこのたたずまいが心地よく、深夜だとか、眠いとか、疲れているとか、そんな状況を忘れさせてくれるような勢いと爽快さだ。かつ、得体のわからない化け物のような凄みがあって、その場に居合わせる者を自分たちの世界に引っ張り込むことに成功している。バンドは7~8人編成で、曲によって楽器を変えていたり、またヴォーカルが入れ替わったりと、自由でフレキシブルな構成のようだ。新人と聞いていたが、怖いもの知らずというか、やってしまえばこっちのものというような断定的なパワーがあって、その勢いがレッドマーキー内を支配した。
初日と2日目が雨に見舞われてしまったのは昨年と同じだが、最早天候の変化に動じることもなくなり、普通に対処して過ごすことができた。ひと言では言い表せないのだが、いろいろ見所があって、前夜祭を含め楽しい4日間だった。今年はワールドクラスのフェスティバルがもうひとつ増えてフェスバブル状態になったが、その中でもやはりフジロックは頭ひとつ抜きん出ていると思うし、毎年参加している身としては、今後も続けてほしい「行事」だと思っている。
(2005.2.1.)
Back(Day 3-Vol.3)