Fuji Rock Festival'03/Day 1-Vol.1 Joe Strummer/The Mods







朝起きたときは雨がやんでいて、ラッキーと思ったのもつかの間、仕度しているうちにぽつぽつと降り出してきてしまった。やっぱり今年は雨か・・・。会場に着いたのは10時半過ぎで、当然ながら地面はびちょびちょ。今までは毎年レジャーシートを持参して、グリーンステージの向かって左側の前の方に陣取っていたのだが、今年はこの悪天候のためシートは持参せず、代わりに折りたたみの小さな椅子を携行することにした。


椅子を広げて座り、ひと息ついたところで、テーマ曲『田舎へ行こう』が流れる。フジロックの「顔」であったはずの忌野清志郎は、今年はエントリーなし。自身がデザインしたTシャツがグッズ売り場で扱われてはいるものの、本人の参加がなく、曲だけが流れるのは少し寂しい気がした。昨年はあんなにフル回転で張り切っていたというのに・・・。この人のアーティストとしての素晴らしさを知ることができたのも、私にとってのフジロックのありがたいことのひとつだ。というわけで、来年はぜひ。





2001年には、初日朝にジョーイ・ラモーン追悼セレモニーが行われた。この年亡くなったジョーイに敬意を表してのことで、ステージにはレニー・ケイも姿を見せ、そして後方にラモーンズのエンブレムマークが掲げられる中、『Blitzkrieg Bop』が流された。そして昨年暮れのことだが、クラッシュのヴォーカリストであり、ソロ活動も軌道に乗り始め、またフジロックを愛したアーティスト、ジョー・ストラマーが亡くなった。ジョーは、今年の初日ホワイトステージのトリで出演することが、このとき既に決まっていたそうだ。


まずはステージ横の巨大スクリーンから、映像が流された。最初はクラッシュ時代の演奏シーンだったが、続いてはあの嵐のフジロック'97のものに切り替わった。初日の夜間か、あるいは2日目の朝くらいの映像だと思われるが、降りしきる雨の中、混乱し殺伐としたテントの中で、なんとあのジョー・ストラマーが、自らゴミを片付けていた。やがて映像は、'99グリーンでの『London Calling』のシーンに切り替わり、そしてプライベートで参加した昨年の様子で締めくくられた。


ステージには、日高社長、ジョーの友人で写真家のボブ・クルーエン、そしてジョーの2人の娘が姿を見せた。日高社長がジョーの奥さんから預かったという手紙を読み、今年のフジロックのTシャツにジョーのものを作ったこと(売り上げはジョーが支援していた活動の基金に充てられるそうだ)、パレス・オブ・ワンダーの去年ジョーがキャンプしたところに、メモリアルを設けたことを話してくれた。ジョー・ストラマーこそは、フジロックフェスティバルを支持してくれた、最初にして最大のアーティストではなかったか。そして、ジョーの肉体は滅んでも、ジョーの魂は永遠に生き続ける。





グリーンステージは、セレモニーに引き続きミッシェル・ガン・エレファントのライヴが始まった。ステージ前にオーディエンスが押し寄せる中でライヴはスタートしたが、しかし私は、ここでホワイトステージに移動した。


そのホワイトは、ついさっきまでいたグリーンとは打って変わって、寂しい人の入りだった。嗚呼。しかしステージを間近にして観るには逆に好都合で、ザ・モッズの演奏がスタート。日本が生んだベテランロックバンドのひとつで、なんと結成以来メンバーチェンジがないという鉄の結束を誇っている。その風貌はさすがに年を感じさせるものがあるが、しかし放たれたエネルギーは力強く、そして攻めの姿勢が伝わってくる。


中盤、『I Fought The Law』を含む2曲のクラッシュナンバーが披露され、バンドのジョー・ストラマーに対する敬愛の念が感じられた。約40分のステージはあっという間だったが、惜しむらくは、代表曲『激しい雨』を演ってほしかった。メンバーにしてみれば、懐メロはごめんだという気持ちだったのかもしれないが、実際に雨が降っている中で演奏できる機会もそう滅多にあるもんじゃないと、私は思ったのだ。


(2003.9.9.)
















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