Fuji Rock Festival'01 Day 3-Vol.2 四人囃子
3日目は、観たいアーティストがホワイトステージに集中していた。なのでここでレジャーシートをたたみ、荷物を持ってグリーンから移動。林道を歩いて行くと、ホワイトの方から音が漏れ聴こえて来た。まだ時間前のはずなのに、四人囃子のライヴが始まってしまったのかとあせったが、どうやらリハーサルのようだった(これが公開レコーディングだと知ったのは、後になってからだった)。ホワイトステージの足場は、石がゴロゴロしていて芝が少なく、砂埃がひどい。そして、日陰がほとんどなかった。
イントロのSEが響き、4人のメンバーが姿をみせる。そうして、ほぼ時間通りにスタート。オープニングは、予想通りの『おまつり』。森園勝敏のギター、そして歌声が心地よく響く。私は当初、中盤辺りでライヴを観ていたのだが、ここで居ても立ってもいられなくなり(笑)、前の方へ走り出した。4月~5月のライヴのときは、チケットを入手するのにどれほど苦労したことか。なのにここでは、ライヴ中でも余裕で前5列目辺りまで来れてしまう。まあ、これもフジロックのいいところのひとつなのだけど。
続いては、『空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ』。岡井大二のドラムがイントロで始まり、トータルではやはり森園のギターが軸となる曲だ。メンバーはみな調子よさそう。野外でしかも暑い中のライヴということもあってか、みな軽装。キーボードの坂下秀美のサングラスが、かっこいい。お次は『泳ぐなネッシー』。4人のソロパートが2度ずつあり、それぞれに技量を披露する。こうしてほぼベストといえる選曲でライヴは続き、続くはインストの『なすのちゃわんやき』。佐久間正英が弾くリコーダーはどこに用意されているのだろうと思ったら、マイクスタンドに筒のようなものがついていて、そこから取り出していた(このリコーダーの音が、よく聴こえなかった。ちょっと残念)。
私は今年になってから四人囃子を知った、遅れてきたファンもいいところなのだが、幸運にも4月~5月の東京厚生年金会館や渋谷公会堂でのライヴを体験することができた。客の年齢層はさすがに高く、70'sからバンドを支持し続けているファンがたくさん集まったんだなと思った。そしてこれらの会場は、その当時からバンドにもファンにもお馴染みのところだと思うのだが、私は、四人囃子がその音楽性を発揮するには狭すぎる会場だと感じていた。この音を野外で聴けたら、もっと気持ちがいいのにと感じていた。
勝手な願望だが、四人囃子はフジロックに出るべきだと思っていた。四人囃子は初心者だが、フジロックは皆勤の私に言わせれば、彼らの音はフジの会場の雰囲気に合うと思っていた。合うだけでなく、今なお風化することのない四人囃子の優れた音楽性は、熱狂的なファンだけでなく、多くの若いロックファンにも知ってほしかった。フジは、その絶好の舞台にもなるからだ。そんな私の想いを見透かしたかのように、5月のツアー終了後まもなく、四人囃子のフジロック出演が発表された。フジロックをご存じない熱狂的なファンの方の中には、複雑な気持ちの方もいるかもしれない。しかし私としてはしてやったりで、ニヤニヤとして顔が緩みっぱなしだった(笑)。
彼らの演奏力は、往年のファンを唸らせるのはもちろんだが、必ずしも彼らのファンではない人たちの中にも、届いたはずだ。そして、その極めつけとなる瞬間がやってきた。坂下のキーボードがイントロの、必殺の『一触即発』。この曲を、野外で観てみたかった。野外で聴いてみたかった。森園が歌う「おぉーおぉ~空が~破れる~♪」という歌詞は、屋根のないこの開放的な空間でこそ、歌われるべき詞だ。
ライヴ終了後、アヴァロンフィールドで昼食を求めていると、入り口前のテーブルにドアーズやキンクスといったアーティストの名盤CDをちりばめているブースを見つけた。最初は気にも留めなかったが、もう一度その前を通りかかったとき、中にサングラス姿の坂下秀美がいるのを見つけた。そして入り口の横には、佐久間正英も。ここは、四人囃子のブースだったのだ。どうやらバンド関係者のたまり場にもなっているようで、春のツアーで共演した金子マリもここにいた(この後グリーンでCharのライヴがあったので、みんなで観に行ったのかな)。
そして私は、佐久間さんと半ば強引に(笑)握手してもらい、「お疲れさまでした。ライヴとてもよかったです」と声をかけた。佐久間さんにとっては、どこのどいつと握手したのかまるで訳がわからない状態だったろうが、私にとっては素晴らしい思い出ができた。
(2002.8.11.)
Back(Vol.1) | Next(Vol.3)