Fuji Rock Festival'02 Day 2-Vol.2 Love Psychedelico/The Music/忌野清志郎・矢野顕子
さて、ドラゴンドラを乗り終えてグリーンステージに生還。渋さ知らズのライヴはとうに終わった後だったが、なんとかラヴ・サイケデリコのライヴには間に合った。シングルヒットを飛ばし、比較的メディアへの露出も多い男女ユニットというイメージなのだが、果たしてライヴでの彼らの力量はどうなのだろうか。
オープニングは、なんとジョン・レノンの『Give Peace A Chance/平和を彼等に』。フロントの2人はそれぞれにギターを抱えながらオーディエンスに手拍子を求め、それに呼応するかのようにステージ前方には多くの人が集まり始める。前日のスカパラのときと同じ状態だ。そして洋楽のカヴァーはこれだけに留まらず、ボブ・ディランの『Like A Rolling Stone』まで。私は彼らをしっかりと観るのも聴くのも今回が初めてなのだが、ユニットのルーツは洋楽ロックにあり、ということなのかな。
ほとんどの曲の歌詞が英語。そしてMCも英語だ。曲は『Free World』や『Your Song』、そして最新シングル『裸の王様』など、あれこの曲テレビで流れてたよな、聴いたことあるよな、という曲を連発。どの曲もミディアム調だ。これが彼らが考えたフジロック仕様のスタイルなのか、それとも普段のライヴからこうなのかはわからない。だけど私は、彼らは野外という舞台を生かした、好ライヴをしてみせたと思う。
今年のフジロックは、昨年にも増して若手~ニューカマーが大挙参戦。その数はあまりに多すぎて、私は訳が分からなくなっている。いちおう事前にいくつかの音を聴いてはみたが、アーティスト名はかろうじて頭に入っても、このアーティストがこの曲を、というところにまでは至らなかった。そんな中で最も分かりやすかったのは、ザ・ミュージックというUKバンド。この人を喰ったような名前を冠したバンドは、果たして名前負けしないライヴをしてくれるのだろうか。
しかしレッド・マーキーは、ライヴ前から驚くほどたくさんの人が密集していた。ザ・ミュージックって、そんなにスゴイの?・・・そう、彼らはスゴかった。ヴォーカルのロバートの異様なまでに甲高い声が、場内を突き抜ける。ヒットシングル『The People』での大合唱といい、凄まじいグルーヴ感だ。4月に既に来日しているとはいえ、フルアルバムのリリース前でなんでここまでテンションが高いのか。あまりにもすごすぎるこの状況について行けなくなった(苦笑)私は、ものの2~3曲でマーキーを後にした。
再びグリーン。昨日のヘヴンのスパイスマーケットに続き、この日は矢野顕子と組んで登場する忌野清志郎。2人はもともと何度も共演を果たしている仲だそうで、矢野は清志郎からフジロックの素晴らしさを聞かされ続けてきたらしい。なぜかライヴ前の音合わせで一度メンバーが登場し、それぞれ別の持ち場を担当して1曲演奏していた。
で、いったん引っ込んだ後に再登場し、今度はそれぞれ正規の持ち場につく。向かって左には、ピアノと矢野顕子。右には、ギターを手にした清志郎が。それぞれの曲を交互に歌い、共演。『Money Song』や『プーアの森』といった辺り。ラストは矢野の代表曲『ひとつだけ』だった。が・・・、敢えて厳しいことを言えば、あれはグリーンで演るべきライヴではなかった。2人の間でのMCが多く、内輪ウケはしていたのだろうけど、何万人を前にしてするやりとりではなかった。フジロックのステージを知り尽くしているはずの清志郎なのに、矢野に少し気を使いすぎたように見えた。もっとうまく、エスコートできたはずなのに。。。苗場に来る途中、車中で矢野顕子のベスト盤を聴いてその充実度にびっくりしていた私は、2人によるライヴをとても楽しみにしていた。残念だ。
(2002.8.10.)
Back(Vol.1) | Next(Vol.3)