Fuji Rock Awakening Vol.13 Primal Scream
イアン・ブラウンのライヴが早めに終わったこともあり、セットチェンジには長い長い90分の時間が費やされることとなった。グリーンステージにはダレた雰囲気が漂い、こうした逆風を背負いながらプライマルは登場しなければならない。
そして午後9時半過ぎ。ついにプライマル・スクリームが登場!ボビーが、マニが、姿を現す。これだけで場内の空気は一変。さすがだ。そしていきなりの『Swastika Eyes』で、オーディエンスの度肝を抜いたのだ。
セットリストは2月の来日公演とほとんど同じ。そしてその公演初日を赤坂Blitzで観た私が感じたのは、アルバム『XTRMNTR』を生み出した2000年のプライマルが放った衝撃は勿論だが、同時にプライマルのライヴが赤坂Blitzというライヴハウスでされてしまったことの息苦しさだった。彼らが放つエネルギーの大きさは、最早ライヴハウスには納まりきらないのだ。これは1月に行われたナイン・インチ・ネイルズのときも感じたことなのだが、とにかく屋根が邪魔だった。こんなものとっぱらっちまえよ、と何度思ったことか。
そしてそのとき感じた圧迫感、息苦しさによる不快さは、今まさにこの場で晴らされようとしている。この半年近くの間。私はこのときが来るのをずっと待っていた。そしてプライマルのメンバーも、この異空間をまるでおのが肉体の延長であるかのように取り込み、そしてスパークさせている。
間違いなく2000年を代表する1枚になる『XTRMNTR』。『Kill All Hippies』が、『Pills』が、そしてタイトル曲が、炎のように熱く燃え、オーディエンスを焦がす。2年前のフジロックでも同じく場内を揺るがした『Burning Wheel』『Kowalski』、今やニルヴァーナの『Smells Like Teens Spirit』やベックの『Looser』にも比肩する90'sを代表するナンバーに上り詰めた感のある『Rocks』が、次々にステージで炸裂する。狂気のゆがんだようなボビーのアップがモニターに出る。
アンコールは名作『screamadelica』からの『Higher Than The Sun』『Movin On Up』。そしてラストはMC5の『Kick Out The Jam』。もちろん2月の単独公演でもラストを飾り、更には6月のレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのライヴでも序盤に歌われていた曲だ。レイジにもプライマルにも相通ずる「怒り」。そして「叫び」が、真夏の夜を染めたのか。
私はプライマルを見終えてホテルに戻ったが、レッド・マーキーでは深夜までDJとライヴが、そしてグリーンステージではソウル・フラワー・ユニオンが登場してライヴをしたそうだ。・・・初日こそ雨に祟られたが、2日目以降は天候も回復し(しかもそれほど暑くはならなかった)、今年も素晴らしい3日間を過ごすことができた。
素晴らしい3日間が。
ありがとう。
そして、また来年♪
(2000.8.17.)
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