The Rolling Stones 98.3.14:東京ドーム
初日(12日)は客が3万5千人しか入らず2階席はガラガラなどと報道されていたが、今日(14日)は土曜日ということもあり、駅を降りた辺りからもうぎっしりで、中に入っても満席状態だった。当日券も売り切れって言っていたし。ステージはシンプルにして豪華。バビロンの女神?が両サイドに鎮座し、ステージ中央には大きなモニターがあって、これがとても見やすくてよかったそして両サイドとアリーナ席ど真ん中に向かって花道が突き出ていて、ど真ん中の花道の先に小さなセンターステージが設置されている。定刻を15分ほど過ぎたところで客電が落ち、メンバー入場。全米のツアーで1曲目が『Satisfaction』と知ったときは最早開き直ったかと思ったが、考えてみればこれほど素直でストレートな選曲もあるまい。もう最初からドームはハイテンション。音割れや残響音は思ったほど気にならない。4曲まで終わったところで日替わりセットに突入。12日は『Angie』『Bitch』だったそうだが果たして今日は・・・と思っていると、『Anybody Seen My Baby』ときた。新作のファーストシングルでありながらなぜか今年になってからは1度しか演奏されておらず、しかし切り捨てるには惜しい佳曲だと思っていたので素直に嬉しかった。続いては『19th Nervous Breakdown』。その後新作から『Saint Of Me』『Out Of Control』と続く。ツアーが進むに連れて、新作からの曲も徐々になじんできたということか。
恒例となっているWebの人気投票の状況がモニターに映し出される。午前中にストーンズのオフィシャルHPを覗いたときは『Waiting On A Friend』が1位だったが、なんと『Star Star』が逆転でトップになっており、演奏される。うーん、個人的には『Waiting~』の方が好きだったが、まあいいか。途中、ロニーのgで『Shatterd』のリフが挟まれて心の中でニヤリ。『Miss You』では最早恒例となりつつあるサックスのボビーのソロパートがあり、この人にとってはものすごくおいしい。この後メンバー紹介に入るのだが、ダリル・ジョーンズはおろかロン・ウッドよりも拍手が多かった。
そしてこれも恒例のキースのコーナーになる。直前まで気づかなかったが、『Bridges To Babylon』はキースがヴォーカルをとった曲が3曲もあり、今日はその中から『Thief In The Night』を演奏。そして懐かしい『Undercover』から『Wanna Hold You』とくる。日本での根強いキース人気、というより欧米でこれがトイレタイムになってしまうことの方が理解できない。渋いぜ。
この後場内が暗くなり、センターステージに向かって"バビロン橋"がぐいぐいと伸びてくる。そしてメンバーがその上を走っていく。もう大熱狂の中、チャック・ベリーの『Little Queenie』が始まる。もうライヴハウス状態。アリーナ席にステージを作って演奏するのは既にU2やブライアン・アダムスもやってることなので決して珍しくないのだが、しかし、なんてったってストーンズだ。冷静でいられようはずがない。この後は『You Got Me Rockin'』『Like A Rolling Stone』と続き、もう満腹状態の中、元のステージにメンバーが戻り『Sympathy For The Devil』が始まる。しかし、ミックだけはまだセンターステージに潜んでいて、ちゃっかり衣装替えまでしていて、歌いながら花道を歩いてステージに戻る。
この後はもう天下無敵、これを演って世界中で盛り上がらないところがあるのかというヒットメドレー。『Tumbouling Dice』『Honky Tonk Women』『Start Me Up』『JJF』ときて本編が終了。アンコールは、キースが『You Can't Always Get What You Want』のイントロを弾きながら現れ、他のメンバーもぞろぞろと顔を出し、スタート。過去の公演、欧米に比べて日本は曲を減らされる傾向にあったが、この曲を演ったということはもう大丈夫。そしてラストは『Brown Sugar』で、大興奮のうちに演奏が終わり、紙吹雪が舞い、そして花火の連発!!約2時間15分にわたるパフォーマンスであった。
コンサート、というより最早サーカス状態の90年代のストーンズのライヴだが、それは演っている当人たちも逃れられない宿命と自覚していることであり、そこはそれ、毎回観る者を引きつけるための仕掛けを用意してくれている。Voodoo Lounge Tourでのアンプラグド・セット、そして今回はWebVoteによるレアな曲の演奏とセンターステージでのパフォーマンスだ。なんて凄いバンドなのだろう。年齢や体力的限界とも戦いながらのツアーのはずなのに、バンドとしての結束度、充実度は一層厚みを帯びているように感じる。全身が震えた。
(98.3.15.)
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