Aerosmith 98.3.8:東京ドーム
約4年ぶりとなる来日公演。今日は日曜ということもあって、2階席も含めほぼ満席。TVやWeb等で名古屋や大阪の様子を知るにつれ、自分の中でも徐々に盛り上がってきた。U2は1階スタンドだったが、今回はアリーナAブロック。しかし、ステージがあって、わきに大きなスピーカーがあって、スピーカーの横にモニターがあって、その更に右側の席。結構ステージとの角度がキツい。モニターには『Big Ones』のビデオが流れている。定刻を約15分程回ったところで客電が落ちる。ステージがエアロのトレードマークが描かれた大きな幕で覆われる。メンバーが入場し、その影が幕に投影されるたびに場内熱狂。そして幕がストンと落ちて、『Nine Lives』でいよいよスタート。エアロのライヴのスタートはいつもカッコいい。
新作、そしてゲフィン時代の3作に加え、往年の名曲が折り混ざるといった構成で曲が進む。新作の完成度の高さからいって、もっと演ってもいいような気もしたのだが。5曲目で早くも『Angel』、続いて『Livin On The Edge』で最初のピーク。途中、ジョー・ペリーが2曲ヴォーカルを取って『Falling Off』『Stop Messin』を歌う。ギタリストがギターだけ弾いてりゃいい時代じゃなくなったのね、もう。U2のエッジのときと同様、あまりうまくないと感じたが。ステージは猫と蛇があしらわれていて(これ結構安っぽい)、その他はほとんど何も凝った演出もなく、いたってシンプル。モニターもひたすらメンバーを映しているのみ。ただところどころにカメラマンがいて、スティーヴンなどはカメラにかじりつくようにしてどアップになる場面が多々あった。
それにしてもスティーヴン・タイラーのパフォーマンスは凄い。凄いし、カッコいい。体つきは細く、しかしその動きはしなやかでそしてパワフルだ。これが本当に50歳のオヤジの動きなのか(スティーヴンと私は誕生日が同じ日である。だからどうしたと言われればそれまでなのだが、やはり嬉しい)。『Falling In Love』『Livin On The Edge』『Rag Doll』でステージの袖までスティーヴンが、ジョー・ペリーが走ってきてくれて、そこでしばらく歌ったりgを弾いたりしてくれると、ただただ嬉しくて騒いでしまった。
過去の東京公演が全て武道館だったので、ドームだから結構ミーハーなファンが多いのだろうと下衆な勘ぐりをしていたのだが、昔の曲にも十分反応していたし、とにかくノリがよかった。それがバンドとオーディエンスの一体感を生み、ドームを大きなエネルギーの集合体に変えた。アリーナ席とスタンド席との違いかも知れないのだが、U2のときはこんなに盛り上がってたっけとあせってしまったほどだ。
終盤にさしかかり、いよいよ『Dream On』のイントロが鳴り響く。初期エアロの代表曲であると同時に、現在もバンドにとって大きな意味を持ち続けている名曲に、ただただ聞き惚れた。この後一気に『Cryin'』『Dude』と続き、本編終了。体温が何度か上昇してしまったのかと思える程の興奮に浸る暇もなく『Back In The Saddle』でアンコールが始まった。この後『What It Takes』をスティーヴンがアカペラで歌い始め、途中から演奏が加わる。そしてラストは『Sweet Emotion』。曲調通り静かに始まったが、最後にジョー・ペリーのギターソロが炸裂する。これが『Dazed And Confused』のリフ。4年前と同じだ。計2時間10分位。よかった。ここまでやってくれるとは思わなかった。
バンドのキャリアを考えれば私など遅れてきたファンもいいところだ。4年前に初めて見たときはゲフィン時代の曲を覚えるのが精一杯で、70年代の名曲にまで手が回らなかった。今回はいろいろ本も買ってバンドの歴史を総括することもでき、バンドがいろいろな紆余曲折・解散等の危機を乗り越えてここにたどり着いたのを感じることができた。ひたすらシンプルで、ひたすらストレートで、しかしひたすら熱かった。"エアロ、ドームを制す!"という言葉がライヴを見終わった後の私の頭に浮かんだ。
(98.3.8.)
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