Summer Sonic 2003 Summary サマーソニック2003を総括する
東京と大阪の同時開催という形式を取り、今年で4回目となるサマーソニック。私は昨年に引き続き、東京の方に参加した。普通に考えれば、回を重ねれば事態は改善されて行くはずだが、個人的に体験した範囲では、昨年より悪くなっていることの方が多かった。ここでは私の独断と偏見により、会場や仕切りなど、良かった点と改善すべき点を列挙してみる。 |
1. 会場 | 千葉マリンスタジアム/幕張メッセ |
2. 仕切り | 主催者の手際はよかったのか |
3. ショップエリア | 食事やグッズ売り場はどうだったのか |
4. コスト | チケット代や交通費について |
5. ラインナップ | UK大物+復活組+ヘヴィーロック+ニューカマー+日本勢 |
6. トータル | 全体としてどうだったか、そして来年に向けて |
1. 会場 | 千葉マリンスタジアム/幕張メッセ |
アウトドアステージの千葉マリンスタジアムについては、ほぼ昨年通り。ただ、入場ゲートが少しわかりにくかった。リストバンド交換用の入り口と、再入場用の入り口とがはっきり区別されておらず、交換済みで再入場する人が、どこから入ったらいいのかがわからなかった。2日目の夕方はほとんど再入場の人だけだったので、時間が解決してしまった面もあるが、もっと明確にし、そしてもっと広くスペースを取ってほしい。 インドアステージの幕張メッセは、昨年と同様1番から3番ホールまで。1番ホールはワールドレストランに加え、お笑い芸人のパフォーマンスステージが設置された。2番ホールが、出入り口~スポンサーのブース~グッズ売り場~喫煙所~オープンスペース。3番ホールが、インドアステージとコインロッカーといった配置。2番・3番ホールは昨年とほぼ同じだった。今年は動員が多く、レストランは慢性的に飽和状態。インドアステージも、マンドゥ・ディアオのときはあわや暴動になりかける一幕もあった(これは仕切り面の問題も関連しているのだが)。器としては、メッセには1番から11番までホールがある。来年は、確保するホールを1番から6番くらいまでにし、それぞれのブースを今年の倍にしてはどうだろうか。 さて、今年は第3第4のステージとして、幕張メッセイベントホールが用意された。楕円形の形状で、中は代々木競技場をコンパクトにしたイメージ。ソニック・ステージ、及びソニック/ファクトリーステージが両サイドに設けられ、前者は洋楽アーティスト、後者は日本のアーティストが出演。進行は交互に進むという、なかなかユニークなアイディアが取られた。この試み自体はよかったと思うのだが、アリーナへの入り口が1箇所だったというのはどうか。私は体験することはなかったけど、人気アーティストのときは開演前や終演後に渋滞したのでは? |
2. 仕切り | 主催者の手際はよかったのか |
言いたいことは、いくらでもある(苦笑)。 まずは、チケットとリストバンドの交換について。私はメッセ8番ホールの方から入っていったのだが、長い列ができていて、てっきりこれが交換の列だと思い、その最後尾に並んだ。ところが列が進むにつれて、これがインドアステージへの入場の列であることに気がつき、後ろに並んでいた人に交換所の場所を聞いて、慌てて列を離れた。 これはどういうことかというと、昨年はインドアステージ前に交換所があったので、今年も同じだろうと思ってのこと。交換所の場所が変わったなら変わったで、係員を配して呼びかけをするとか、メッセ8番ホール入り口を封鎖し、交換所への案内板を作るとかすべきだろう(封鎖と案内板の掲示は、昨年はしていたはずだ。手抜きしてるの?)。 続いては千葉マリンの入場について。朝一だけ手荷物チェックがそこそこ厳しく、そしてチェックをクリアして通されたのは、アリーナの方だった。なんでも、アリーナに水以外の水分を持ち込むことが不可だそうで、そのための執拗なチェックだったらしい。しかしだ。千葉マリンスタジアムの中でも外でも、そして幕張メッセの方でも、当然ながら水以外の飲み物は普通に販売している。ここにまず矛盾がある。 アリーナへの持ち込みに関してチェックをしたければ、まずはスタンド席の方に通し、スタンドからアリーナに行く人の荷物チェックをすればいいだけではなかったのか。そしてわからないのは、入場口がアリーナ直結だったのは、両日とも朝一の時間帯だけだったこと。午後はスタンド席直結に切り替えられていて、ではスタンドからアリーナに行くときに荷物チェックをしているかといえば、そんな様子もなかった。 そしてインドアだが、サイン会ブースを入り口に最も近いところに設置してしまったがために、2日目の午後は渋滞が生じた。入場口からすぐのエスカレーターに貼り付いて、上からサイン会の様子を伺おうとする人がいたために、やがてエスカレーターが封鎖。よって入場口が詰まる格好になった。これは反省点として、来年に生かして欲しい。 会場のキャパシティに対して、それを上回る人が集まれば、入場規制が敷かれるのは仕方がない。ただ問題なのは、規制がかかっているということを、なんでもっと早く、もっと多くの人に伝えるための仕組みを用意しないのかということだ。2日目午後のマンドゥ・ディアオのときだが、入り口前に多くの人が集まっていて、しかも開演時間がだんだん迫ってくるというのに、何のアナウンスもなし。そして5分前くらいになって、やっと入場規制が告げられるという始末(しかも、スピーカーも使わず肉声で。よく聞こえない!)。人が集中しているところに係員を配し、状況を伝え適切に誘導するということが、まるで成されていないのだ。 当たり前のことだが、会場の外にいる人は中の様子はわからないし、会場内の人は外で何が起こっているかはわからない。中にいる人に外の様子を伝え、もっと詰めてほしいとか、そういうアナウンスを「はっきりと」すべきだろう。「いちおう」呼びかけはしていたのだが、有効に機能していたとは思えない。というか、最も見晴らしがよく、最も伝達しやすいステージから呼びかけるということを、なぜしないのだろう。 ステージから呼びかけをするのはとても重要かつ有効だと思っていて、例えば他のステージの進行状況とか、規制のこととか、そうしたことをおのおののステージから発すれば、次にどう行動するかという予定も立てやすくなる。別のステージの状況がわからない。で、行ってみたら大渋滞で、あげくに規制に引っ掛かる。この繰り返しではなかったのか。千葉マリンでは、MTVのVJが一時的にそれらしき役をこなしていたが、「一時的」ではだめなのだ。 手荷物チェックも、改善すべきだと思う。ステージ間の移動を伴うため、その都度チェックを要するというのが表向きだろうが、私はその考えは思い切って捨てるべきだと思う。何を持ち込まれたくないのかをチェックする側が明確に意識し、チェックは朝一のときだけ徹底的にする。後は、場内で実際に持ち込み不可の物品を発見したときに、対処すればよい。 だいたい、メッセのインドアステージではマンドゥ・ディアオ以降ノーチェックになっていたし、イベントホールの方も、ほんとうに見ているのかと逆にこっちが言いたくなるようないい加減さで、実質的にノーチェックでスルーしているのと同じ。係員の意識が「手荷物チェックはする決まりになっているから」という、マニュアルに縛られた意識しか持っていなかったようにしか見えない。そんな意識でチェックしたって意味がない。 |
3. ショップエリア | 食事やグッズ売り場はどうだったのか |
グッズ売り場は、千葉マリンスタジアム外と、メッセの2番ホール部分にあって、オフィシャルものとアーティストものとに分かれていた。千葉マリン出演のアーティストについては、メッセでは一部しか扱っていないなど、中途半端な対応も。そしてどちらのブースも慢性的に混み合っていたのだが、これも改善する気がないのだろうか。プログラムだけは、もっと売り場を増やしてくれるとありがたいのだけど。 食事はメッセ1番ホールのワールドレストランのほか、メッセ自体のレストランや軽食、千葉マリンの設備としての食堂や売り場などがそれぞれ機能。メッセ1番ホールは慢性的に混み合っていて、これは会場のところにも書いたけど、来年は倍のスペースを確保してはどうだろうか。ペットボトルの値段は、買うところによって、200円だったり250円だったりしていた。 |
4. コスト | チケット代や交通費について |
まずは交通費で、これは会場を幕張地区にしたことで、ある程度解決している。千葉マリンスタジアムにせよ、幕張メッセにせよ、普段からロックコンサートが行われている会場で、こうした日常の延長線上にあるのが「都市型フェス」なのかしら。 チケット代は、毎年値上げしている。2日通し券の場合、第1回は20,000円。昨年は22,000円。そして今年は、23,000円だ。ステージの数も出演アーティストも増えてという理由だと思うが、値上げしてその代わりに規模を拡大するというようにしか、ものを考えないのだろうか。私はクリエイティヴマンの会員になっていて、2日通し券を会員先行で申し込んだ。昨年は1,000円の値引きだったが、今年は2,000円の値引き。これを前進と受け取るべきなのだろうか。 |
5. ラインナップ | UK大物+復活組+ヘヴィーロック+ニューカマー+日本勢 |
今年は4回目のサマーソニックだが、ラインナップとしては今回が最も充実していたように感じ、実際それは動員数に反映されていると思う。レディオヘッドにブラー、トラヴィスという、UK出身かつ欧米フェスのヘッドライナークラスが揃い、日本のフェスも豪華になったなあというのが実感だ。 一方でディーヴォを始めチープ・トリックやブロンディといったベテラン「復活組」、そしてサマーソニックではお馴染みのヘヴィーロック勢(私はほとんど観なかったが)、更にはイキのいいニューカマーも多数揃えるといった具合。主催であるクリエイティヴマンは、通常の来日公演でもバングルスやデュラン・デュランといったアーティストを招聘し、プロモーターとして取り扱う幅が広がってきたなあと感じている。日本勢の出演が、昨年以上に充実していたことも見逃せない。ロック・イン・ジャパン・フェスと日程が重複したことを、逆利用してブッキングしたのも、賢いやり方だった。 ニューカマーについては、既に日本に呼んでショウケースレベルでの公演を行い、そしてサマーソニックで一気に認知度を高めるという手法を取っているように見える。この中の何組が、3年後にビッグになっているか、あるいは生き残っているかというのも、今後の興味のひとつだ。 |
6. トータル | 全体としてどうだったか、そして来年に向けて |
豪華ラインナップと仕切りのひどさ。今年はこの2点に尽きる。今年は素晴らしいラインナップだったが、ということは、来年は「落ちる」ことを覚悟しておいた方がいいかもしれない。今年ロラパルーザやオズフェストなどで招聘が叶わなかった、ヘヴィーロック勢中心になるのかな(と勝手に予想)。 そして仕切りだが、昨年参加したときは、ここまで仕切り面に腹を立てることはなかったはずだ。昨年よりひどくなったのか、それとも昨年は、たまたま私がそうした状況に出くわさずに済んだだけなのか。ひどい。とにかくひどすぎる。こんな仕切りを続ける限り、サマーソニックは快適なフェスティバルにはならない。なので私にとっては、観たいアーティストが出演すれば行く、でなければ行かないという位置づけのフェスティバルだ。 |