Summer Sonic 2000 Summary サマーソニック2000を総括する
SMASHによるフジロックが4年目なら、クリエイティヴマンによるサマーソニック2000は同プロモーターにとって初のフェスティバル。東京と大阪の2箇所で同時開催され、出演アーティストを入れ替えるという手法がとられた。私は富士急の方に2日間参加。アーティストのライヴを楽しみはしたものの、それ以前の富士急という立地条件と、主催者による仕切りの悪さ…悪さというか勘違いしているというか何考えてんだというか、トータルで捉えるととにかく問題の多いフェスティバルだった。サマーソニックは今回限りではなく来年も行うとのこと。ここでは私の独断と偏見により、良かった点と改善すべき点を列挙してみる。 |
1. 会場 | 富士急ハイランドコニファーフォレスト |
2. 仕切り | 主催者の手際はよかったのか |
3. ショップエリア | 食事やグッズ売り場はどうだったのか |
4. コスト | チケット代や交通費について |
5. ラインナップ | 粒揃いだが出演タイミングに疑問 |
6. トータル | 全体としてどうだったか、そして来年に向けて |
1. 会場 | 富士急ハイランドコニファーフォレスト |
昨年の同時期はマリリン・マンソンやミッシェル・ガン・エレファントなどのジョイントライヴがあり、また単独アーティストのライヴにも何度も使用されている。いわばコンサート会場としての使用は初めてではない。の、だが…、2日間連続開催、そしてこれだけのアーティスト数が出演して午前中から夜まで行われるフェスティバルとしては、今回が初めてとなる。 そして…、この会場こそがこのフェスにおけるストレスの最大要因となってしまった。まずはステージ1。ブロック分けされているのは事前にわかっていたのでそれは仕方がないと受け入れることはできる(ただ、あの豚小屋のように窮屈に区切られたスペースの中に結局私は1度も入ることはなかったけど)。が、炎天下の中で何時間も過ごすことがあらかじめ分かり切っているにもかかわらず、日陰がない。自分でターフやビーチパラソルで日陰を作るスペースもないし、これらの持ち込みも禁止されている。ブロックの後方は石段になっているが、この石段がまた直射日光を浴びやすくて暑くて仕方がない。石段の上の芝生が唯一木陰と微風があるところだった。 出演する全てのバンドが自分にとってスペシャルと言い切れる人などいないわけで、朝の9時半から夜の8時まで高いテンションを維持してライヴを楽しむオーディエンスなどいるわけがないし、それは逆に体力的にも危険だ。増してや炎天下の中では。長丁場のフェスティバル。弾けるときは弾け、踊るときは踊り、そして休むときは休む。この暑さを避けて「休む」ためのスペースがなかったことが最も不満だった。 そしてステージ2。こちらはもう細かい部分を指摘する以前に、フェスティバルのステージとしてこんなスペースを選択したこと自体がもう間違っている。3000人規模とのことだったが、体感では赤坂Blitzよりも狭かった。出入り口は1箇所で入退場時は大混雑。2階席を開放する基準もあいまい。冷房もなし。蒸し風呂と化した場内で圧迫感を感じながらライヴを観なければならない不愉快さといったらこの上なくひどい。お金を払って観に来たオーディエンスに対して具合を悪くして帰ってくれと言っているようなものだ。 アクセスについては、私の場合は自宅の横浜からはクルマで行きは2時間とちょっと。帰りは渋滞に巻き込まれてとんでもないことになったが、フジロックに比べれば"少しだけ"手軽だと見ることができるかな。 来年の開催地としてクリエイティヴマンは複数の候補地をピックアップしているようである。…が、その中のひとつに富士急ハイランドが含まれているとのことで、まったく何を考えているのか理解できない。正気の沙汰とは思えない。お台場なり幕張なり東京ベイサイドスクエアなり、都内にでも開催できる立地はいくらでもある。先日宇多田ヒカルのライヴを観に千葉マリンスタジアムに行ったが、ここでだってやれるじゃん、とも思った。ただしステージはひとつになるだろうが。今年のAIR JAMはここで開催されている。 |
2. 仕切り | 主催者の手際はよかったのか |
仕切りのひどさは、会場と並ぶストレスの要因だった。
まずは入場。ステージ1とステージ2の入り口は国道を挟んで徒歩10分弱の位置関係にあり、それぞれに入場ゲートがある。そしてチケットとリストバンドの交換所はステージ1ゲート脇のテントしかなく、必ず最初はそのテントまで行かなくてはならない。電車で来た人にとってはステージ2の方が近いのだが、ステージ2前で手続きして入場、というわけにはいかなかったのだ。 で、そのテント。私は2日通し券だったのだが、初日にチケットを渡して腕につけてもらったのは1日目のリストバンドのみ。チケットは返却されて、2日目の入場時にまたこのテントに来て今度は2日目のリストバンドをつけてもらわなくてはならない。なんでこんな2度手間になるようなことをするのかわからない。そしてリストバンドに交換してもらったらすぐ入場とはならず、入場するための列が別にできていて、また新たに並び直さなくてはならなかった。そしてゴミ箱も溢れてめちゃめちゃになっていた。ゴミの種類を分別しているわけでもなかった。 「ここはオールスタンディングなので立って下さい。」
これはステージ2でセットチェンジの間座って休んでいるときにセキュリティに言われた言葉。なんだそりゃ。休んじゃいけないって言うの?最初から最後まで立ちっ放しでいろって言うの?ずっと立ちっ放しだったら、そして立たせることで多くの人を中に入れたら、オーディエンスの気持ちが悪くなるとか体調が悪くなるとか、そういうことは考えないの?ライヴの中で休んだり踊ったり、というのはオーディエンスが自分のペースでコントロールすればいいことだと思うのだが、その自己管理の部分にすら割って入って口出ししてくるセキュリティ。おいおい。 |
3. ショップエリア | 食事やグッズ売り場はどうだったのか |
グッズはステージ1の入場ゲート手前にオフィシャルものの売り場が一箇所。そして入場ゲート中のショップエリアにもう一箇所。フジロックほどの混雑とはならなかったが、コチラは品切れになるのが早すぎた。 食事のための出店の数は少なく、そもそもこのショップエリアのスペース自体が狭すぎた。夕方はどこの出店も長蛇の列となった。 |
4. コスト | チケット代や交通費について |
1日券で11,000円。2日通しだと20,000円で、表面的にはリーズナブル。ただ、フェスティバルトータルとしては、今まで書いてきた不満などを加味するとフジロック3日間+前夜祭の38,000円より割高のようにも思えるが。それとも、カネさえいただいてしまえば後はテキトーに扱っておけばいいという姿勢なのか。そう書かれても仕方のないザマだったと思うけど。 |
5. ラインナップ | 粒揃いだが出演タイミングに疑問 |
トップからヘッドラインまで割と均等化されたメンツだと感じている。どのアーティストにしてもゆったり休んで観るのが勿体無いと思える反面、ウィーザー以外は超目玉が不在だったとも。ベン・フォールズやジョンスペに至ってはまたかよという感が拭えない。 そして新作発表直前というタイミングでの参戦が多い。グリーン・デイ、ティーンエイジ・ファンクラブ、リーフなどがそう。マンサンも新作発表直後。コールドプレイやアット・ザ・ドライブ・インは外盤のみでの流通。この新作発表直前直後でのフェス出演というのが、果たしてどうなのか。オーディエンスとしてはその新作を全くあるいはほとんど聴かないまま本番に臨むことになるわけで、なんだかやりづらい。 |
6. トータル | 全体としてどうだったか、そして来年に向けて |
SMASHは日本では過去にほとんど例がない状況でフジロックを開催した。その上、1年目は台風直撃という、ある意味どうしようもないアクシデントに見舞われた。だけど、クリエイティヴマンはSMASHがそうして悪戦苦闘しながらフジロックを育てて行ったのを見ていたはずだし、見ていないのなら競合他社の研究を怠っていたということになる。サマーソニックは何もないところからの第1歩ではなかったはずで、それでこんなザマなの?という激しい落胆はどうしても隠し切れない。 さて来年だが、会場や仕切りが今年より大きく改善されると期待していいものか、それとも割り切らなければならないのか、判断に迷うところだ。結局ラインナップ次第ということになりそうである。クリエイティヴマンのヘッドライナークラスの持ち駒はレディオヘッドにマリリン・マンソン、ナイン・インチ・ネイルズ辺りが挙げられようが、それ以外にどれだけのメンツを揃えられるのかが腕の見せ所だと思う。 あるいは来年は大阪の方に行ってみるという選択もある。今年の場合だと、富士急は消防法の都合とかで午後8時までだったが、大阪は午後9時半まで演奏することができて、そのため富士急よりも出演アーティストも多かった。会場のWTCオープンスタジアムも、富士急ほどにはストレスを感じる会場ではない(らしい)し。 |