Fuji Rock Festival'03 Day 3-Vol.1 Jet/Vincent Gallo/Evanessence
2日目も夜は雨が降ったり止んだりだったのだが、3日目になって、ようやく朝からすっきりと晴れた。しかし前日の夜が遅かったこともあって、この日は前日にも増してスタートを遅らせることに。結果、会場入りしたのは12時過ぎで、グリーンステージでは、ちょうどJUDE(ユダ)のライヴが終わろうとしていた頃だった。
この日もレッドマーキーからスタート。オーストラリアの新鋭ジェットで、まだアルバムリリース前だが(9月発売予定)、キース・リチャーズに気に入られてローリングストーンズのオープニングアクトを務めるなど、注目度の高いバンドだ。
さてこの4人組だが、個人的にはやったーーーー!!!と大感激(笑)。ストレートなギターロックで、そして4人が4人とも弾けている。うち1人は、地元の偉大なる先人AC/DCのTシャツを着て、フライングVをかきむしっている。決して斬新ではないが、かといって古臭さも感じさせない。これは、サマーソニックにも出演するダットサンズにも通じるところがあると思っていて、英米のロックンロール・ルネッサンス連中とは、また違った感覚でシンプルなギターロックを発しているのだ。前日のレヴォネッツの編集能力の高さにも目を見張るものはあるのだが、単純に自分の好みでいったらこっちかな。
さてところ変わって、グリーンはヴィンセント・ギャロ。強烈なイメージとしてあるのは、やはり映画「バッファロー'66」での怪演ぶり。しかしその活動は多岐に渡っていて、自身のアート展も開いたりしている。そしてこの人にはミュージシャンとしての顔もあって、もちろん作品もリリースしているし、日本公演も行っている。
予想通りというか、静かで淡々としたインスト曲でライヴは始まった。キーボードやメロトロンの悲しい音色が響き、ジャズ~プログレのたたずまいとなる。決して派手さはないのだが、独特の空気を漂わせているところは、やはり表現者かな。しかし、日中にグリーンステージでこんなまったりモードも悪くはないのだが、もっと狭いステージで演らせてあげた方が、もっといいライヴになったのではないだろうか。結局私は、出だしの2曲くらいを聴いてグリーンを離れ、ゲート外のグッズ売り場にTシャツを買いに行ったのだった。
もう3日目なら、グッズ売り場も混んでいないだろうと思ったのだが(結構品切れになっていたけど)、それでも列はそこそこできていて、買うのに30分近くかかった。急ぎ気味にグリーンに戻り、なんとかエヴァネッセンスの開始に間に合った。今年のフジロックは、アルバムデビュー前後のイキのいいニューカマーを多数揃えているが、このエヴァネッセンスは、デビューアルバムが全米1位になるという、まさに鳴り物入りでの、そして絶好のタイミングでの来日になる。
スタートはアルバムの冒頭でもある『Going Under』で、女性ヴォーカルのエイミーの存在感がびしびしと伝わってくる。バンドとしては、一見衣装も音もゴス系のロック風なのだが、それだけに留まらないポップセンスとスケール感があって、それがいい意味での聴きやすさにつながっていると思う。「女リンキン」と称されるのもうなずける。新人という初々しさはあまりなく、むしろ新人らしからぬ堂々とした風格があって、まだアルバムを1枚しかリリースしていないのが信じられないくらいだ。
ハイライトになったのは、スマッシング・パンプキンズのカヴァー『Zero』から、ヒット曲『Bring Me To Life』へのくだりだろう。特に前者だが、そういえば両者には相通ずる美意識があるようにこの場で気付かされ、納得の選択だ。ビリー・コーガンは最後は挫折してスマパンを止めてしまったのだけど、その遺伝子が次の世代にこうした形で受け継がれているのを感じ、なんだか嬉しくなった。全般的に、CDではメロディー重視のように聴こえた彼らの曲だが、ライヴではよりヘヴィーに、よりラウドに響いていたように思う。今後の活動も、楽しみなバンドである。
(2003.9.22.)
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