Rage Against The Machine Discography Compilations
Live & Rare
Sales Date:1997.7. | Live Side | Rare Side |
Amazon.co.jpで購入 −日本盤/US盤 |
1. Bullet In The Head | 11. Darkness |
2. Settle For Nothing | 12. Clear The Lane | |
3. Bombtrack | ||
4. Take The Power Back | ||
5. Freedom | ||
6. Intro(Black Steel In The Hour Of Chaos) | ||
7. Zapata's Blood | ||
8. Without A Face | ||
9. Hadda Be Playing On The Jukebox | ||
10. Fuck Tha Police |
初来日公演は、当初96年2月に行われるはずだった。それが、『Evil Empire』のレコーディングに追われてしまったことに伴い来日自体が延期に。結局、初来日公演は97年7月の東京と大阪での単独公演が1回ずつと、フジロックフェスティバル'97への出演という形になった。
『Evil Empire』が全米アルバムチャート1位を驀進し、本国では既にフェスティバルのヘッドライナーを務めるステータスにまでのし上がった彼らだったが、当時日本ではまだまだ未知の若手バンドの域を出ていなかった。日本のレコード会社は、なんとかバンドを売り出そうと企画ものアルバムを出すことが多く(特にソニーは)、このアルバムもレイジ初来日記念盤として日本限定で発売されたものである。
その内容はライヴテイクが10曲と、2枚のアルバムには未収録の2曲。しかあし、つぎはぎやよせ集めといった感は極めて薄く、バンド最大の魅力と言ってもいいライヴパフォーマンスをいくつも凝縮したアイテムとして、これほどありがたいものはない。日本限定のため、海外に逆輸出されているそうだが、それもうなずける内容の濃さなのだ。こういう企画ものならこれからもどんどんやってほしい。
ライヴサイドについては、M-6~M-8までが96年に開催されたオランダでのフェスティバルのもの。他は全て93年のライヴだ。92年にアルバムデビューを飾ったレイジだが、93年のこの怒涛のライヴによる精力的な活動こそが、こんにちのバンドを支えているような気がしてならない。『Bombtrack』はミネアポリスのファーストアベニューでのライヴ。このファーストアベニューは、プリンスの映画『Purple Rain』の舞台ともなった会場で、個人的には少し嬉しい。『Hadda Be ~』ではザックによる詩の朗読があり、また『Fuck Tha Police』はN.W.A.のカバーである。
レアサイドの2曲も聴き応えがあり、こうした未発表曲は今後もさまざまな形で小出しにしてくると思われる。楽しみである。
Renegades
Sales Date:2000.11. | Produce:Rick Rubin、Brendan O'brien | |
Amazon.co.jpで購入−日本盤/US盤/UK盤 | ||
1. Microphone Fiend | 9. The Ghost Of Tom Joad | |
2. Pistol Grip Pump | 10. Down On The Street | |
3. Kick Out The Jams | 11. Street Fighting Man | |
4. Renegades Of Funk | 12. Maggie's Farm | |
5. Beautiful World | 13. Kick Out The Jams (Live Grand Olympic Auditorium) |
|
6. I'm Housin | ||
7. In My Eyes | 14. How Could I Just Kill A Man (Live Grand Olympic Auditorium) |
|
8. How Could I Just Kill A Man |
ファーストやセカンドに劣らない力作『The Battle Of Los Angeles』を作り上げ、各地で行われたツアーも好調。2000年6月に実現した単独来日公演も記憶に新しく、まさに向かう所敵なし状態だったレイジ。何もかもが、順調に進んでいるかに思われた。
2000年10月、ザック・デ・ラ・ロッチャがバンドを脱退するという、衝撃のニュースが世界中を駆け巡った。今やアルバム1枚だけで消えていってしまうバンドなど星の数ほどいるし、解散も珍しくもなんともない。むしろ聴いている側としては慣れっこになってしまって、バンドによってはああまたかぐらいにしか感じないこともあるくらいだ。だが、しかし、まさかそれがレイジに起こるとは思わなかったし、実際ニュースを耳にしたときはかなりへこんだ。なぜならザックがバンドを去るということは、たとえそれがバンド解散に直結しないとしても、残された3人が今後発するであろう音楽は、間違いなくこれまでのレイジとは違ったものになることが予測できるからだ。
トム・モレロを始めとする3人は、これまで自分たちがやってきたことに誇りを感じているし、その気持ちは今後も揺らぐことはない~といった声明を発表。一方のザックは、音楽性や活動のスタンスなどにおいて、バンドの方向性が以前とは変わってきてしまい、そのことにストレスを感じるようになってバンドを去る決断をした、といった具合のようだ。鉄壁に見えたバンド内の結束は、実は少しずつ歯車が噛み合わなくなってきていたのだ。
全曲がカヴァーで占められる今作は、ザック脱退のニュースと共にリリースが報じられた。がしかし、構想自体は脱退うんぬんとは関係なく以前からあったと思われ、作品としての完成度は恐ろしいまでに高く、凝縮されたエネルギーは凄まじい。選曲もなかなか興味深く、ライヴで既に演奏済のMC5の『Kick Out The Jams』やストゥージズの『Down On The Street』といった古典パンクは、原曲に忠実にカヴァー。『Renegades Of Funk』はオリジナルがアフリカ・バンバータで、タイトルから読み取れる通り、作品の顔的な曲だ。個人的に気に入っているのが終盤の2曲で、ローリング・ストーンズの『Street Fighting Man』にボブ・ディランの『Maggie's Farm』という、いずれも大御所の曲。ディランやミック・ジャガーがまだ若くて血気盛んだった頃の怒りの姿勢に、現在のメンバーの姿勢が重なった、渾身の演奏だと思う。
本来なら、カヴァーをレコ−ディングしていったら曲がたまったので1枚の作品にした、といった程度の位置づけに留まっていたかもしれない。しかしその密度の濃さは群を抜いているし、個人的にはデヴィッド・ボウイの『Pinups』に匹敵する、カヴァーアルバムの最高峰に君臨する作品だと思う。自分たちでは詞もメロディも書いていないにもかかわらず、アレンジや演奏の技術、そして魂によって、原曲が持ち得ていた質の高さと同等に、あるいはそれ以上のところにまで引き上げている。そしてもうひとつの意味合いは、これがザックが在籍していたレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの、ラストアルバムになってしまったということだ。バンド内に生じた軋轢は如何ともし難かったのかもしれないが、しかしこの4人での音楽活動がここで途絶えてしまったのは、あまりにも残念だ。