The Style Council Discography　Compilation Album

　初期3枚のシングルを中心にまとめられたミニアルバムで、英国以外の国で発売されるという形態が取られた。ジャム後期から顕著になったウェラーのブラック指向を追求するための新たなパートナーは、キーボードプレーヤーのミック･タルボット。そして『Long Hot Summer』『Speak Like A Child』のテンションの高さは、ジャム解散の余韻を断ち切っている。

　解散直前に発表されたベスト盤。シングルにこだわり続けた彼ららしく、アルバム未収録曲や別バージョン曲が多く、このアルバムでしか聴けないバージョンもある。アルバムの方を聴き慣れている私にとっては、少し違和感ありますが。

　92年に発売されたジャムの『Extras』とシンクロしたのかしないのか、このアルバムの邦題も『エクストラズ』。アルバム未収録曲やデモバージョンなどの編集盤なのだが、8曲の初CD化曲など聴きどころ多し。22曲というヴォリュームも凄いが、密度の濃さは後期のオリジナルアルバム以上とも思えてしまう。熱心なファンならずともぜひ聴いてほしい裏ベスト盤的な1枚だ。

　スタカンの代表曲を知るのには最も手っ取り早い1枚といえるかもしれないが、むしろヴァージョン違いを追及したい熱心なファン向け。同じ年にやはりジャムの『Collection』が発売されており、これらは『Stanley Road』で復権を果たしたポール･ウェラーのキャリアをフォローするために生み出された作品のような気がする。

　84年から87年までのライヴテイクを集めたアルバムで、ライヴベスト的様相を呈している。スタカンのライヴが聴きたければ『Home And Abroad』よりもむしろ今作の方をお薦めしたい。『Here's Some That Got Away』『My Ever Changing Moods』は日本公演の音源。カバー曲や完全未発表の音源もあり、解散後に発表されたアイテムとは思えない充実したアルバムだ。

　オリジナルアルバム、シングル、カップリング等、ライヴテイク以外のスタカン全キャリアを総括した5枚組Boxセット。そしてDisc 5の『A New Decade』以降の8曲は『Modernism』というスタカン幻のアルバムの音源だ。これはウェラーが『Confession Of A Pop Group』の後に制作したのだが、ポリドールに発売を拒否されてしまったといういわくつきの作品。しかしハウスミュージックに傾倒した薄っぺらなサウンドは、正直聴くに耐え難い。今作はスタカンのオリジナルアルバムやシングルなどを聴き尽くした人にとっての最後のハードルであるべきだと思う。