Patti Smith Discography Original Album
|
Sales Date:1975.11. | 1. Gloria | 7. Land: Horses Land Of A Thousand Dances La Mer (De) |
Produce:John Cale | 2. Redondo Beach | |
3. Birdland | ||
4. Free Money | ||
5. Kimberly | 8. Elegie | |
6. Break It Up | 9. My Generation |
冒頭の『Gloria』。ここまで既にいくつかシングルを発表してはいるが、この静かなイントロにこそ、パティのミュージシャンとしてのキャリアの幕が切って落とされた瞬間なのだという想いが走る。クライマックスではゼムの同タイトル曲にへと結びつく、静から動への転化と彼女の叫びが剥き出しになったナンバーだ。『Birdland』ではもろにポエトリーリーディングを披露。既に行っていた詩人としての活動がそのまま生かされている。 |
|
Sales Date:1976.10. | 1. Ask The Angels | 6. Distant Fingers |
Produce:Jack Douglas | 2. Ain't It Strange | 7. Radio Ethiopia |
3. Poppies | 8. Abyssinia | |
4. Pissing In A River | 9. Chiklets | |
5. Pumping (My Heart) |
『Horses』の曲をカーラジオで聴き、その脆弱さに落胆したというパティがよりロック色を強めようとして作った作品。プロデュースに起用したジャック・ダグラスはエアロスミスを手がけ、後にはジョン・レノンの『Double Fantasy』もプロデュースしている。名義もパティ・スミス・グループとなった。『Ask The Angels』の鋭くカットするギターリフで幕は開き、音にせよ演奏にせよ引き締まった仕上がりで全編が貫かれている。彼女をパンク・ロッカーとして捉えるならば、今作はそのピークを極めた作品に位置すると思う。 |
|
Sales Date:1978.3. | 1. Till Victory | 7. Privilige (Set Me Free) |
Produce:Jimmy Iovine | 2. Space Monkey | 8. We Three |
3. Because The Night | 9. 25th Floor | |
4. Ghost Dance | 10. High On Rebellion | |
5. Babelogue | 11. Easter | |
6. Rock N Roll Nigger | 12. Godspeed |
ロックでありポップでありそしてやはりパンクであるという、この時期パティが持ち得ていた音楽的要素が全て集約された作品。当初はアルバムタイトル候補でもあったアグレッシブなナンバー『Rock N Roll Nigger』は、後年マリリン・マンソンがカヴァーする。代表曲『Because The Night』は詞をパティ、曲をブルース・スプリングスティーンが担当した共作。全米チャートに上るヒットを記録し、現在でもライヴのハイライトを飾る不滅のナンバーだ。プロデュースのジミー・アイオヴィンは、そのスプリングスティーンの『Born To Run/明日なき暴走』のエンジニア。こうした彼女の人脈の広さにも感心する。 |
|
Sales Date:1979.5. | 1. Frederick | 6. Citizen Ship |
Produce:Todd Rundgren | 2. Dancing Barefoot | 7. Seven Ways Of Going |
3. So You Want To Be (A Rock 'N' Roll Star) |
8. Broken Flag | |
9. Wave | ||
4. Hymn | 10. Fire Of Unknown Origin | |
5. Revenge | 11. 54321/Wave |
前作で萌芽を始めたポップなセンスが前面に出るようになって、それはプロデュースを務めたトッド・ラングレンの影響だろうか(彼に"Runt"というニックネームをつけたのはパティで、トッドは71年に同名のアルバムを発表している)。冒頭の『Fredelick』は、後に夫となるMC5のギタリスト、フレッド・スミスを歌った曲。ほとんどラヴレターのような内容だが、しかしひとりの女性が愛する男性のことを想い歌って、それがここまで美しいと思える曲を私は他に知らない。フレッドが亡くなってしまった今、もう2度と歌われることのない曲なのかもしれないが、個人的には全てのパティの曲の中で最も好きなナンバーだ。『So You Want To Be (A Rock 'N' Roll Star)』は原曲はバーズ。最近はタヒチ80がカバーしヒットを記録している。 |
|
Sales Date:1988.6. | 1. People Have The Power | 6. Going Under |
Produce:Fred Smith & Jimmy Iovine |
2. Up There Down There | 7. Looking For You (I Was) |
3. Paths That Cross | 8. The Jackson Song | |
4. Dream Of Life | 9. As The Night Goes By | |
5. Where Duty Calls | 10. Wild Leaves |
夫であるフレッド・スミスとの共同作業で制作。冒頭『People Have The Power』は現在のパティのテーマ曲的位置付けにある。曲名の通り、聴いている方にもパワーが沸き起こってくるようなナンバーだ。タイトル曲『Dream Of Life』に象徴されるように、全体的に優しさと幸福感に満ちている。ラストの『The Jackson Song』は愛息ジャクソンのことを歌ったもの。妻となり母となったパティがアーティストとしての幅を広め、懐が深くなったことが伝わってくる。 |
|
Sales Date:1996.6. | 1. Gone Again | 7. Wing |
Produce:Malcolm Burn & Lenny Kaye |
2. Beneath The Southern Cross | 8. Ravens |
3. About A Boy | 9. Wicked Messenger | |
4. My Madrigal | 10. Fireflies | |
5. Summer Cannibals | 11. Farewell Reel | |
6. Dead To The World |
パティを取り巻くかけがえのない人の死に彩られたアルバム。しかしパティはその死を嘆き悲しむのではなく、彼らと一緒に過ごした日々を思い出として胸に秘めながら、足を前に踏み出している。そうした彼女の元に集まったのは盟友レニー・ケイやトム・ヴァーレイン、そして今は亡きジェフ・バックリィなどだ。『About A Boy』はカート・コバーンのことを歌ったとされる曲。『Summer Cannibals』はライヴでも中盤ハイライトを飾ったアップテンポのナンバーだ。この翌年、パティはついに来日。どれだけ多くのファンが、この瞬間を待ち望んだことか。どれだけ多くのファンが、彼女の歌に酔いしれたことか。 |
|
Sales Date:1997.9. | 1. Waiting Underground | 6. Dead City |
Produce: | 2. Whirl Away | 7. Blue Poles |
3. 1959 | 8. Death Singing | |
4. Spell | 9. Memento Mori | |
5. Don't Say Nothing | 10. Last Call |
『Wave』~『Dream Of Life』~『Gone Again』の制作インターバルがそれぞれ9年、8年だったことを思えば、前作から1年とちょっとで新作が発表されたのにはびっくり。それはすなわち、パティが歌うことと人前に立つことに喜びと確かな手ごたえを感じ、ミュージシャンとしての活動を完全に再開させたことの証明に他ならない。 |
|
Sales Date:2000.3. | 1. One Voice | 8. Strange Messengers |
Produce:Gil Norton | 2. Lo And Beholden | 9. Grateful |
3. Boy Cried Wolf | 10. Upright Come | |
4. Persuasion | 11. New Party | |
5. Gone Pie | 12. Libbie's Song | |
6. China Bird | 13. Gung Ho | |
7. Glitter In Their Eyes |
亡き夫フレッドが書き残した曲『Persuasion』に、制作時17歳の愛息ジャクソンがギターで参加。『Dream Of Life』のときは『The Jackson Song』で歌われ、『Gone Again』の頃はメタリカ始めラウド系にハマっているギター小僧と伝えられていた子が、ついに母との(そして間接的にだが父とも)共演を果たしたのだ。まるで聴いているこちらの方まで、自分がジャクソンの保護者にでもなったかのような優しい気持ちになり、言いようのない喜びを噛み締めてしまう。そして彼をここまで育てたのは、他ならぬ母パティなのだ。この1曲だけでも今作は買い求め、CDの棚に並ぶに値する。 |