Lou Reed Discography Original Album

Lou Reed
Sales Date:1972.6. 1. I Cant Stand It 6. I Love You
Produce:Richard Robinson
& Lou Reed
2. Going Down 7. Wild Child
3. Walk And Talk It 8. Love Makes You Feel
4. Lisa Says 9. Ride Into The Sun
5. Berlin 10. Ocean

 ソロ第1作は、ルーの再出発というよりはヴェルヴェッツ時代の精算的色合いが濃い。『I Cant Stand It』『Lisa Says』『Ride Into The Sun』『Ocean』はヴェルヴェッツ時代に書かれ、ライヴ演奏もされていた曲だ。蛇足だが『Walk And Talk It』のイントロはストーンズ『Brown Sugar』にそっくり。録音は住みなれたニューヨークではなくロンドンにて行われ、イエスのスティーヴ・ハウとリック・ウェイクマンが参加。アルバム全体はシンプルなロックンロールのたたずまいを見せ、ヴェルヴェッツ時代のサウンドを継承し、そしてこんにちまでの長きに渡るルーの音楽性の軸になっていると感じる。一般にはそれほど評価の高くない作品だが、ヴェルヴェッツを伝説の中に封印し、そして自らは今でも風化していないルーの生きざまの原点として、私はこのアルバムを最重要作と位置付けている。







Transformer
Sales Date:1972.12. 1. Vicious 6. Make Up
Produce:David Bowie
& Mick Ronson
2. Andy's Chest 7. Satellite Of Love
3. Perfect Day 8. Wagon Wheel
4. Hangin' Round 9. New York Telephone Conversation
5. Walk On The Wild Side 10. I'm So Free
11. Goodnight Ladies

 現在でもライヴで演奏される『Walk On The Wild Side』を収録する、全キャリアを通じてルーの代表作といえるアルバム。プロデュースはデヴィッド・ボウイとミック・ロンスン。ヴェルヴェッツの熱烈なファンであり、当時『Ziggy Stardust』で飛ぶ鳥を落とす勢いのボウイと、そのバンドであるスパイダーズ・フロム・マースのギタリストのロンスンによってポップセンスが注入され、トータル性こそ薄いものの個々の曲が放つインパクトは抜群だ。『Satellite Of Love』はU2が93年のZoo TVツアーでカバー。ザラつく巨大モニターの画面に徐々にルーの顔が浮かび上がり、ルーとボノのデュエットが果たされる場面はライヴのハイライトになった。『Perfect Day』は97年に本人を含むオールスターキャストでカバーされ、シングルカットされている。







Berlin
Sales Date:1973.9. 1. Berlin 6. Oh Jim
Produce:Bob Ezrin 2. Lady Day 7. Caroline Says II
3. Men Of Good Fortune 8. The Kids
4. Caroline Says I 9. The Bed
5. How Do You Think It Feels 10. Sad Song

 前作の勢いそのままに、今度はルーの全キャリア中アルバムとして最も密度が濃く、最も完成度の高い作品が登場だ。プロデュースのボブ・エズリンはアリス・クーパーで有名。そのエズリンの「耳で聞く映画のようなアルバムを作ってはどうか」というアドバイスがヒントとなる。場末の酒場を舞台にした男女の物語が展開され、曲が進むに連れて徐々に増して行く緊張感がたまらない。『The Kids』での子供の泣き声は聴いていて胸が締めつけられる思いがする。そうした様々なドラマを経てたどり着くラストの『Sad Song』は感動的だ。スティーヴ・ウィンウッドがゲスト参加しているのも見逃せない。







Rock N Roll Animal
Sales Date:1974.2. 1. Intro/ Sweet Jane 5. White Light/ White Heat
Produce:Steve Katz
& Lou Reed
2. Heroin 6. Lady Day
3. How Do You Think It Feels 7. Rock 'N' Roll
4. Caroline Says I

 73年12月21日のニューヨークでのライヴを収録。プロデュースに名を連ねるスティーヴ・カッツは、元ブラッド、スウェット&ティアーズのメンバー。発表当初は全5曲だったが、2000年に新たに『How Do You Think It Feels』『Caroline Says I』が付加されて再発。冒頭の『Intro/ Sweet Jane』でのギターソロは名演と呼ぶにふさわしく、私が聴いたルーの作品の中では最高の出来。このアルバムは収録曲の大半がヴェルヴェッツ時代のもので、同日のライヴの別の曲を収録した『Lou Reed Live』が75年に発売されており、2枚でひとつのライヴアルバムと見るべきだと思う。







Metal Machine Music
Sales Date:1975.7. 1. Metal Machine Music A-1
Produce:Lou Reed 2. Metal Machine Music A-2
3. Metal Machine Music A-3
4. Metal Machine Music A-4

 クズかそれとも芸術か!?ロック史上に燦然と輝く?世紀の大問題作。全編単調な電子音の洪水が延々と続くのみで、このアルバムを所有している人でも繰り返し聴いた人は少ないはずだ。発表当時は酷評の嵐。ルー自身「あれはシャレで作ったレコードだった」と言ったかと思えば、後年になって「立派な音楽だ」と言うなど、時代時代で発言がコロコロ変わっている。しかし後にソニック・ユースを始めとするエクスペリメンタル・ミュージックが台頭し、現在は再評価の兆しを見せている。そしてその決着はまだついていない。ロックに心惹かれた人であれば、好きか嫌いかはともかく(嫌いになる人が大半のような気がするが)、一聴する価値はあると思う。個人的には、初めてブートレッグの世界に手を染めた1枚。







Rock N Roll Heart
Sales Date:1976.11. 1. I Believe in Love 7. Chooser and the Chosen One
Produce:Lou Reed 2. Banging on My Drum 8. Senselessly Cruel
3. Follow the Leader 9. Claim to Fame
4. You Wear It So Well 10. Vicious Circle
5. Ladies Pay 11. Sheltered Life
6. Rock and Roll Heart 12. Temporary Thing

 RCAとの契約が満了し、アリスタに移籍しての第一弾。当時のアリスタは設立されたばかりのレーベルで、パティ・スミスを始めとするパンク~ニューウェイヴの路線を打ち出そうとしていて、ルーもそれに乗ったということになるのか。ルー・リードのアルバムは時代を越えた普遍性を備えたものが多いと思っているが、このアルバムに関しては70's後半という時代、そしてその頃のニューヨークはきっとこんな雰囲気だったのではと思わせるサウンドだと感じている。タイトル曲と、その中に込められた想いを力強く歌い上げるルーの姿が素晴らしい。







Take No Prisoners
Sales Date:1979.3. 1. Sweet Jane 6. I Waiting For My Man
Produce:Lou Reed 2. I Wanna Be Black 7. Coney Island Baby
3. Satellite Of Love 8. Street Hassle
4. Pale Blue Eyes 9. Walk On The Wild Side
5. Berlin 10. Leave Me Alone

 ヘッドフォンで聴くと一層臨場感が伝わるバイノーラル録音方式を採用した2枚組ライヴアルバム。ニューヨークのボトムラインというライヴハウスでの公演を収録し、観客数100人というアットホームな雰囲気が伝わってくる。『Sweet Jane』『Walk On The Wild Side』では、原曲の歌詞もそこそこに延々ルーが早口でぺらぺらしゃべっているのみ。さすがに早口の英語まではよく聞き取れないが、その内容はアーティストや評論家の批判ということ。しかしラッパーの元祖はこの人なのでは、と思わせる鋭さだ。ルー・リードはライヴアルバムをたくさんリリースしているが、結果的にそのどれもがそれぞれに楽しめる内容になっているのはさすがだと思う。







The Blue Mask
Sales Date:1982.1. 1. My House 6. Average Guy
Produce:Lou Reed 2. Women 7. The Heroine
3. Underneath The Bottle 8. Waves Of Fear
4. The Gun 9. The Day John Kennedy Died
5. The Blue Mask 10. Heavenly Arms

 4年間に5枚のアルバムを発表してアリスタとの契約をまっとうした後、RCAに復帰。ジャケットは『Transformer』のボートレイトを青くしたもので、これがタイトルの由来なのか。サウンドも『Transformer』の引き締まったさまに成熟したルーの力量がプラスされている。ルーはバイセクシュアルであることを公言していて、彼の元にはレイチェルというパートナーがいた(『Transformer』の裏ジャケに女装したレイチェルを確認できる)。が、この頃にはその関係を清算し、シルヴィア・モラレスと結婚。ラストの『Heavenly Arms』はそのシルヴィアに捧げられている。







Live In Italy
Sales Date:1984.9. 1. Sweet Jane 8. Waves Of Fear
Produce: 2. I'm Waiting For My Man 9. Average Guy
3. Martial Law 10. White Light/White Heat
4. Satellite Of Love 11. Some Kinda Love/Sister Ray
5. Kill Your Sons 12. Walk On The Wild Side
6. Betrayed 13. Heroin
7. Sally Cant Dance 14. Rock And Roll

 バンドメンバーは『The Blue Mask』から参加している元リチャードヘル&ヴォイドイズのロバート・クイン(g)と元ヤン・ハマー・グループのフェルナンド・ゾーンダース(b)、前作『Legendary Hearts』から参加のフレッド・メイハー(ds)、そしてルーの4人。シンプルながら最強の布陣によるライヴ演奏、そしてこの時点でのベスト的選曲によって、数あるルーのライヴアルバムの中でもベストとの呼び声が高い。そして映えるのはやはりヴェルヴェッツ時代の曲だ。







New York
Sales Date:1989.1. 1. Romeo Had Juliette 8. Busload Of Faith
Produce:Lou Reed
& Fred Maher
2. Halloween Parade 9. Sick Of You
3. Dirty Blvd. 10. Hold On
4. Endless Cycle 11. Good Evening Mr. Waldheim
5. There Is No Time 12. Xmas In February
6. Last Great American Whale 13. Strawman
7. Beginning Of A Great Adventure 14. Dime Store Mystery

 現在のルーのアーティストとしてのあり方の原点ともなったアルバム。アルバムタイトルがシンプルなとき、その内容は引き締まって異様な美しさを見せる。レーベルはRCAからサイアーに移籍。そして特筆すべきはモーリン・タッカーが2曲でパーカッションとして参加していることだろう。87年にはアンディ・ウォーホールが、88年にはニコがそれぞれ死去。2人の死がオリジナル・ヴェルヴェッツを一同に集め、そしてやがて再編へと導くことになる。これはその予告編のようなアルバムでもある。







Magic And Loss
Sales Date:1992.1. 1. Dorita - The Spirit 8. Dreamin' - Escape
Produce:Lou Reed
& Mike Rathke
2. What's Good - The Thesis 9. No Chance - Regret
3. Power and Glory - The Situation 10. Warrior King - Revenge
4. Magician - Internally 11. Harry's Circumcision
- Reverie Gone Astray
5. Sword Of Damocles
- Externally
12. Gassed and Stoked
- Loss
6. Goodby Mass
- In A Chapel Bodily Termination
13. Power and Glory Pt. II
- Magic ・ Transformation
7. Cremation
- Ashes To Ashes
14. Magic and Loss
- The Summation

 ヴェルヴェッツ再編の作業が着々と進む一方、ルーは親しかった友人2人を失う。このアルバムはその2人に捧げられた、前代未聞の全曲"死"をテーマにしたアルバムである。全ての曲には副題が付与されていて、曲が進むに連れて増して行く緊張感は『Berlin』を思い起こさせ、『New York』以降顕著になったストーリーテラー的手法が功を奏している。発売当時もそして今もそれほど話題にはなっていないが、このアルバムが占める立ち位置は、『Metal Machine Music』にも匹敵する、ロック史上において異彩を放つアルバムだと思う。







Set The Twilight Reeling
Sales Date:1996.3. 1. Egg Cream 7. Hooky Wooky
Produce:Lou Reed 2. NYC Man 8. The Proposition
3. Finish Line 9. Adventurer
4. Trade In 10. Riptide
5. Hang On To Your Emotions 11. Set The Twilight Reeling
6. Sex With Your Parents (Motherfucker) Part II

 行くところまで行ってしまえば、後は戻ってくるしかない。前作『Magic And Loss』はとてつもなく重たいアルバムだったが、ヴェルヴェッツ再編劇をはさみ、ひと区切りついたルーが新たな展開を打ち出したアルバム。『The Blue Mask』にはルーとシルヴィアとの結婚がバックボーンになっていたが、ここではローリー・アンダーソンとの愛が新たに生まれたことが高らかに歌われ、アルバムまるごと彼女に捧げられた形になっている(シルヴィアとの仲はどうなったのだろう?)。『Average Guy』は『NYC Man』になったのか。しかし、あくまでこの人は前のめりだ。







Perfect Night Live In London
Sales Date:1998.5. 1. I'll Be Your Mirror 9. Coney Island Baby
Produce:Lou Reed
& Mike Rathke
2. Perfect Day 10. New Sensations
3. The Kids 11. Why Do You Talk
4. Vicious 12. Riptide
5. Busload Of Faith 13. Original Wrapper
6. Kicks 14. Sex With Your Parents
7. Talking Book 15. Dirty Blvd.
8. Into The Divine

 5枚目となるライヴアルバムは、97年7月のロンドン公演を収録したアコースティックもの。ノイジーでメタリックなギターサウンドはヴェルヴェッツ時代からのルーのトレードマークのようなものだったが、今回アコースティックによって彼のシンガーとしての魅力が改めて浮き彫りになる。『New York』以降の曲、プラス今まであまりライヴでは演奏されなかったレアな選曲がなされ、特に『New Sensations』『Original Wrapper』など、ルーのキャリアの中でもあまり重要視されていないキャリアからのセレクトが個人的に嬉しい。『Talking Book』『Into The Devine』『Why Do You Talk』の3曲は現代オペラ『Time Rocker』に提供された新曲だ。







Ecstasy
Sales Date:2000.4. 1. Paranoia Key Of E 8. Turning Time Around
Produce:Lou Reed
& Hal Willner
2. Mystic Child 9. White Prism
3. Mad 10. Rock Minuet
4. Ecstasy 11. Baton Rouge
5. Modern Dance 12. Like A Possum
6. Tatters 13. Rouge
7. Future Farmers Of America 14. Big Sky

 『Transformer』『Berlin』『The Blue Mask』『New York』と同列に肩を並べる会心の一撃が2000年になって放たれた。ジャケットのルーの恍惚の表情がそのままタイトルを物語る。そしてなにより、御歳58歳にして放つこの凄まじいまでのパワー、今だに前のめりであり続けるスタンスにただただ感服する。『Future Farmers Of America』は、前作収録の3曲と同じく『Time Rocker』に捧げられた曲(このオペラにも興味がそそられる)。なんと18分にも渡る『Like A Possum』は、ヴェルヴェッツ時代の『Sister Ray』を思い出させる。シンプルに留めておくことは、簡単なようでいて実はとても難しい。しかしルーがそれを成し遂げたとき、圧縮された美しさとでも言うべき素晴らしい世界が完成する。










The Other Original Albums
 Sally Can't Dance / 1974  Growing Up In Public / 1980
 Lou Reed Live / 1975  Legendary Hearts / 1983
 Coney Island Baby / 1976  New Sensation / 1984
 Street Hassle / 1978  Mistrial / 1986
 The Bells / 1979












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