Eagles Discography　Original Album

　リンダ･ロンシュタットのバックバンドを務めていたメンバー4人が集まり、イーグルスとしてデビュー。曲によりリードヴォーカルが入れ替わるスタイルは、ビートルズ以来とも言えるだろうし、絶妙なハーモニーはビーチ･ボーイズを彷彿とさせる。音は全般的にカントリー調であり、中でもグレン･フライとジャクソン･ブラウンの共作である『Take It Easy』は、バンド初期の代表作に。『Witchy Woman』でのドン･ヘンリーのしわがれた歌声は、後の数々の名曲に先んじている。

　19世紀末に実在した強盗団、ドルトン兄弟をテーマにしていて、冒頭のヴォーカルバージョン、中盤のインスト、そしてラストのリプライズと、実に3度に渡って奏でられる『Doolin-Dalton』に、トータル性を感じさせる。更にはフライがヴォーカルを取る穏やかな『Tequila Sunrise』、その後カーペンターズや平井堅(笑)を始め、数々のアーティストにカヴァーされた名曲『Desperado』の決定的となる2曲を備え、作品としてのインパクトも完成度も格段に高まった。

　前後の作品のような際立ちに欠けるために地味な作品という印象があるが、ロック色を強めながらもバーニー･レドンが担っていたカントリー色を損なわないという、バランスのとれたアルバム。『My Man』はグラム･パーソンズに捧げ、『Ol' 55』はトム･ウェイツのカヴァー。ラスト『Best Of My Love』が全米1位を獲得し、バンドの認知度は世界的に広まった。制作途中からドン･フェルダーが正式メンバーとして加入し、バンドは5人体制に。

　完成度で『Desperado』をしのぎ、またタイトル曲がシングルで大ヒットした、ある意味でイーグルスが産み落とした傑作アルバム。しかし詞も曲も重くなり、音はほとんどロックで、カントリー色は『Lyin' Eyes』くらいか。『Take It To The Limit』ではランディ･マイズナーのハイトーン･ヴォイスが光り、また6分オーバーのインストである『Journey Of The Sorcerer』は、キャリアを通じても異彩を放っている。今作を最後に、バーニー･レドンが脱退。

　アメリカ建国200年にリンクするようにリリースされ、イーグルスにとってだけでなく、70'sのアメリカン･ロックを代表する作品であり、かつ世紀の問題作。「'69年以来、スピリットは切らしている」という意味深な歌詞、そして終盤のいつ終わるとも知れないギターソロと、名曲の条件が備わったタイトル曲。しかしあまりにも象徴的であるがゆえ、長年に渡ってカリフォルニア賛歌と世界中で誤解されもした。『New Kid In Town』は、当時新進気鋭のダリル･ホールのことを歌ったとされる。ソロで活動し、以前からメンバーと親交のあったジョー･ウォルシュが、今作より加入。

　前作でピークに達したイーグルス。それが大きなプレッシャーになり、またツアーも過酷さを増し、メンバーは徐々に追い詰められる。ツアー中にランディ･マイズナーが脱退し、後任としてティモシー･B･シュミットが加入。『I Can't Tell You Why』はイーグルスの名曲というよりは、ティモシー個人の名曲に思える。『Heartache Tonight』では初期の楽天性が復活したかのようであり、そしてラスト『Sad Cafe』でのドン･ヘンリーのしわがれ声によって、バンドは有終の美を飾った感がある。

　最後のツアーとなった、80年の音源を中心とするライヴアルバム。観客の歓声の大きさが、当時のイーグルスの凄まじい人気と期待度の高さを物語っている。メンバーの都合もあるのか、選曲はベスト的というよりは後期に偏重。『Seven Bridges Road』はオリジナル盤には未収録で、原曲はスティーヴ･ヤングという人。『Life's Been Good』『All Night Long』は、ジョー･ウォルシュのソロの曲だ。ツアー終了後の82年、グレン･フライとドン･ヘンリーのソロアルバムのリリースと前後し、イーグルスが自然消滅的に解散していたことが明らかになる。

　解散から実に12年を経て、それぞれソロで活動していた解散当時のメンバーが結集。序盤4曲は新曲で、アップテンポな『Get Over It』やティモシーのハイトーンヴォイスが冴える『Love Will Keep Us Alive』など、70's当時の曲にも劣らないクォリティの高さを誇る。5曲目以降はMTVアンプラグドライヴの音源で、目玉はやはり『Hotel California』。スパニッシュ調のイントロで始まり、それが聴き慣れたフレーズに差し掛かったところでの驚きと歓喜は、言い表せない。『New York Minute』は、ドン･ヘンリーのソロナンバー。