Bob Dylan's Discography 90's Album
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Sales Date:1990.9. | 1. Wiggle Wiggle | 6. 10,000 Men |
Produce:Don Was,David Was, Jack Frost | 2. Under The Red Sky | 7. 2 X 2 |
3. Unbelievable | 8. God Knows | |
4. Born In Time | 9. Handy Dandy | |
5. T.V. Talkin' Song | 10. Cat's In The Well |
ウォズ兄弟の方からディランにアプローチし、プロデュースに抜擢される。そしてため息が出るほど豪華なゲスト陣。『Wiggle Wiggle』ではスラッシュ、タイトル曲ではジョージ・ハリスン、『2 X 2』ではエルトン・ジョンが参加。デヴィッド・リンドレーやデヴィッド・クロスビー、スティーヴィー・レイ・ヴォーン、アル・クーパーは複数の曲に携わっている。ドン・ウォズもbで数曲に参加。『10,000 Men』は『Maggie's Farm』を、『Handy Dandy』は『Like A Rolling Stone』を彷彿とさせる。前作の完成度の高さに満たされてしまったのか、本作にはさほど張り詰めたものがなく、リラックスして音楽を作っている様子。そして『Infidels』以降の80'sの活動を総括したような感さえある。その反動として、次なるステップとして、ディランはまた意表を突くアプローチでファンを驚かすことになる。 |
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Sales Date:1992.10. | 1. Frankie & Albert | 8. Step It Up And Go |
Produce: | 2. Jim Jones | 9. Tomorrow Night |
3. Blackjack Davey | 10. Arthur McBride | |
4. Canadee-I-O | 11. You're Gonna Quit Me | |
5. Sittin' On Top Of The World | 12. Diamond Joe | |
6. Little Maggie | 13. Froggie Went A Courtin' | |
7. Hard Times |
全曲アコースティックギター&ハーモニカというスタイルは、『Another Side Of Bob Dylan』以来実に28年ぶりのこと。そして自作の曲は1曲もなく、ここでのディランはトラディショナルを歌っている。この頃のディランは新しい曲を書くことに興味が薄れていたとのこと。デビュー30年を迎え、ディランは自分が影響を受けたアーティストに敬意を表し、同時に今一度自分の立ち位置を確認するためにこのようなアプローチを取ったのだと思われる。がしかし、ここでクリアになったのはディランのギタリストとしての技量と、そこから発せられる限りないパワーだ。裏ジャケットのディランはベスト姿に革パンツで、50を超えたミュージシャンとはとても思えないほど生気に満ち溢れている。そして本作発表直後、ニューヨークMSGでディランゆかりのアーティストが多数集結し、30周年記念コンサートが行われた。 |
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Sales Date:1993.10. | 1. World Gone Wrong | 6. Delia |
Produce: Bob Dylan | 2. Love Henry | 7. Stack A Lee |
3. Ragged And Dirty | 8. Two Soldiers | |
4. Blood In My Eyes | 9. Jack-A-Roe | |
5. Broke Down Engine | 10. Lone Pilgrim |
前作に続く全曲アコースティック&トラディショナルで、今回の方がブルース色が濃い。アルバムの冒頭を飾るタイトル曲(邦題「奇妙な世界に」)は、直訳すれば「世界は間違っている」となり、この頃のディランの心境を物語っているのではと想像させる。ディランの意向によりジャケットには歌詞が印刷されず、その代わりに自ら曲に解説をつけている。かつては韻を踏みまくり、なおかつ詞に意味と味わいを持たせていたディランがこんなことをしているのにもびっくりさせられる。私は長らくこのアルバムを前向きに聴くことができなかったが、「僕は50歳以下の男のカヴァーはしない」という『Street Legal』の頃のインタビューを読み、これが迷走や停滞なのではなく、ディランの新たな挑戦であることを思い知った。 |
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Sales Date:1995.4. | 1. Tombstone Blues | 7. Desolation Row |
Produce: | 2. Shooting Star | 8. Love Minus Zero / No Limit |
3. All Along The Watchtower | 9. Dignity | |
4. The Times They Are A-changin' | 10. Knockin' On Heaven's Door | |
5. John Brown | 11. Like A Rolling Stone | |
6. Rainy Day Women #12 and #35 | 12. With God On Our Side |
もともとがフォークシンガーとしてスタートしたディランがMTVアンプラグドに出演するのは必然であり、番組が引き起こした一大ブームからすれば、むしろ遅すぎたかもしれない。94年11月17日と18日の2日に渡って収録は行われ、8曲がオンエア。しかし今作と同名のビデオでは、放送されなかった4曲をプラスした形で発表されている。パール・ジャムのプロデュースで知られるブレンダン・オブライエンがハモンドオルガンでゲスト参加。新曲『Dignity』を披露したり、あまりライヴでは演奏されない『With God On Our Side』を締めに持ってきたりするなど、代表曲を中心にしながらもタイトな仕上がりを見せている。個人的には『Desolation Row』を歌っているのがたまらなく嬉しい。当初、観客の声が大きすぎるとのことで発表直後に回収され、リマスターされて再発売されるというちょっとした騒ぎもあった。 |
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Sales Date:1997.9. | 1. Love Sick | 7. Not Dark Yet |
Produce:Daniel Lanois | 2. Dirt Road Blues | 8. Cold Irons Bound |
3. Standing In The Doorway | 9. Make You Feel My Love | |
4. Million Miles | 10. Can't Wait | |
5. Tryin' To Get To Heaven | 11. Highlands | |
6. 'Til I Fell In Love With You |
そのときは必ず来ると、ずっと信じていた。興奮と感動の来日公演は、その予兆なのだと疑わなかった。実に7年ぶりとなるオリジナル。しかも全曲。新たに曲を書くことに興味が薄れていたディランだが、ライヴを観に来るオーディエンスの中に若者が目立つようになり、それで新たに曲を書くことを思い立ったのだそうだ。冒頭『Love Sick』に代表されるようにどの曲も引き締まっていて、それはこのときのディランのアーティストとしてのあり方をそのまま反映している。過去の栄光に安住しないディラン。大御所としてふんずり返っていることもできるのに、それをしないディラン。間違いなくディランが90'sに放った大傑作であり、全キャリアを通じても代表作のひとつに数えることができる。本作でグラミー最優秀アルバムを受賞。個人的には90'sを代表する1枚に数えています。 |