Bob Dylan's Discography 70's Album
|
Sales Date:1970.6. | 1. All The Tired Horses | 13. Copper Kettle |
Produce:Bob Johnston | 2. Alberta #4 | 14. Gotta Travel On |
3. I Forgot More Than You'll Ever Know | 15. Blue Moon | |
16. The Boxer | ||
4. Days Of 49 | 17. The Mighty Quinn (Quinn, The Eskimo) | |
5. Early Mornin' Rain | ||
6. In Search Of A Little Sadie | 18. Take Me As I Am | |
7. Let It Be Me | 19. Take A Message To Mary | |
8. Little Sadie | 20. It Hurts Me Too | |
9. Woogie Boogie | 21. Minstrel Boy | |
10. Belle Isle | 22. She Belongs To Me | |
11. Living The Blues | 23. Wigwam | |
12. Like A Rolling Stone | 24. Alberta #2 |
バイク事故の後ウッドストックにこもってザ・バンドとレコーディングした作品は『Great White Wonder』というブートレッグとして市場に出回っていた。これに対してディランは、ブートにすら黙殺された曲を集めてアルバムを発表。タイトルは"自画像"。そしてジャケットも、自らが絵筆をとって描いた自分の顔である。収録曲の大半は他のアーティストの曲。ブルースやカントリー、トラディショナルなど雑多なジャンルに渡る。サイモン&ガーファンクルの『The Boxer』は、自分で2種類の声を歌い分けたものを多重録音したひとりデュエット状態。ワイト島フェスでの演奏からも4曲収録されてはいるが、全体としては聴いて困惑するというのが本音で、発表当時酷評されたのも致し方ないと納得。決して初心者にはお薦めできないが、ディランの奥深さを思い知らされる1枚だ。 |
|
Sales Date:1970.10. | 1. If Not For You | 7. New Morning |
Produce:Bob Johnston | 2. Day Of The Locusts | 8. Sign On The Window |
3. Time Passes Slowly | 9. One More Weekend | |
4. Went To See The Gypsy | 10. The Man In Me | |
5. Winterlude | 11. Three Angles | |
6. If Dogs Run Free | 12. Father Of Night |
酷評された前作から4ヶ月という短いインターバルで発表。全曲がオリジナルで、以前のディランが戻ってきたと好意的に受け入れられる。が、サウンドはブルースやカントリー色が濃い曲が並び、ここ何枚かの流れを受け継いでいるとみなしてよいと思う。レコーディングにはアル・クーパーが復活し、ジョージ・ハリスンもセッションに参加。『If Not For You』はそのハリスンやオリビア・ニュートン・ジョンがカヴァーしてヒットする。この後バングラデッシュ・コンサートに参加するなど、この時期のハリスンとの交わりは重要。しかしアルバム制作の方は滞り、次作が発表されるまでは3年余りの時を待たなくてはならない。 |
|
Sales Date:1973.7. | 1. Main Title Theme (Billy) | 6. Turkey Chase |
Produce:Gordon Carroll | 2. Cantina Theme (Workin' For The Law) | 7. Knockin' On Heaven's Door |
3. Billy I | 8. Final Theme | |
4. Bunkhouse Theme | 9. Billy 4 | |
5. River Theme | 10. Billy 7 |
|
Sales Date:1973.11. | 1. Lily Of The West | 6. Mary Ann |
Produce:Barry Beckett, Bob Johnston | 2. Can't Help Falling In Love | 7. Big Yellow Taxi |
3. Sarah Jane | 8. A Fool Such As I | |
4. The Ballad Of Ira Hayes | 9. Spanish Is The Loving Tongue | |
5. Mr. Bojangles |
『Self Portrait』の続編的性格の作品で、レコーディングも同時期とみなして間違いない。内容は全曲が他人の曲のカヴァー又はトラディショナル。ディランはこの年新興レーベルのアサイラムに移籍。それに怒ったコロンビアがディランに無許可で発表した編集ものだ。エルヴィス・プレスリーの『Can't Help Falling In Love』『A Fool Such As I』やジョニ・ミッチェルの『Big Yellow Taxi』など、今聴くと貴重と思えるナンバー多し。しかし本作はやはりヘヴィーなマニア向けの作品と言えるだろう。 |
|
Sales Date:1974.1. | 1. On A Night Like This | 7. Forever Young |
Produce: | 2. Going, Going, Gone | 8. Dirge |
3. Tough Mama | 9. You Angel You | |
4. Hazel | 10. Never Say Goodbye | |
5. Something There Is About You | 11. Wedding Song | |
6. Forever Young |
60's半ば、ビートルズやローリング・ストーンズの宇宙観に刺激されたディランは、それに対抗すべくバンドの力を借りることにする。このときからホークスとしてディランを支え続け、後に単独デビューも果たすのがザ・バンドなのだが、今作は正式にザ・バンドの名前がクレジットされた作品である。それと同時に以後質の高いアルバムを連発する、70'sのディランの出発点的位置付けのアルバムだ。ディランがライヴでは原曲のアレンジを(時には歌詞さえも)変えまくって歌い演奏するのは有名だが、ここでは『Forever Young』を全く性格の違う2種類の曲として収録していて、聴いていて思わずニヤリとしてしまう。今作発表後、ディランはザ・バンドを引き連れて8年ぶりの北米ツアーに出る。 |
|
Sales Date:1974.6. | Produce: |
Disc 1 | 1. Most Likely You Go Your Way (And I'll Go Mine) | |
2. Lay Lady Lay | 7. Up On Cripple Creek | |
3. Rainy Day Women #12 and 35 | 8. I Shall Be Released | |
4. Knockin' On Heaven's Door | 9. Endless Highway | |
5. It Ain't Me, Babe | 10. The Night They Drove Old Dixie Down | |
6. Ballad Of A Thin Man | 11. Stage Fright |
Disc 2 | 1. Don't Think Twice, It's All Right | 6. The Weight |
2. Just Like A Woman | 7. All Along The Watchtower | |
3. It's Alright, Ma (I'm Only Bleeding) | 8. Highway 61 Revisited | |
4. The Shape I'm In | 9. Like A Rolling Stone | |
5. When You Awake | 10. Blowin' In The Wind |
今まで断片的にライヴヴァージョンはアルバム収録されてきたが、ついに正式盤としてのライヴアルバムが登場。ディラン生還を強く印象づけたザ・バンドとの北米ツアーのうちLAフォーラム公演を中心に収録した2枚組で、代表曲がズラリと並ぶ。もちろん原曲を崩しまくり、アコースティックパートもあり、と聴きどころ満載。もし仮にコンディションが最高とは言えない状態にあったとしても、その日そのときその場限りでの一瞬を燃え尽くさんとするディランの立ち位置は、こんにちに至るまで不変だ。ザ・バンドの曲も収録されていて、これが意外と言っては失礼だがディランの曲に少しも劣らない輝きを放っている。 |
|
Sales Date:1975.1. | 1. Tangled Up In Blue | 6. Meet Me In The Morning |
Produce: | 2. Simple Twist Of Fate | 7. Lily, Rosemary And The Jack Of Hearts |
3. You're A Big Girl Now | ||
4. Idiot Wind | 8. If You See Her, Say Hello | |
5. You're Gonna Make Me Lonesome When You Go | 9. Shelter From The Storm | |
10. Buckets Of Rain |
ディランが70'sに生み出した傑作の1枚であり、全キャリアを通して最高傑作に挙げる人も多い。60'sのアコースティックアルバムは若さ故かギラギラした部分が前面に出ていた感があったのに対し、今作は余裕というか行間に潜む味わいを楽しませてくれる。『Idiot Wind』は70'sの『Like A Rolling Stone』と呼ばれ、そして個人的には『Tangled Up In Blue』は70'sの『Blowin' In The Wind』だと感じている。『Shelter From The Storm』は日本のニューエストモデルがカヴァー。70'sはロックがビジネスとして肥大化したこともあってか、ディラン自身の活動や作品が60'sのときほど時代と密接にリンクしていない。このアルバムは強烈なインパクトはないが、ディラン自身のミュージシャンとしての成長と、更なる懐の深さを含んでいる。時代に風化しない音だということが、70'sという時代が過ぎ去った今だからこそ伝わってくるのだ。 |
|
Sales Date:1975.6. | Produce:Bob Dylan & The Band |
Disc 1 | 1. Odds And Ends | 7. Lo And Behold ! |
2. Orange Juice Blues (Blues For Breakfast) | 8. Bessie Smith | |
3. Million Dollar Bash | 9. Clothes Line Saga | |
4. Yazoo Street Scandel | 10. Apple Suckling Tree | |
5. Goin' To Acapulco | 11. Please, Mrs. Henry | |
6. Katie's Been Gone | 12. Tears Of Rage |
Disc 2 | 1. Too Much Of Nothing | 7. You Ain't Goin' Nowhere |
2. Yea! Heavy And A Bottle Of Bread | 8. Don't Ya Tell Henry | |
3. Ain't No More Cane | 9. Nothing Was Delivered | |
4. Crash On The Levee (Down In The Flood) | 10. Open The Door, Homer | |
5. Ruben Remus | 11. Long Distance Operator | |
6. Tiny Montgomery | 12. This Wheel's On Fire |
66年7月のバイク事故によるディラン休養によって仕事にあぶれたホークスは、ザ・バンドとして単独デビューを進めるべくウッドストックの一軒の家"ビッグ・ピンク"を借りてその地下室でレコーディングを始める。やがてそこにディランも加わり、セッションを重ねることとなった。当初ディランはこのときの音源を発表するつもりはなかったが、『Great White Wonder』という名のブートレッグとして出回ったため、録音から8年を経て正式リリースに踏み切る。ディランは16曲でヴォーカルを取り、残り8曲はザ・バンドのみの演奏。『Tears Of Rage』『This Wheel's On Fire』は、このレコーディングの翌年に発表されるザ・バンドのファーストにも収録される。『I Shall Be Released』もこのセッションの中で生まれたようだ。南部志向が色濃い音楽性はディランの一面でもあり、またザ・バンドの音楽の核を成しているのだと思う。 |
|
Sales Date:1976.1. | 1. Hurricane | 6. Joey |
Produce:Don Devito | 2. Isis | 7. Romance In Durango |
3. Mozambique | 8. Black Diamond Bay | |
4. One More Cup Of Coffee | 9. Sara | |
5. Oh. Sister |
『Blood On The Tracks』と並ぶ70'sのディランを代表するアルバムで、ほとんどの曲がジャック・ルビィとのコラボレート。ルビィは演劇作家で、ジム・マッギンとも共作したことがある。作風が大胆に変わったわけではないが、幾分ポップで聴き易くなった。どことなく『All Along The Watchtower』に酷似している『Hurricane』は、実在する黒人ボクサー、ルービン・ハリケーン・カーターを擁護した曲。人種差別で不当に投獄されているルービンをディランは直接訪問し対話。彼が無実であることを確信してこの曲を書き、ハリケーン・ナイトと題したコンサートも行った。正義がゲームでしかないこの国に生まれたことを恥じるとまで歌うディラン。この年はアメリカ建国200年だったが、アメリカが最早自由の国ではなくなっていることを歌った曲が多く世に出た(『Hotel California』然り)。『Sara』はディランの全作品中ベストとも言えるラブソングで、もちろんサラ夫人のことを歌っている(がしかし、翌年離婚)。 |
|
Sales Date:1976.9. | 1. Maggie's Farm | 5. Lay, Lady, Lay |
Produce:Don Devito | 2. One Too Many Mornings | 6. Shelter From The Storm |
3. Stuck Inside Of Mobile With The Memphis Blues Again | 7. You're A Big Girl Now | |
8. I Threw It All Away | ||
4. Oh, Sister | 9. Idiot Wind |
ディランは気心の知れた仲間とあてのないツアーをして回るという、"ローリングサンダーレビュー"のアイディアを思いつく。『Desire』のレコーディングに参加したメンバー、ジョーン・バエズ、ジム・マッギン、ランブリング・ジャック・エリオットなどと共に76年10月から12月までこのツアーを実施。そしてその最終夜のライヴをレコーディングしたのが本作である。『Before The Flood』からわずか2年のインターバルでのライヴアルバムの発表というのは他のどのアーティストもやったことがない異例のハイペース。しかし、その2年の間にもディランは進化していることが音を聴けばわかる。オーディエンスの歓声も物凄い。惜しむらくはライヴの一部分のみの収録になっていること。実際のライヴは4時間にも渡っていたということだ。20数年後、忌野清志郎はこのアイディアを拝借して"Little Screaming Review"を敢行する。 |
|
Sales Date:1978.6. | 1. Changing Of The Guards | 6. Senor (Tales Of Yankee Power) |
Produce:Don Devito | 2. New Pony | 7. True Love Tends To Forget |
3. No Time To Think | 8. We Better Talk This Over | |
4. Baby, Stop Crying | 9. Where Are You Tonight? (Journey Through Dark Heat) | |
5. Is Your Love In Vain? |
78年、ディランはワールドツアーを日本からスタートさせ、この年実に116回のライヴを行う。本作はそのツアーの合間をぬってレコーディングし発表された。『Is Your Love In Vain?』は日本公演で初めて披露された曲で、レコーディングも日本で行われた様子。この後特別取り上げられることはないが、日本のファンにとっては思い出深い曲となったはず。全体としてはシングルヒットを狙えそうなポップな曲が多いが、それまでの傑作アルバムに比べるとかすんでしまい、平凡に思えてしまうのが残念。これが他のアーティストであれば力作と強く推すこともできるが、私たちがディランに求めるものが高すぎるからだろうか。・・・と言い切ってしまうのは軽率かもしれない。今後も繰り返して聴く必要がありそうだ。 |
|
Sales Date:1978.10. | Produce:Don Devito |
Disc 1 | 1. Mr. Tambourne Man | 7. One More Cup Of Coffee (Valley Below) |
2. Shelter From The Storm | 8. Like A Rolling Stone | |
3. Love Minus Zero/No Limit | 9. I Shall Be Released | |
4. Ballad Of A Thin Man | 10. Is Your Love In Vain | |
5. Don't Think Twice, It's All Right | 11. Going, Going, Gone | |
6. Maggie's Farm |
Disc 2 | 1. Blowin' In The Wind | 7. All I Really Want To Do |
2. Just Like A Woman | 8. Knockin' On Heaven's Door | |
3. Oh, Sister | 9. It's Alright, Ma (I'm Only Bleeding) | |
4. Simple Twist Of Fate | 10. Forever Young | |
5. All Along The Watchtower | 11. The Times They Are A-Changin' | |
6. I Want You |
初となる日本公演は、計11回という当時としては特異とも言える規模の大きさで行われた。本作は8回行われた武道館公演のうち2回からセレクトされて発表。選曲はほぼベストヒットながら、例によって例のごとくアレンジは変えまくり。更には女性コーラスやホーンセクションを導入した大所帯のバンド編成という、今までのディランのイメージを覆すスタイルに評価は賛否真っ二つに分かれる。しかし、だ。発表から20年以上の時を経た今になって思うのは、当時全盛であり時代の最大瞬間風速だったパンクロックよりも、こうして原曲を崩しまくりファンを裏切り続けている攻めの姿勢を貫くディランこそが真にパンクであった(そしてもちろん現在でもそうあり続けている)のではないかと思う。 |
|
Sales Date:1979.8. | 1. Gotta Serve Somebody | 6. Do Right To Me Baby (Do Unto Others) |
Produce:Barry Beckett | 2. Precious Angel | |
3. I Believe In You | 7. When You Gonna Wake Up | |
4. Slow Train | 8. Man Gave Names To All The Animals | |
5. Gonna Change My Way Of Thinking | ||
9. When He Returns |
この時期のディランを語るのに避けては通れないのが宗教的側面。ユダヤ系アメリカ人のディランがキリスト教に改宗したことが、ディラン自身のあり方に大きな影響を与えたのは想像に難くない。が、実際それが音楽性として反映されてくるのは次作以降の話で、強いて挙げればラストの『When He Returns』にそれが伺える。本作の底辺に位置するのは南部志向で、プラス78年の来日公演と同様の女性コーラスやホーンセクションの導入が目立つ。レコーディングには、ディランズ・チルドレンの1人と言ってもいいマーク・ノップラーがgで参加。ダイアー・ストレイツはこの年『悲しきサルタン』をヒットさせ、それがディランの目に留まって共演が実現したのだそうだ。『Slow Train』『Gonna Change My Way Of Thinking』でのマークのプレイは、ディランを一層引き立てている。 |