ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー(ネタバレ注意)
スター・ウォーズ・シリーズのスピンオフ作品だが、期待以上の出来だった。個人的に、2016年は劇場に足を運んだのはこれが17本目になるのだが、その中でもベストだと言える。
まず、画質がよかった。IMAX3Dで観たということもあるかもしれないが、鮮明で細部まで緻密で、映像というより本物を観ているようだった。『ゼロ・グラビティ』に匹敵するクオリティだったと思っている。大画面の中で迫ってくるデス・スターやスター・デストロイヤーの圧倒的な迫力は、他の作品で味わえるだろうか。
劇中の時間軸では、エピソード3と4の間にあたる。しかしこの間には20年の年月があり、厳密にはエピソード4の直前になる。銀河帝国が惑星をも破壊する強大な兵器デス・スターを完成させ、反乱軍はデス・スターを破壊するために設計図を盗み出さんとする。
主人公ジン・アーソは、幼い頃に母を銀河帝国に殺され、父ゲイレンはデス・スター設計のために拉致される。ジンは生き抜くために無法者となっていたが、反乱軍に確保される。帝国軍を裏切って脱走したボーディーは、ゲイレンのメッセージを反乱軍に届ける。ジンは、父が帝国に協力する風を装いながら、デス・スターに弱点を仕込んだことを知る。
反乱軍本体は設計図奪取の計画を認めなかったが、ジンと将校のキャシアン、盲目の僧侶チアルート、チアルートをバックアップするベイズ、ボーディー、ドロイドのK-2SO、そして10数人の協力者で、帝国軍基地への潜入を試みる。無断で反乱軍基地から離陸する際にコードネームを求められ、ボーディーがとっさに「ローグ・ワン」と答える(ローグは「はぐれ者」という意味らしい)。
本編のキャラクターも、結構登場する。C3-POとR2-D2の名コンビも、一瞬だけだが映る。ローグ・ワンがもし設計図を奪取できれば、「ジェダイの彼」に渡そう、そしてその役目は「彼女」が適任だと、反乱軍の士官が会話するシーンがある。「ジェダイの彼」はオビ=ワン・ケノービを指し、この会話をしている士官は、エピソード2と3に出演していたペイル・オーガナだ。そして「彼女」は・・・。
帝国軍では、ダース・ベイダーが登場。ふだんは培養液が入ったカプセルに浸っていて、人前に出るときに見慣れた姿になる。漆黒のボディーはベイダーの体そのものではなく、体を保護する鎧なのだとわかる。今回、フォースの使い手は敵味方を通じてベイダーだけだ。ラス前、奪われた設計図を取り戻すべくライトセーバーで反乱軍兵士を次々になぎ倒すさまは、敵であり悪であるにもかかわらず、かっこいいと思ってしまう。
ジンもキャシアンも、フォースのような超能力は持ち合わせていない。盲目にして感覚が研ぎ澄まされているチアルートも、フォースを信じてはいるがフォースの使い手ではない。彼ら「名もなき者」たちが、命をかけて設計図を奪取するさまはとても勇ましく、そして泣ける。K-2SOは憎まれ口ばかり叩いているが、最後はまるで義経を守る弁慶のように身を盾にする。
本編でも描かれている父と子の愛は、ここでも描かれている。ゲイレンは娘ジンを「スターダスト」と呼び続けていたが、このキーワードが土壇場で生きてくる。一時期ジンを育てていたソウ・ゲレラは、過激すぎて反乱軍の中では浮いた存在だが、ジンの父的な存在だった時期がある。
キャストは、ジンをフェリシティ・ジョーンズ。個人的には、少し前に『インフェルノ』で彼女を観たばかり。去年観た『エピソード7』のレイ/デイジー・リドリーにも通じる、芯の強い女性を演じている。ボーディーはリズ・アーメッドで、少し前には『ジェイソン・ボーン』、去年は『ナイトクローラー』に出演していた人だ。ペイル・オーガナは、エピソード2&3のときと同じ人が演じている。
ラスト、ダース・ベイダーの手を逃れ、設計図の入ったディスクを受け取ったのは、ペイル・オーガナが言っていた「彼女」だった。白いドレスをまとい、フードをかぶっていて、表情までは伺えない。ディスクに何が入っているのかと聞かれ、彼女は答えた。「Hope(希望)」と。そしてオープンになったのは、CG加工によるレイア・オーガナだ。「Hope(希望)」は、ジンが反乱軍に決起を訴えたときにも発していたキーワードだった。
エピソード4のサブタイトルは、『A New Hope(新たなる希望)』である。本編に、つながった!
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