デヴィッド・ボウイ(David Bowie)「地球に落ちて来た男」(ネタバレあり)
デヴィッド・ボウイが主演し1976年に公開された映画「地球に落ちて来た男」が、全国のミニシアターで順次公開されている。横浜はジャック&ベティで一週間限定公開となり、先日観に行ってきた。
トーマス・ジェローム・ニュートンと名乗る、イギリス人の男がいた。ニュートンは9つの特許を持ち、巨大企業を立ち上げて富を獲得し、有能な弁護士や技術者を雇って謎の研究を進める。実はニュートンは宇宙人で、砂漠化した自分の母星に地球の水を持ち帰り、家族を救おうとしていた。
ニュートンを演じるボウイは色白で細身で華奢で、頬もこけている。アルバム『David Live』のジャケットのイメージとほぼ同じ見た目で、このときまだドラッグ漬けの最中だったはずだ。トム大佐やジギー・スターダストなど、宇宙的なイメージや異星人キャラクターを発信してきたボウイだが、演技をしているというより、この時期のこの人そのままと思える瞬間がいくつもあって、とても興味深かった。
科学者が研究の目的に気づき、ニュートンと対話するシーンがあるのだが、そこで宇宙船を思わせる狭い空間に入る。このイメージは、『Station To Station』のジャケットに生かされている。『Low』の横顔ジャケットも、このときのスチール写真を使ったのだとか。故郷の星でニュートンを待つ家族のシーンは、後の『Ashes To Ashes』のPVの原型のようにも見える。
設定は緻密とは言い難いし、わけのわからないシーンも少なくない。不必要に和風のテイストも入っている。ボウイに強い思い入れがある人でなければ観るのがきつい、カルト作品だが、個人的にはボウイやその作品にいろいろ思いを馳せることができたし、楽しませてもらった。
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