ダイナソーJr.（Dinosaur Jr.）＠サマソニ2016

アウスゲイルの客入りがぶっちゃけさほどでもなかったので、軽い気持ちでレインボーステージに来てみると、ディア・ハンターのライヴ中でほぼ満員の入りに驚愕。それでもなんとか前方まで行き、セットチェンジ中にポジションを確保した。セッティングや音合わせは自分たちでやっていて、早くも歓声が沸く。そういえば、フジロックで観たときもそうだった。

そして、ライヴはすごかった。

今までダイナソーのライヴは6回、Jのソロ名義でも2回観たことがある。そのいずれもで、Jのギターがすさまじくないことなどなかった。しかし、今回は別次元だった。

なんと3曲目で早くも『The Wagon』を繰り出し、意表を突かれる。リリースされたばかりの新譜からの曲も問題なく機能し、解散前と再結成以降の温度差など、最早なくなっている。『Out There』も、『The Lung』も、と、怒涛の攻めに来ている。

マーフのリズムキープ、ルーのベーシストばなれしたアクティブなプレイと、彼らももちろん素晴らしい。しかし、なんと言ってもJだ。ルーとは対照的にほぼ直立不動で、強いて言えば右足を前に踏み出しているくらい。しかしギターサウンドは轟音で、Jの指さばきはナチュラルすぎてまるで魔法のようだ。

なんだろう。機材のセッティングがぴったりはまったのか。日本での単独公演ならライヴハウスクラスのダイナソーが、このキャパシティが本来の力を発揮できる会場クラスなのか。たとえば、100メートル走でランナーがベストの走りをしても向かい風でタイムが伸びないことがあるように、今回のライヴはさまざまな条件がうまく揃ってしまったのだろうか。

終盤にも『Little Fury Things』や『Gargoyle』で攻め立て、持ち時間をフルフル使い、弾き倒し、バンドはステージを去って行った。個人的に、これまで観てきたダイナソーのライヴにおいてベストと言っていいパフォーマンスになったと思う。