スウェード(Suede)『カミング・アップ/Coming up(コンプリート・エディション・DVD付)』
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最終更新日:2023/10/20
Suede スウェード, バーナード・バトラー
スウェードのサードアルバム『Coming Up』こそ、バンドのキャリアを代表する作品にして90年代UKロックの名作のひとつだ。バーナード・バトラー脱退により、ギターにリチャード・オークス(当時若干17歳)、キーボードにニール・コドリングを加え、見事に再生に成功している。ボーナスディスクとDVDが付与された再発盤を聴いて、そして、観た。
ディスク1は、オリジナル10曲のリマスターに7曲のデモテイク、そしてカップリングを3曲収録。1曲目の『Trash』のイントロが流れたその瞬間、吹っ切れ、突き抜け、スウェードが一段上の高みにのぼったことを感じさせる。そしてその手ごたえは出だしだけにとどまらず、アルバム全編に渡るのだ。デモテイクは7曲中4曲が仮タイトルで、曲が作られる途中を垣間見る気になる。ディスク2は、1曲の未発表音源を含む、カップリング曲集だ。
DVDは、PV集、96年12月のロンドン公演、94年10月のパリ公演、そしてインタビューという内容。PV集には、シングルカットされた5曲のほか、チャリティーアルバム『Help!』に提供したカヴァー曲『Shipbuilding』もあって、ブレットのカヴァー能力が意外に高いことが伺える。
ロンドンはラウンドハウスというライヴハウスでの公演で、中盤になんとペット・ショップ・ボーイズのニール・テナントが登場。『Saturday Night』ではワンコーラスずつ分け合い、続けてはペット・ショップの『Rent』をスウェードがバックアップするという具合。意外な組み合わせに、ちょっとびっくり。パリ公演はリチャード加入後初ライヴで、ニールのいない4人編成という、これまた貴重な映像だ。
インタビューは、ブレット、リチャード、ニールの3人が応え、場所はブレットの自宅。一般人が住むようなマンションの一室で、生活感が伝わってくる。前作まではブレット&バーナードのコンビで曲作りをしてきたが、今作からはいくつかのパターンのコンビによる作曲体制になっていて、これは気づかなかった。決して、ブレットが孤軍奮闘していたわけではなく、優れた従者に巡り合ったわけだ。ニールはドラマーのサイモンのいとこで、偶然スタジオに顔を出したときにピアノが弾けるとわかって、それで加入したのだとか。
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