スウェード(Suede)『ドッグ・マン・スター/Dog Man Star(コンプリート・エディション・DVD付)』
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最終更新日:2023/10/20
Suede ザ・スミス, ジョイ・ディヴィジョン, スウェード, バーナード・バトラー
スウェードのセカンドアルバム『Dog Man Star』は、リリースと前後してバーナード・バトラーが脱退したため過度期のイメージがついてまわるが、今作をバンドの最高傑作として推す人もいる。ボーナスディスクとDVDが付与された再発盤を聴いて、そして、観た。
ディスク1は、オリジナルのリマスターおよびデモテイクを収録。『Introducing The Band』『We Are The Pigs』の出だし2曲は、20年経った今でも輝きを失わない。そして、個人的にスウェードシングルの頂点と思っているのが『New Generation』。疾走感に溢れ、突き抜けた感触のある曲調は、次作でのシングルヒット連発を予感させる。デモテイクは、5曲中4曲がアルバム収録曲とは別の、つまり仮タイトルになっていて、音やアレンジともども曲ができあがっていく過程を確認することができる。
ディスク2は、シングルのカップリングや未発表バージョン、未発表曲を収録。『My Dark Star』『Stay Together』がココにあることに(つまりアルバムにはない)、スウェードのシングルのクオリティーの高さを思い知らされる。ラスト3曲はオーケストラバージョンで、音楽性の幅広さと奥深さを感じさせるオルタナティブ・テイクは嬉しい限りだ。
DVDは、『Stay Together』のPV、ツアーフィルム、93年11月のパリでのライヴと、恐らくはその日の日中に行われたであろうインストアライヴ、そしてバーナードとブレットのインタビューという内容。メンバーが登場しない、アート志向のツアーフィルムは「らしい」仕上がりで、スミスにも通じるものがある。パリのライヴはブートレッグまがいの画質とカメラワークだが、『Dog Man Star』リリース前にして既にそこからの曲を演奏し、しかもバーナード在籍時ということで、貴重な記録だ。
インタビューでは、バーナードはジョイ・デイヴィジョン『Closer』を参考に、ブレットはスコット・ウォーカーを参考にしたと言っていたのが面白かった。そして、参考にしただけで音をまねたのではなく、スピリットが残っただけなのだとも。また、ギターもキーボードも、自分がやればそれで十分だったとバーナードがさらりと言っていたのには、はっとさせられた。ここまでのスウェードは4人編成で、この後はギターとキーボードを加えた5人編成にシフトしているからだ。当然だが、バーナードの存在は大きかった。
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事前の予備知識を全く持たず、以前サマソニで観たときのイメージを抱いて臨んだのだが、これがいい