プリンス(Prince)『パープル・レイン(映画)』
ミネアポリスの人気クラブ、ファーストアベニューにて、ステージに立つキッドとザ・レボリューション。キッドは両親の不仲、バンド内でのトラブル、ライバルのザ・タイムとモリス・デイとの対立などのゴタゴタを抱えつつ、夢と成功を追い求める。そんなところに、成功を求める女性アポロニアが現れた。
クラブでのザ・レボリューションの演奏シーンは、どれも圧巻だ。がしかし、劇中ではキッドとレボリューションは問題児扱いで、ザ・タイムの方が幅を利かせていることになっている。やがてアポロニアもトリオとしてデビューすることになり、キッドはクラブのオーナーからは明日ダメだったらクビだと宣告される。アポロニアともめた挙げ句、家に帰ると、父親が拳銃で自殺未遂をしていた。
ぼろぼろになり、窮地に追い込まれたキッド。起死回生となったのはやはり音楽であり、父が書き留めていた楽譜、及びバンドメンバーのウェンディとリサによるデモからひとつの曲を仕上げ、ステージにて『Purple Rain』を演奏して喝采を浴びる。まさに、典型的なサクセスストーリーといえる。
プリンスが主演した映画で、同名のアルバムとシンクロして大ヒット。プリンスがキッド、プリンスの父と母を役者が演じている以外、ほとんどのキャストが実名で登場。内容も、プリンスの自伝的な要素が強いとうたわれた(今となっては、そのうたい文句もプロモーションの一部とわかるが)。リサとウェンディが書いたことになっている『Purple Rain』は、実際にはもちろんプリンスが書いた曲。そればかりか、ザ・タイムも、アポロニアも、ほとんどの曲がプリンスの手によるものだったはずだ。
ワタシはこの映画をリアルタイムで劇場で観て、その後テレビ放送されたのを観て、そしてDVDを入手。時間が経過してから、自分が歳をとってから観ることで、以前観たときには気づかなかったことに気づく。ストーリー上は、プリンスがクライマックスで逆転しめでたしめでたしという感じだが、夢の実現のためにデビューしたばかりのアポロニアは、結局どうなったのかというツッコミをしたくなる(笑)。
自伝的であろうとなかろうと、プリンスの演技にはやはり注目だ。両親の喧嘩で家庭内でも落ち着くことができず、涙を流すプリンス。あのプリンスが、泣いている!また、プリンスは当時1961年生まれとされていたこともあり、公開時はキッドは20代前半の設定と思って観ていた(実際は1958年生まれ)。今回観て思ったのは、キッドはもう少し若い、ハタチ前くらいの設定ではないだろうかと。大人でもなく、と言ってもちろん子供でもない。だから「キッド」なのでは、と思う。
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