パティ・スミス(Patti Smith)『ドリーム・オブ・ライフ』を観た(2009年9月12日)
パティ・スミスのドキュメンタリー映画『ドリーム・オブ・ライフ』を観に行ってきた。劇場は、渋谷のシアターNというところ。西口から少し歩いたところにあり、入るのは今回が初めてだった。
画面は大半がモノクロで、時にカラーになるといった具合。ナレーションはパティ本人で、冒頭で自らの半生をざっくりと語る。映像は90年代後半以降の活動再開後をベースにしつつ、70年代の若きパティの姿も断片的にではあるが現れる。ライヴのシーンも、細切れではあるがいくつかある。ランボー、ウィリアム・ブレイクといった、彼女のルーツである作家の名も何人か出てくる。ブレイクの墓前に臨むパティの姿もあった。
中心になっているのはパティその人と彼女を取り巻く人たちだ。カメラはパティの住む部屋やパティの実家にも入る。パティの部屋は雑然としていて、その中でいろいろ語りながらアナログレコードをかけたり、ポラロイドカメラをいじったり、猫にエサをあげたりする。実家では幼き頃の思い出を語り、両親と並びながらリラックスする彼女の様子が伺える。レニー・ケイやJ・D・ドーハティ、トニー・シャナハン、オリバー・レイといった、バンドメンバーも頻繁に登場。マイケル・スタイプやレッチリのフリーと会話を交わす場面もあり、トム・ヨークやボノもほんのわずかではあるが登場する。
自室でのパティはスカート姿で、これがとても新鮮だった。パティのステージ衣装はほとんどがジャケットにパンツスーツで、中性的なイメージがあるからだ。また、2人の愛息ジャクソンとジェシーもお目見えする。ツアー再開時のジャクソンはまだ子供で、それが少し経つとベックのような風貌になり、現在はパティの後ろでギターを弾いている。ジェシーは何の仕事をしているかわからなかったが(パティのアルバムには参加したことがあるようだ)、パティと一緒に馬車に乗ってセントラルパークを進む場面があった。
日本の映像もある。京都のお寺、タクシーや新幹線での移動、原宿の歩行者天国、テレビ(安室奈美恵が一瞬映っていた)、ステージから観たアングルの日本人のオーディエンスの姿などが見られる。97年の初来日時に撮影したのかな。
パティ名義での映像作品というのがこれまでにはないこともあり、貴重にして見応えのある作品と言える。日本公開に先駆けて7月末にはタワレコやラフォーレで先行上映会があり、それにはフジロックでのライヴを終えたパティ本人も姿を見せていた。写真は劇場内に貼ってあったポスターだが、腕のところにパティのサインがされているのが見えるだろうか。
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