ランバート・アンド・スタンプ(ネタバレあり)
1960年代前半のロンドン。映画の助監督をしていたキット・ランバートとクリス・スタンプは、自分たちでロックバンドをマネージメントして、成長する過程を記録し映画にすることを考える。2人が目をつけたのは、ハイ・ナンバーズ。後にバンドはザ・フーと名前を変える。
スタンプは全体を統括し、父が指揮者・作曲家でクラシックの素養があったランバートは、バンドの音楽性についてもアイディアを出すなど尽力。バンドは経済的になかなか安定しなかったが、大作ロックオペラ『Tommy』により、ついに商業的な成功を手にする。しかし、それはバンドと2人との間に亀裂が生じた瞬間でもあった。
ロックバンドのドキュメンタリー映像は数あれど、バンドのマネージャーのドキュメンタリーというのは聞いたことがない。ロック映像が残されるようになるのは80年代以降で、それ以前となるとそもそも映像自体が少ない。恐らく、最も有名なロックバンドのマネージャーといえば先頃亡くなったジョージ・マーティンと思われるが、当時のジョージの映像などどれだけ残されているだろうか。
しかしこのドキュメンタリーは、当時の若き2人の姿を豊富に記録している。それは、上述の通り2人が映画の出身だったからだろう。フーは解散前に『トミー』『さらば青春の光』『ザ・キッズ・アー・オールライト』と3本の映画に携わっているが、それは2人からの影響が大きかったと見ていいと思う(しかし、スタンプは『Tommy』のみに関わり、ランバートに至っては全く関わっていない)。
バンドが2人から離れようとしたのは、2人がドラッグやアルコールに溺れるようになったからだ。ゲイだったランバートは、精神的なプレッシャーを抱えていたとのこと。ランバートは1981年にパートナーに殺されてしまい、スタンプは生き延びはしたが、この映画の完成を待つことなく、2012年に亡くなっている。
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