ボブ・ディラン(Bob Dylan)『Revealed』
2011年に制作されたボブ・ディランのドキュメンタリー番組が、CSで放送されていた。とても面白かった(リージョン1だがDVD発売もされている様子)。
60年代、70年代後半、90年代と、大きく3つのパートにて成り立っている。インタビューは、本人こそ登場しないが、そのときにディランと共演などで関わったアーティストが貴重な証言をしてくれる。その合間に、当時の映像が流れるという構成だ。
60年代は、オーストラリアやヨーロッパツアーの模様をピックアップ。『Don't Look Back』『No Direction Home』で観たのと、ほぼ同じ雰囲気が漂っている。
70年代は、ローリング・サンダー・レビューからキリスト教入信期までをフォロー。ツアーに帯同したベーシストと女性バイオリニストによる、リハーサルやバス移動、ゲリラ的なライヴ告知と実施などの様子が語られる。
アルバム『Desire』制作の模様では、冒頭『Hurricane』で歌われた、プロボクサーのルービン”ハリケーン”カーター本人が雄弁に語っている。不当な判決により投獄されたルービンは、獄中で本を書いて数人の著名人に送り、その中にディランもいた。ディランはルービンに実際に会いに行って話を聞き、ルービンはそのことをとても喜んでいた。
78年に実現した、日本公演のことも少しだが触れられていた。日本のプロモーターとおぼしきところから、来日を求める手紙が届いたことになっている。実際の公演では、客がおとなしかったことに、演奏する側はとまどっていた様子だ。
90年代は、ツアーのドラマーがコメント。この人は94年の来日時に観たことがあって、当時はドレッドヘアで『Series Of Dreams』のときにやたら目立っていた記憶があるのだが、この番組中ではこざっぱりとしていて冷静に当時を振り返っていた。
ディランの公式映像作品は、そのほとんどが60年代に集中している。70年代以降の様子は活字で知るくらいしか手だてがなく(90年代以降は割と来日してくれるので、自分でライヴを体感するというアプローチもあるが)、そうした意味でこのドキュメンタリーは極めて貴重だ。
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