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ポール・ウェラー(Paul Weller)@横浜ベイホール 2015年10月17日

公開日: : 最終更新日:2024/02/03 ライヴ

ポール・ウェラー(Paul Weller)@横浜ベイホール 2015年10月17日

14日のZepp Divercity公演は現地到着が開演ぎりぎりだったが、今回は開場30分前に到着。入場待ちをしていると、ベースのアンディ・クロフトが出てきて完売の貼り紙を写真に撮っていた(その後自身のTwitterに投稿)。入場時には、モデルでの娘リアを見かけた。

開演時間を5分ほど過ぎたところで、客電が落ちる。ステージに出てきたのは、長身で細身の男。日本語でポール・ウェラーを紹介し、そしてバンドとウェラーが姿を見せた。この男は、恐らくだがリアの彼氏のモデルのTomo Kurataだと思われる。入場時、リアの横にいた。

14日と同じく、『Come On/Let's Go』でスタート。オーディエンスの熱狂ぶりがハンパなく、場内の一体感がすさまじい。横浜ベイホールの会場の狭さが、かなりいい方向に作用している。個人的には、密閉感のある会場でこの人を観るのは2001年のクアトロ以来だが、あのときはソロアコースティックだった。今回は、バンドだ。

各メンバーの様子も、かなり細かいところまで見ることができた。パーカッションのベン・ゴーデリア、ドラムのスティーヴ・ピルグリムは、笑みを浮かべながら楽しそうに叩いていた。キーボードのアンディ・ルイスとベースのアンディ・クロフトは、クールにプレイしていた。

ギターのスティーヴ・クラドックがなんと曲紹介をし、その曲はスタイル・カウンシルの『My Ever Changing Moods』だった。そしてこの人の嬉々としてギターを弾くさまは、ギター少年のようだった。もしかしたらだが、ウェラーが近年のライヴでジャムやスタカンの曲を演奏するようになったのは、クラドックらメンバーがやりましょうやりましょうとウェラーをけしかけているのかもしれない(笑)。

中盤のハイライトは、『Into Tomorrow』だった。クラドックの長いギターソロがあり、そして、14日より早めにここでもうウェラーの息子が姿を見せてタンバリンを叩いていた。終盤は、ピルグリムとベンによるビート合戦になった。息子はその後『Paperchase』では前半マラカスを振り、後半でスティックを手にしてドラムをこなした。

終演後いろいろ調べたのだが、彼はウェラーの前の夫人との間の子で、名をスティーヴ・マック・ウェラーという。年齢は9~10歳くらい。金髪がきれいで、どことなく照れながらやっているところが可愛かった。彼がプレイするとき、ステージ上の「大人たち」6人は、口許に笑みを浮かべながら、彼を後押しするような優しい眼差しを向けていた。いや、ワタシたちオーディエンスも、保護者のような気持ちになって彼を見守っていたのだ。

新譜『Saturns Pattern』からの曲が多いのは当然だが、97年作『Heavy Soul』からも3曲が演奏されているのが、個人的に嬉しかった。特に『Friday Street』『Peacock Suit』は本編終盤に固めてきて、場内の温度が上がったような感覚になり、一体感が更に強固になった。本編ラストはジャムの『Start!』だった。

アンコールは、新譜からの『Pick It Up』『These City Streets』で、じっくり演奏し聴かせるモードに。一見ロックともブルースともつかないグレーな曲調だが、これはウェラーの懐の深さだと思う。更にジャムの『Ghosts』を経て、前作『Sonic Kicks』からの『Be Happy Children』へ。

と、曲が間奏に差し掛かったところで、リアとマックがステージ中央に踊り出てきた。リアは場馴れした風でマイクを取って歌い(結構うまい)、マックは照れながらもタンバリンを叩いていた(実は、2人はこの曲のレコーディングに参加している)。ウェラーが亡き父ジョンを思って書いた曲だが、ウェラー自身もまた父であって、すべての父のための曲だそうだ。

優しい気持ちになった後、ダブルアンコールはアッパー攻勢だ。『The Changingman』ではじまり、個人的に好きな曲『From The Floorboards Up』もあり、そしてオーラスは『Town Called Malice』だ。ウェラーはここでもマックを呼んでタンバリンで参加させ、終了後全員で肩を組むときには彼も加えて礼をした。

セットリスト
Come On/Let's Go
I'm Where I Should Be
Long Time
White Sky
Boy About Town
Up In Suze's Room
My Ever Changing Moods
Have You Ever Had It Blue
Saturns Pattern
Going My Way
Into Tomorrow
Above The Clouds
Paperchase
Long Hot Summer
Starlite
Friday Street
Porcelain Gods
Peacock Suit
Start!
Encore:
Pick It Up
These City Streets
Ghosts
Be Happy Children
Encore 2:
The Changingman
In The Crowd
From The Floorboards Up
Town Called Malice

前半は、ウェラーやクラドックが使うギターに注目しながら見ていた。ウェラーはテレキャスターやギブソンSG、エピフォンカジノなどを使い、ソロを弾く場面も結構多かった。ギターリフで始まる曲のほとんどは、自ら弾いていた。クラドックはレスポールやストラトキャスターなどを駆使し、今回もまたウェラーに忠誠を尽くしていた。

しかし、マックとリアの登場以降は視線も気持ちも彼らに持っていかれてしまった。エレクトリックピアノはステージ向かって左前方に設置されていたのだが、『Be Happy Children』のとき、ウェラーはそこに座って弾きながら切々と歌っていた。そのすぐ後ろの袖のところに、リア、マック、そして現夫人ハンナの3人が立っているのが見えた。リアとマックは母親違いで10歳以上も年が離れ、ウェラーより27歳年下のハンナは双子の男の子を産み、と、まるで石田純一のような複雑な家族構成だが(笑)、この場にいる3人はみな仲がよさそうだった。そして、3人を背にして切々と歌うウェラーは、ギターをかき鳴らすカッコよさとは違うオーラを放っていた。

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