ザ・ジャム（The Jam）『Trans Global Unity Express』

ジャムのライヴDVD『Trans Global Unity Express』を観た。もともとVHSソフトでリリースされていたのがまんまDVDになっただけで、収録時間もわずか30分。現在は、ジャムの映像もYoutubeで検索すればいろいろ出てくるかもしれない。が、公式リリースされた最も古い映像という価値を見出している。

時期は82年3月で、つまりは解散直前のバンド末期に当たる。会場はZeppかStudio Coastクラスのキャパシティのライヴハウスで、客は男ばっかりだ（笑）。ステージ向かって左にポール・ウェラー、右にブルース・フォクストンが並び立ち、後方中央にドラムのリック・バックラーが陣取るという、言わば逆トライアングルの配置だ。カメラワークは結構忙しいが、ウェラーとフォクストンをほぼ均等に捉えていた。

演奏される曲は（いや、実際にライヴで演奏された曲からピックアップされてココに収められている曲は、の方が正確か）『Sound Affects』『The Gift』と後期のアルバムに集中している。これが、末期のジャムの3人の姿を記録した映像として、より生々しく思えてくる。歴史を知っているからこう思うのかもしれないが、ウェラーが他の2人を置き去りにして表現者として先に進んでしまい、これがジャム解散とスタイル・カウンシル結成につながっていく。その第四コーナーを曲がり切る辺りの映像にも思える。

現在のポール・ウェラーのライヴではオーラスに歌われることの多い『Town Called Marice』が、ココではなんと2曲目に披露されてしまっていた。これにも、時の流れを感じずにはいられなかった。