ポール・ウェラー(Paul Weller)『As Is Now(DVD)』
ポール・ウェラーは2005年にアルバム『As Is Now』をリリースしているが、それにリンクしたDVDというのもあって、それを今回観た。
コーナーは、大きく2つある。まずは、アルバムのレコーディングの模様を捉えたドキュメンタリーだ。一戸建てを借り切ったかのようなスタジオで、ウェラーを始め各メンバーがおのおのの楽器を奏でていて、それにコメントがかぶさっている。このときのバンドメンバーは、ギターにはスティーヴ・クラドック、ベースにはデーモン・ミンチェラという、「現」と「元」のオーシャン・カラー・シーン組。そして、ドラムはウェラーとは長い付き合いのスティーヴ・ホワイトだ。
ジャム~スタイル・カウンシルというバンド/ユニットを経て、ソロ活動を行っているウェラー。がしかし、ライヴでは90年代にジャムやスタカンの曲を演奏することはほとんどなかったし、ソロの作風も自らのルーツを隠さない、ソウルフルな仕上がりのものが多かった。安易に過去の遺産にすがることをよしとしない、この人の潔さだと思う一方、これにジャムやスタカンの要素がプラスされたら、この人は無敵になるのになあ、というのが、ファンとしての正直な心持ちだった。
それが、ウェラーが自ら封印を解いたのが、21世紀に入ってからだ。『That's Entertainment』『Town Called Malice』『My Ever Changing Moods』『Long Hot Summer』などを惜しげもなく披露するようになった。そして『As Is Now』は、ジャムやスタカンを彷彿とさせるリフやメロディが組み込まれていて、しかしこれが単なる再構築ではなく、自信と風格が漂いつつも若々しく攻めの姿勢を見せるという、出色の出来になっていた。実際『As Is Now』に対する手応えを、メンバーも嬉々としながら語っている。
もうひとつのコーナーはライヴだ。ロンドンの100クラブという狭いライヴハウスで(かつてセックス・ピストルズやクラッシュがライヴをやっていたのと同じトコロかな)、オーディエンスはすし詰めになりながらライヴを楽しんでいた。バンドは、上記のメンバーに加えスキンヘッドのキーボーディストがいて、密度の濃いパフォーマンスだった。原曲はピアノによるイントロの『Broken Stones』が、ウェラーのギターによって始まったのはとても新鮮だった。
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