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ジェフ・ベック(Jeff Beck)@Zepp Tokyo 2015年9月25日

公開日: : 最終更新日:2015/09/27 Jeff Beck

ジェフ・ベック(Jeff Beck)@Zepp Tokyo 2015年9月25日

地方ではされていたと思われるが、が東京でライヴハウス公演を行うのは、恐らく今回がはじめてだ。あいにくの雨の中の入場になりはしたが、密閉感に溢れる場内に入ってしまえば、後は歓喜の瞬間が訪れるのを待つばかりだ。

予定より10分ほど経ったところで、客電が落ちた。ドラムのジョナサン・ジョセフ、ギターのニコラス・マイヤー、ベースのロンダスミス。3人だけで演奏が始まるのは、1年半前の来日公演と同じだ。そして、演奏の途中でジェフ・が登場し加わるのも。

しかし、曲は『Even Odds』で、これは個人的には意表を突かれた。バンドメンバーが1年半前と同じなことや、直前にリリースされたばかりのライヴアルバムの内容から、『Loaded』で始まるものとばかり思っていたからだ。この人は常に変化し、進化している。

ジェフは黒いジャケットに黒いパンツ姿。御年71歳とは到底思えない若々しさで、この人を知らない女子高生に写真を見せて、年齢当てクイズをしたいくらいだ(笑)。『Hammerhead』を経てジャケットを素早く脱ぐと、白いスリーブレスのシャツにサスペンダーといういでたちに。若いなあ。

1年半前と大きく違うのは、ヴォーカリストのジミー・ホールを迎えていることだ。85年の『Flash』に参加し、2005年の来日公演にも帯同していた、ジェフにとっての盟友のひとりだ。第一期ジェフ・ベック・グループ時代の『Morning Dew』を歌い、歌いながら「Hello Tokio !」と入れてくる。ステージを忙しく歩き回り、指差しポーズを何度も決めていた。

今回は、バンドメンバーにも見せ場が設けられていた。向かって左後方が定位置のロンダが、前方中央に踊り出てベースソロを披露し、ジョナサンのドラムソロも。ニコラスは曲毎にギターを使い分け、硬質でありながら荒々しいジェフとは異なる、ソフトな音色を発している。

テクノテイストの色濃い『Nadia』から、ジミヘンの『Little Wing』へ。そしてついに、必殺の『Cause We've Ended As Lovers/哀しみの恋人達』だ。99年にはじめてこの人のライヴを観て以来、何度この曲をナマで観てきたことだろう。変化し進化する一方で、この人は時空を超えた普遍的な音を発してもいる。

続いたのがなんと、『Superstition』。なるほど今回はこうか、と思った。『Cause We've ~』と共にスティーヴィー・ワンダーとコラボレートしていた頃の曲だからだ。ジミーがヴォーカルを務めるが、主役はジェフのギタープレイであることを見誤ってはいけないと思い、視線をジェフにロックオンする(笑)。

『Big Block』『A Day In The Life』は、今や必殺リレーだ。ん、ここで本編終わりかと思いきや、再度ジミーが登場して『Rollin' and Tumblin'』から、第二期ジェフ・ベック・グループの『Going Down』へとつなぎ、お祭りモードで本編終了となった。

アンコールを求める拍手に合わせるように、ジェフがギターを弾きながら姿を見せた。聴いたことのある音色は、『Danny Boy』という曲だった。そしてオーラスは、B.B.キングの『The Thrill Is Gone』。最後は全員で肩を組み、挨拶してくれた。

『Good Bye Pork Pie Hat』『Red Boots』『Blue Wind』といった鉄板ナンバーや、恐らくここ15年は定番だった『Brush With The Blues』が落ちるという、ある意味衝撃的なセットリストになりはした。その代わりにカヴァーナンバーがフィーチャーされ、そのサポートとしてジミーが入ったのだろう。

ルーツへのリスペクトを強く打ち出している近年のジェフだが、一方で時代に呼応し現在進行形であり続ける姿勢は失われていない。リタイヤをほのめかす同世代のアーティストがいる一方、限界を越え道なき道を進むアーティストもいる。ジェフはもちろん後者で、これから先もこの人の勇姿を見ることができるはずだ。

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