ボブ・マーリー
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最終更新日:2021/02/14
Bob Marley エリック・クラプトン
BSに『ザ・プロファイラー』という番組があって、毎回ひとりの人物をピックアップしている。過去、手塚治虫やコナン・ドイルを観たことがあったが、先週はボブ・マーリーだった。ワタシはマーリーにもレゲエにも疎かったので、とても興味深く観させてもらった。
イギリス植民地だったジャマイカに生まれ、父は50歳の白人、母は18歳の黒人だった。マーリーは母と共に暮らし、父とはほとんど会わなかった。この出自より、マーリーは白人ばかりか黒人からも差別を受ける。そんなマーリーを救ったのが、音楽だった。
1960年代前半。アメリカに出て、自主制作でアルバムをリリースするが、レコード店には置いてもらえず、ラジオでもかけてもらえない。理由は「黒人だから」。ジャマイカに戻り原点に立ち返ったマーリーは、1970年代になり成功を収める。エリック・クラプトンがカヴァーした『I Shot The Sheriff』が全米1位になったことも、追い風になった。
マーリーはジャマイカに豪邸を建て、生活と音楽活動の拠点にする。鍵はかけず、いつ誰が入ってきてもよしとした。貧困に苦しむ人たちのためだった。しかし二大政党の対立に巻き込まれて心臓の下を狙撃され、重傷を負ってしまう。それでも、2日後に予定されていたコンサートで、マーリーはステージに立った。一時期ロンドンに住んでいたマーリーは、1978年にジャマイカに舞い戻り、ワンラヴピースコンサートを敢行。二大政党の党首をステージに呼び、2人を握手させた。マーリーは1981年、脳腫瘍により36歳の若さで亡くなっている。
つらつらと番組のあらすじを書いたが、まあ壮絶だ。貧困・差別・政治といった、重くシリアスな要素と切っても切れない人生であり、だからこそマーリーが魂込めて発したレゲエミュージックは世界に広まったのだろう。
番組でマーリーの代表作として紹介されていたのが、『Exodus』というアルバム。タイム誌が20世紀最高の音楽アルバムとして選んだそうだ。「脱出」という意味で、旧約聖書の出エジプト紀のモーゼが奴隷だったイスラエル人を連れてエジプトから脱出したエピソードをもとにしているようだ。ジャマイカからの脱出だけでなく、権力や差別からの脱出でもあったに違いない。
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