坂本龍一展「音を視る 時を聴く」に行ってきた
東京都現代美術館で開催されている、坂本龍一の展示を観に行ってきた。土日はおろか、平日でも混雑するとのことだった。なので、開館20分前に現地に到着し、開館後5分後くらいで入場することができた。
坂本が追い求めたテーマのひとつとであるという、水と映像と音楽の融合を表現した展示。東日本大震災を生き残ったピアノの、自動演奏。国内外の、映像作家とのコラボレート。アルバム『async』をベースにした、インスタレーション。
これらにロックアーティストとしての坂本を感じるのは難しいが、純粋に音を追求しているさまは伺える。ブライアン・イーノやデヴィッド・シルヴィアンが手がけてきた、アンビエントな世界観にも通じるものがある。ただ坂本の場合、日本的なテイストが加えられていると感じる。
資料アーカイブのブースでは、坂本名義で出版された書籍、雑誌のインタビュー、84年から85年の手書きメモなどが展示。坂本が書く字は、丸っこくてソフトなタッチだ。壁にはファンリーツリーのような人脈図があり、隣のディスプレイには生成AIによる坂本の活動を文字ベースで動的に表現していた。
屋内ブースのラストは、坂本が実際に演奏した音源データと、演奏している坂本自身を捉えた映像を組み合わせて再現する試み。昨今はAIによって亡くなった人を再現すされることがあるが、ここでのホログラム調の坂本の方が、生きている生々しさが感じられた。
今回の展示は、屋外にもある。美術館の中庭に霧を張り巡らせる「霧の彫刻」だ。霧は20分おきに噴き出す仕様で、時間を確認し1分前に入ってみる。時間になり、両サイドから霧が噴出。ワタシが行った日は風が強くて霧が充満したのは一部だったが、それでも一瞬だけ幻想的な空間に触れることができた。
11時10分頃に会場を後にしたが、この時点で入場は60分待ちになっていた。やはり、混雑する展示は開館直後を狙うに限る。
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