ナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)@Studio Coast
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最終更新日:2024/12/22
Nine Inch Nails アトムス・フォー・ピース, ナイン・インチ・ネイルズ, フジロック
昨夜、『The Fragile』からは1曲も演奏されなかったので、もしかするとセットリストを大胆に変えてくるのではと思ってはいた。しかし、サプライズはそれだけに留まらなかった。
定刻の19時きっかりに、オープニングアクトのアレッサンドロ・コルティーニが登場。既にナイン・インチのセットが組まれているステージにて、地べたに膝をついてコンピューターを操作。アンビエントかつエレクトロなインストを繰り広げ、それはトレント・レズナーが手掛けた映画音楽に通ずるものがあった。
20分弱してアレッサンドロのプレイが終わり、入れ替わるようにトレントとバンドメンバーが登場。じわじわ攻め立てるようなエレクトロビートは、『Somewhat Damaged』だった。『1,000,000』を経てレアな『Letting You』となり、仕入れている昨夜の情報が早速意味をなさなくなってきている。
メンバー配置は、ステージ向かって右にギターのロビン・フィンク、後方にドラムのアイラン・ルービン、そして向かって左は先程のアレッサンドロがギターという編成。去年よりひとり減っていて、基本はベースレスだ。長身のロビンは打ち下ろすようにギターを弾き、また狭いステージ上を頻繁に動き回る。ドラムのアイランも時にギターやキーボードをこなす職人ぶりを発揮。この人の発するビートが、バンドの屋台骨となっている。アレッサンドロはギターだけでなくベースやプログラミング、シンセドラムもこなしていた。いずれ劣らぬ凄腕ばかりだ。
そしてトレントだが、マイクスタンドを軸にするように歌い、体を前後に大きく振り、ジャンプし、と、アクションがかなり豊富だ。もちろんギターもキーボードも弾き、プログラミング機でサンプリングもコントロールする。およそライヴにはずれのない人だが、去年の復活以降、ますます冴え渡っている。
ステージセットも見事だ。去年のフジロックで稼動していたプロジェクターも素晴らしかったが、今回もすごい。バックドロップにライティング機材が6基並び立ち、爆音に見事にシンクロして閃光している。このライトの光り具合がすごすぎ。具合が悪くなった人が出ても不思議ではなかった。去年同じくスタジオコーストで観たアトムス・フォー・ピースのライティングもすさまじかったが、それ以上かもしれない。
『Terrible Lie』『March of the Pigs』『Piggy』で、このバンドの「通常の」ライヴに落ち着いたような気持ちにさせられるが、『The Frail』『The Wretched』という『The Fragile』ナンバーに別世界へと誘われた感覚に陥る。レアすぎて反応できなかった『Vessel』、まさかのチョイス『31 Ghosts IV』、8年前のコーストでも観た『Burn』と、変幻自在にも程がある(笑)。
『The Hand That Feeds』『Head Like a Hole』と来て、この流れだともう終わりなの!?短い!早い!と、焦ったのはワタシだけではないはずだ。この後メンバーはステージから捌け、わずかの間だが漆黒の空間にオーディエンスは取り残される。と、ここでイントロが流れたかと思うと、なんと女性の歌声が。女性!?そう、トレントの奥さんマリクィーンだったのだ。
つまり、ハウ・トゥ・デストロイ・エンジェルス(HTDA)の再現なのだ。アイランは前の方に出て縦長のベースを弓で弾き、トレントは奥の方でキーボードを弾いている。薄いライトが、マリクィーンに当たっている。曲は『Ice Age』『BBB』の2曲。HTDAのライヴ、去年のコーチェラをウェブキャストで観たが、個人的に気に入っていた。これでワールドツアーをしてもいいくらいと思っていたところにナイン・インチ・ネイルズの復活があり、HTDAが幻になりかけていたので、まさかの、そして嬉しい展開になった。
ラストは、もちろん名曲『Hurt』。いろいろあった素晴らしいライヴは、こうして幕を閉じた。
Somewhat Damaged
1,000,000
Letting You
Terrible Lie
March of the Pigs
Piggy
Reptile
The Frail
The Wretched
Vessel
Survivalism
Wish
31 Ghosts IV
Burn
Gave Up
The Hand That Feeds
Head Like a Hole
Encore:
Ice Age
BBB
Hurt
スタジオコーストは国内最大規模のライヴハウスではあるが、やはりフジロックやサマーソニックのヘッドライナーをこのキャパシティーで観られるというのは、この上ない贅沢だ。というより、欧米ではアリーナクラスなのだから、ここ日本でもそろそろ武道館に進出させてもいいのではないかと思う。トレントは、ナイン・インチ・ネイルズは、今何度目かのピークを迎えているのだから。
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