アイ・アム・ユア・ファーザー（2015年）

『スター・ウォーズ』のエピソード4から6でダース・ベイダーを演じた、デヴィッド・プラウズ。しかしエピソード6では、ベイダーがマスクを脱いで素顔を出すシーンをはじめ、大半は別の俳優が演じていた。当時のデヴィッドでは、年齢的に若くてベイダーとは合わないと判断されたからだった。

撮影後にベイダーが死ぬことがリークされ、ジョージ・ルーカスはデヴィッドがそれを漏らしたと考えていた。デヴィッドは当然否定。しかし両者の間にできてしまった溝は修復されず、デヴィッドは『スター・ウォーズ』公式イベントへの立ち入りを禁止されてしまう。

デヴィッド・プラウズの、『スター・ウォーズ』出演後を追ったドキュメンタリーになる。ダース・ベイダーをリスペクトするクリエイターたちが動き、リーク記事の当時の記者にコンタクトを取って真相を明らかにする。そしてデヴィッド本人にも会い、ベイダーが素顔を出すシーンをデヴィッドに演じてもらって撮影することを持ちかける。

冒頭に、ルーカス・フィルムとは関連しない旨のアナウンスがあり、デヴィッドに素顔のベイダーを演じてもらう件でも当然のように許可は下りなかった（つまり非公式の扱い）。撮影後に上映会が行われたが、小規模に留まり、映像そのものは非公開でその場限りとされた。

デヴィッド自身の経歴が、なかなか興味深い。イギリスのブリストルに生まれ、身長2メートル近い恵まれた体格もあり、ボディビルや重量挙げを経て俳優の世界に入った。何度も映画化されている『フランケンシュタイン』も、演じたことがあった。驚いたのは、『時計じかけのオレンジ』で作家宅にいた大柄の男が、この人だったことだ。

劇中には、デヴィッドの弟や息子、『スター・ウォーズ』のプロデューサー、そしてR2-D2を演じていたケニー・ベイカーなどがコメントを寄せている。ケニーは2016年に81歳で、デヴィッドは2020年に85歳で、それぞれ亡くなっている。