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トム・ヨーク(Thom Yorke)@東京ガーデンシアター 2日目

トム・ヨーク(Thom Yorke)@東京ガーデンシアター 2日目

開場中のBGMはジャズだったが、開演時間ななるとアンビエントに切り替わり、そして5分ほどすると場内が暗転。向かって右の袖から、が登場した。

トムはセミアコを手にし、『Weird Fishes/Arpeggi』でスタートだ。原曲のイメージを思い浮かべるとオープニングに持ってくるには違和感があるが、ソロ弾き語りのスタイルではしっくりくる。そして、続くは鍵盤弾き語りでの『Pyramid Song』だ。

この日のセットリストは、特に率が高い。『Packt Like Sardines in a Crushd Tin Box』は恐らく固定だが、『Glass Eyes』『Jigsaw Falling Into Place』と、前半から固め撃ちときたものだ。意外だが、もちろん嬉しい。

両サイドとバックドロップのスクリーンに流れるアブストラクトかつエレクトロニカルな映像、その大半にはエフェクトがかけられたトムの顔が被せられている。23日の公演で観たときは判別できなかったが、今回観て、歌い演奏しているトムをリアルタイムで捉え適用していると分かった。映像によってはだまし絵のように二重の意味合いに見えることもあった。もしかすると、VJもトムが自分でしているのかもしれない。

『I Might Be Wrong』でギターを弾きながら歌うトムは、凛々しかった。続くはなんと『Videotape』で、このセレクトには驚いた。レディオヘッドのライヴでも、滅多に演奏しない曲のイメージだったからだ(だからこそ自身のソロでやっているのかもしれないが)更に、新曲『Back in the Game』でトムはダメ押してくる。

ワタシのポジションは、23日は1階席だったこともあり、ステージ全体や映像を総体的に観るモードだった。今回はアリーナCブロックで、前の客の頭部の隙間をぬってステージを観るという具合。あまり観やすいとは言えないが、その分臨場感は全身に伝わってくる。

レディヘの『Daydreaming』を経て、『Black Swan』ではベースを弾きながら歌うトム。ヴォーカリストでリズムギタリストというのが、レディヘ初期の頃のトムのイメージだった。バンドがエレクトロニカルな方向に舵を切り、更にソロ『The Eraser』をリリースして以降は、ほとんどなんでもこなすマルチジシャンのイメージで、ベースを弾くさまも板についている。

過去2回のソロでの来日、2015年サマソニ深夜2019年フジロックでは、ナイジェル・ゴドリッチが参謀のように帯同していた。今回は完全にトムひとりで、「Everything」というツアーテーマは、自身のキャリアを総括する意味合いだと思っていた。ひとりでやる必要が、あったのだと思われる。

公演日によってセットリストを変えているのは、キャリア総括をコントロールしているからだと思っていた。しかし今回は、レディヘナンバーがあまりにも多い。それは、トム自身によるレディヘの再解釈と再構築なのだと思われる。

『Airbag』でギアが1段入り、そして本編ラストは『Idioteque』。それまでも、トムはそこそこ体を揺らし軽く踊ることはあったが、ここにきてステージを右に左にと足を進めては、場内にアピール。エレクトロニカルをベースにしたライヴでも、フィジカルさを常にキープしている。

アンコールは、『All I Need』から『Cymbal Rush』で鉄壁の運び。この後、オーラスなトムが何を持って来るのか注目した。そして、セミアコを手にしたトムが弾きはじめたのは、『Karma Police』のイントロだった。この日場内は何度も大きな歓声が沸いたが、このときが最高潮だった。

セットリスト
1 Weird Fishes/Arpeggi
2 Pyramid Song
3 A Brain in a Bottle
4 Packt Like Sardines in a Crushd Tin Box
5 Glass Eyes
6 Jigsaw Falling Into Place
7 Nose Grows Some
8 I Might Be Wrong
9 Videotape
10 Back in the Game
11 Volk
12 Daydreaming
13 Black Swan
14 Follow Me Around
15 Dawn Chorus
16 Airbag
17 Atoms for Peace
18 Not the News
19 Idioteque

アンコール
20 All I Need
21 Cymbal Rush
22 Karma Police

ワタシが足を運んだ23日と24日では、ザ・スマイルからの曲が全く演奏されなかったのが残念。欧米ツアーを2周はしているはずで、このバンドで来日公演はなかったので、少しでも聴きたかった。

しかし、それを差し引いても両日とも満足度の高いライヴだった。23日はキャリア総括に近いモードの中、個人的に好きな『Everything in Its Right Place』『Kid A』が聴けた。今夜24日は、22曲中実に13曲がレディオヘッドナンバーで、特に『Videotape』とオーラスの『Karma Police』は来日9公演目にして初披露だった。

ここ数年は各メンバーのソロプロジェクトや別バンドとしての活動が続いたが、そろそろ「本丸」レディオヘッドの活動が再開されてもいい頃なのでは、と勝手に思っている。次の便りを、楽しみにしている。

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