デュア・リパ(dua lipa) Radical Optimism Tour 2024@さいたまスーパーアリーナ
公開日:
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Dua Lipa プライマル・スクリーム
開演予定を15分ほど過ぎたところで、ステージ向かって右側がざわついた。デュアの関係者(家族?)が通路を歩いていて、彼らはPAブースに落ち着いた。やがて客電が落ちると、映画『ワイルド・エンジェル』での、ピーター・フォンダのセリフのサンプリングが流れる中(注)、バンドとダンサーがスタンバイ。
そして、ついにデュア・リパその人が登場。『Training Season』でショウはスタートした。デュアは黒レザーのビスチェにショートパンツ姿で(この後何度か衣装替えする)、早速歌に踊りにと全開モード。身長173センチと聞いているが、もっと大きく見える。それは、彼女の自身とプライドからくるオーラではないかと思う。
ステージセットは、バックドロップの巨大スクリーンには主に映像が流れ、両サイドの縦長のスクリーンはデュアを捉えている。鉄骨で作られた階段状のセットは、当初閉じられていたのがスタッフの人力で横に開かれ、ハの字型になった。
バンドは、向かって左にドラム、ベース、ギターで、全員男性。向かって右には、パーカッション、キーボード、ふたりのコーラスで、こちらは全員女性だ。ダンサーは、男6女6で計12名。アリーナ仕様の大所帯だ。
ステージの中央前方からアリーナ席に向けて花道ができていて、デュアはダンサーを引き連れてはそこで歌ったり踊ったりする。とにかくすべての動きに無駄がなく、ハンドマイクを持ちながら歌うときのちょっとした動作ですら、ダンスとして有効に機能している。ダンサーたちとのシンクロ度が抜群なのは、言わずもがなだ。
『These Walls』では、鉄骨セット内に収まっていたバンドのうち、コーラスふたりが右前方に、左前方にはギターの人と、セミアコを弾くパーカッションの人が陣取った。デュアは、まず後方のベーシストを讃え(この人がバンマスなのかな)、そしてひとりひとり紹介した。ほとんどダンスモードかと思いきや、こういうパートを彼女は用意していた。
中盤では、男性ダンサーのみを従えて歌ったり、かと思えば次の曲では一転して女性ダンサーだけを残して歌ったりもしていた(この2曲のとき、バンドは捌けていた)。デュアは、男性ダンサーとは時折エロティックなポーズのコンビネーションをすることがあり、少しどきっとした。
デュアは、客との一体感をかなりの頻度で求めていて、もちろんワタシたちはそれに応えた。ハンズアップや拍手、しゃがむよう促された後に彼女のカウントでジャンプ、客席を右に左にと歓声を求める仕草、花道でアリーナへのアピール、などなど。極上のショウを見せんとするだけでなく、コミュニケーションを取ろうとする彼女の姿勢が素晴らしい。
バックドロップの映像は、銀河や雪化粧など壮大なスケールを感じされるものが少なくなかった。それらをバックに歌い踊る彼女とは、見事にシンクロしていた。レーザー光線や紙吹雪噴射などの演出も、何度もされていた。
終盤、キーボードとデュアだけでの『Anything for Love』は、それまでの華やかさや賑やかさやとは打って変わり、鍵盤から発せられる音色に乗せた彼女の歌声が場内に響き渡った。最後には、鍵盤を止めて彼女のヴォーカルだけでの歌唱になり、場内にいる何万人かが彼女のヴォーカルに聴き惚れた。
本編ラストは、アルバム『Radical Optimism』のラストナンバーでもある『Happy for You』だ。個人的に、彼女の3枚のアルバムを聴いた中で最も好きな曲で、そして現時点での彼女の到達点ではないかと思っている。ステージにはスモークが漂い、バックの青空の中を雲が流れる映像ともシンクロしていて、エヴァーグリーンな世界観を感じさせる曲だ。
アンコールは再びダンスモードとなり、オーラスは『Houdini』だった。この日何度目かのクライマックスを迎える中、デュアは歌い終えると後方から捌けて行った。
【act 1】
Training Season
One kiss
Illusion
End of an Era
Break My Heart
Whatcha Doing
Levitating
【act 2】
These Walls
Be the One
Love Again
Pretty Please
【act 3】
Hallucinate
New Rules
Electricity
Cold Heart
【act 4】
Anything for Love
Happy for You
【Encore】
Physical
Dance the Night
Don't Start Now
Houdini
女性アーティストの台頭が目覚ましい昨今だが、デュア・リパのライヴもまた素晴らしかった。『Radical Optimism』で恐らく彼女はひとつのピークを迎えたと思われるが、もちろんまだまだ伸びしろはあるはずで、今後の活躍と発展が楽しみだ。次回の来日は、スタジアムに進出するだろうな、きっと。
(注)プライマル・スクリーム『Loaded』のイントロでもあり、デュアが聴いている動画がプライマルのアカウントで公開されている。
https://youtu.be/1VXBC1CWyTs?si=-xgoflPGpd5oOsw0
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