*

ピーター・フック&ザ・ライト(Peter Hook And The Light)


Unknown Pleasures: Live In Australia by Peter Hook And The Light

ピーター・フックはバーナード・サムナーらと仲違いしてしまい、(NO)を脱退。一時はマニや元スミスのアンディ・ルークらとフリーベースを結成し深夜のにも出演したことがあったが、こちらも短命のプロジェクトに終わってしまった。すると今度は、自らのバンドを率いてなんと(JD)の曲を演奏するという、なんとも開き直った行動に出たのだ。

今JDの曲を、しかもアルバム全曲再現ライヴを行うことに対し、風当たりは決して弱くはない。墓荒らしとも集金とも言われ、マニがフリーベースのときにTwitterでフッキーをディスッたのも、こうしたニュアンスがこもっていたと記憶している。

こうした周囲の雑音を黙らせることができるか否かは、ひとえにバンドの演奏力と表現力にかかっている。名盤2枚の曲がそのものが持つマジックにぶらさがるのか、それとも、しっかり手綱を握って操り、今現在の自分達の音として鳴らすことができるのか。先日観たばかりのはもちろん後者だった。では前者の例はというと、2008年の再結成がそれだったと思う。

フッキーの姿勢やこの人への風当たりはさておき、JDが残した2枚『Unknown Pleasures』『Closer』は、今なお語られ聴かれ続けるべき名盤だ。久々に棚から引っ張り出して聴いているが、退廃的で一見難解そうでありながら微妙にポップでもある。不思議な輝きを放っている世界観は唯一無二で、マネようとしてもなかなかまねられない。再現ライヴでは、イアン・カーティスの魂に想いを馳せながら聴くという楽しみ方もある。

関連記事

ジョイ・ディヴィジョン(JOY DIVISION 映画・2008年)

ジョイ・ディヴィジョンの活動を追い、当事者や関係者の供述でフォローしたドキュメンタリーだ。

記事を読む

ニュー・オーダー(New Order)『3 16』

2種類のライヴ映像とインタビューを収録した、貴重な映像作品だ。1つ目はニュー・ヨークでのニュ

記事を読む

アントン・コービン 伝説のロック・フォトグラファー(2012年)

ロックアーティストを撮り続けたフォトグラファー、アントン・コービン。その人のドキュメンタリー

記事を読む

ニュー・オーダー(New Order)『Live In Glasgow』

2008年にリリースされた、ニュー・オーダーもっかの最新DVDを観た。2枚組で3時間半以上と

記事を読む

ニュー・オーダー(New Order)『Item』

ニュー・オーダーの2枚組DVDを観た。合計4時間以上にも渡る、観る側にもエネルギーを使わせる

記事を読む

  • 全て開く | 全て閉じる
PAGE TOP ↑